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整数全体のうち素数・半素数の割合は0である

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xを実数とするとき, π(x)を, x以下の素数の数とします.

limnπ(n)n=0
である. さらに, π(x)=#{n2nxp,qP;n=pq}とするとき
limnπ(n)n=0
が成り立つ.

つまり, 「素数(半素数)の割合は0である」ということです.
この定理を証明するのに次の補題を使います.

φをEulerの関数とするとき
limqφ(q)q=0.

qをはじめからr番目までの素数の積235prとする. このとき
φ(q)q=(112)(113)(11pr)
である. この値をΠrとおく. ここで, 任意の正の整数pに対し(11/p)1=ν01/pνであるから
Πr1=(112)1(113)1(11pr)1=(ν012ν)(ν013ν)(ν01pr)=ν1,ν2,,νr012ν13ν2prνr
である. また, 最後の2ν13ν2prνrpr以下の素数のみを素因子にもつもののすべてだから, pr以下の整数すべてを含む. ゆえに
Πr1>k=1pr1k.
nとなるときprだからこの右辺は正の無限大に発散し, それゆえΠr1, ゆえにΠr0に収束する. したがってlimφ(q)/q=limΠr=0.

補題を使って, まずは定理の前半(π(n)/n0)を証明します.

qをはじめからr個の素数の積とする (r0). このとき, ε>0とすれば, qを十分大きくとることによりφ(q)/q<εとすることができる.
nを任意の正整数とし, nqで割った商をs, 余りをtとする:
n=sq+t,0t<q.
n以下の素数は, 2,3,5,,prのいずれかか, pr以下のどの素数でも割り切れないかのいずれかである. ゆえに, 区間[1,q],[q+1,2q],,[(s1)q+1,sq]のそれぞれに含まれるprより大きい素数の数は高々φ(q)である. したがって, t<qであることに注意すれば
π(n)<sφ(q)+r+q
であることがわかる. そして, sq<nだから
π(n)n<φ(q)q+r+qsq.
ここで, 仮定によりφ(q)/q<εであり, qのとき(r+q)/sq0だからqを十分大きくとれば(r+q)/sq<εとできる. よってπ(n)/n<2εだからlimnπ(n)/n=0である.

最後に, 定理の後半の証明をします.

nが素数でないとする. すると, n以下の半素数は全てpq (2pnqn) の形だから
0π(n)π(n)[π(n)π(n)]
であり, したがってπ(n)/nπ(n)π(n)/n[π(n)]2/nである. そして, 定理の前半によりこれら2つの項はどちらも0に収束するから0limnπ(n)/n00=0である.

投稿日:215
更新日:312
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Anko7919
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