はじめに
この記事では二階微分方程式
のべき級数による解き方(フロベニウス法)について解説していきます。
以下ではこの微分方程式の周りでの解について考察していきます。
特性指数と級数解
確定特異点
いまはそれぞれを高々位の極に持つ、つまり
とローラン展開できるものとする。このとき実際またはがを極に持っていればはを確定特異点に持つと言い、単にがにおいて正則であればはを通常点に持つと言う。
級数解の求め方
いま
とおくと
より係数比較から
という関係式が得られる。特にときの式
をのにおける決定方程式と言い、その解のことを特性指数と言う。
いまを特性指数としとおくと、漸化式
によってに対応する級数解が得られることとなる。
またつまりであればに対応する級数解も得られ、は周りにおける基本解をなすこととなる。
階数低減法
しかしのときはに対応する級数解は得られないため、別の方法を考える必要がある。
いまとおいての満たす微分方程式について考えてみよう。すると
つまり
との項を消去することができる。
これによってこの微分方程式は
つまり
と解けることになる。
級数表示
さらに
とおいたとき、を非負整数としていたこと、および解と係数の関係からが成り立つことに注意すると
と表せる。
したがってとしていたことに注意するとと線形独立な解
が得られることとなる(特にであればとなることに注意する)。
まとめ
のまわりで
というローラン展開を持つ係数を持つ微分方程式
について以下が成り立つ。
決定方程式
の解をとおくと、に対して定まる漸化式
によって
という形の解が得られる。特にが整数でなければ同様にして
という形の解が得られる。
またが正の整数であればある定数が存在し
という形の解が得られ、であれば
という形の解が得られる。
おまけ
いま微分演算子に関する二階微分方程式
を考えると、は周りで正則であるものとし
とおいたとき
が成り立つのでにおける決定方程式は
となる。
実際のところこの微分方程式は
と書き直せる。なるほど。