0
エンタメ解説
文献あり

フェルマー点と等力点の鏡映についての関係

174
0
$$$$

目次

1.始めに
2.証明パート1
3.証明パート2&Antigonal について
4.終わりに

始めに

初投稿なので大目に見ていただけると幸いです。

全ての角が$120°$未満である$\triangle ABC$について
$\triangle ABC$の第二フェルマー点を$P_{2}$,第一等力点を$P_{1}'$としたとき、
$\triangle P_{1}'BC,\triangle P_{1}'CA,\triangle P_{1}'AB$のそれぞれの第二フェルマー点と$P_{2} $は、$\triangle ABC$の第一等力点を中心に同一円周上にある。
$△ABC$の第一フェルマー点を$P_{1}$としたとき、
$\triangle P_{1}'BC,\triangle P_{1}'CA,\triangle P_{1}'AB$のそれぞれの第一フェルマー点と$P_1 $は、$△ABC$の第一ナポレオン点を中心に同一円周上にある。

この命題は図形描画サイトでシフラー点と同様のことができないか試していた時に偶然発見したものです。
有用性の欠片もないですね。

フェルマー点・等力点

$\triangle ABC$において、
 三角形の外側に、正三角形$BDC,CEA,AGF$を書いたとき、
$AD,BE,CF$は一点で交わりその点を「第一フェルマー点」と言う。
 三角形の内側に、同様にして出来た点を「第ニフェルマー点」と言う。
またそれぞれの等角共役点を「第一等力点」「第二等力点」と言う。

しかし、$120°<∠A$などのときは、$P_{1}'$$△ABC$から出てしまうので$120°$未満の時と連続的になるように考える必要があります。なのでここでは$ \triangle P'_{1}BC,P'_{1}CA,P'_{1}AB$のフェルマー点に新たな定義を採用します。

フェルマー点

上記の様に$D,E,F$を取る。
それぞれ、円$DBC,ECA,FAB$$PD,PE,PF$$D,E,F$でない方の交点を$ \triangle P'_{1}BC,P'_{1}CA,P'_{1}AB$の第一フェルマー点とする。

第二フェルマー点についても同様です。
フェルマー点の図示 フェルマー点の図示

証明

証明(等角共役)

 では、まず等角共役についての補題を証明します。
参考文献[2] を参照しました。

$\triangle ABC$において
等角共役である$P,P'$について$P$$AB,AC$に対する垂足をそれぞれ$D,E$とすると$AP'\perp DE$が成り立つ。

$DE$$AP$の交点を$F,PE$$AP$の交点を$G$とすると
円周角の定理より$∠FEP=∠FAP$
等角共役の定義より、$∠FEP=∠EAP' $
$∠FAP=∠EAP'$ なので$ \triangle AEP'\backsim△EFG$
したがって$∠AFE=∠AEP=90°$

$\triangle ABC$$P$$BC,CA,AB$で鏡映したものをそれぞれ$P_{A},P_{B},P_{C}$とすると、円$P_{A}P_{B}P_{C}$の中心は$P'$である。


$E',D'$を、それぞれ$P'$$AB,AC$に対する垂足とする。
$\triangle ADP\backsim\triangle ADP',\triangle AEP\backsim\triangle AE'P'$より$\triangle ADD'\backsim \triangle AEE'$
よって$∠E'DD'=∠E'EA$なので$D,D'E,E'$は同一円周上。
また円の中心は$DE',D'E$の垂直二等分線の交点であり、平行線と比の定理より$PP'$の中点$M$と一致する。
$B,C$でも同様にして、$P,P'$$AB,BC,CA$に対する垂足の六点が$M$を中心とする同一円周上にある。
これを$P$を中心に円を2倍に拡大することで題意は示された。

証明(等力点)

次に第一等力点についていくつかの表し方をします。

三点$A,B,C$についてそれぞれ$BC,CA,AB$についての3つのアポロニウスの円の交点は第一、第二等力点である。

$P_{1}$を第一フェルマー点、$P_{1}'$を第一等力点とする。
$\triangle ABC$の外側に正三角形$BDC,CEA,AFC$を描く。
図4において等角共役の定義より$∠P_{1}'BC=∠P_{1}BA,∠P_{1}'CB=∠ACF$
円周角の定理より$∠P_{1}BC=∠AFC$
よって$\triangle AFC\backsim\triangle P_{1}'BC$であるので$P_{1}'B:P_{1}'C=AF:AC=AB:AC$.
同様にして$P_{1}'A:P_{1}'C=CA:CB,P_{1}'A:P_{1}'B=CA:CB$.
アポロニウスの円の定義より$P_{1}'$は3つのアポロニウスの円周上にある。

第二フェルマー点と第二等力点でも同様にして証明できます。

$A,B,C$をそれぞれ$BC,CA,AB$に対して鏡映した点$A',B',C'$と、
三角形の内側に正三角形$BD'C,CE'A,AF'B$を書いたとき、
$A'D',B'E',C'F'$は一点で交わりその点は$P_{1}'$である。

$A'B:A'C=AB:AC$より$A'$もアポロニウスの円上にある。
$P'$は等力点なので$\triangle ABD\equiv \triangle A'BD'$より$\triangle BCD'$は正三角形
$B,C$も同様にして、$\triangle BD'C,\triangle CE'A,\triangle AF'B$は正三角形となり定理の作図と一致する。

$\triangle P_{1}'BC$の第二フェルマー点は$P_{1}$$BC$に対して鏡映した点である。

定理5より$P_{1}$$BC$で鏡映させた点は$\triangle P_{1}'BC$の第二フェルマー点である。

本題

$\triangle ABC$の第二フェルマー点$P_{2}$,第一等力点$P_{1}'$としたとき、
$\triangle P_{1}'BC,\triangle P_{1}'CA,\triangle P_{1}'AB$のそれぞれの第二フェルマー点と$P_{2}$は、$P_{1}'$を中心に同一円周上にある。

$△P_{1}'BC,△P_{1}'CA,△P_{1}'AB$の第二フェルマー点をそれぞれ$P_{A},P_{B},P_{C}$とする。
$∠P_{A}P_{2}P_{C}$
$=∠P_{A}P_{2}B+∠P_{C}P_{2}B$
$=∠P_{A}F'B+∠P_{C}D'B$
$=∠P_{1}FB+∠P_{1}DB$
$=∠P_{1}FC+∠P_{1}CB$
$=120°-∠B$

また、定理6より$\triangle P_{A}P_{B}P_{C}$の外心は$P_{1}'$である。
$P_{1}$$BC,CA,AB$に対する垂足をそれぞれ$G,H,I$とすると
定理2より$AP_{1}'\perp HI,CP_{1}'\perp HG$
中点連結定理より$ HI /\!/P_{B}P_{C}, HG /\!/P_{A}P_{B} $
したがって$AP_{1}'\perp P_{B}P_{C},CP_{1}'\perp P_{B}P_{A}$
$P_{B}P_{C} $$AP_{1}',P_{A}P_{B} $$CP_{1}'$の交点をそれぞれ$J,K$とすると
$P_{1}',J,K,P_{B}$は共円なので
$∠P_{A}P_{B}P_{C}$
$=180°-∠AP_{1}'C$
$=180°-(60°+∠B) \qquad (\because△AP_{1}'C \equiv △ABD )$
$=120°-B$

よって$∠P_{A}P_{2}P_{C}=∠P_{A}P_{B}P_{C}$なので
円周角の定理の逆より題意は示された。

追記

$Antigonal$なるものがあるそうです。
参照 の定義3を引用します。

Antigonal point

ある点$P$$BC,CA,AB$で鏡映した点をそれぞれ$A',B',C'$とすると、
$ A'BC,B'CA,C'AB $は一点で交わり、その点を$Antigonal\ point$と言う。

$Antigonal\ point,A',B',C'$は共円でその中心は$P$の等角共役点($Isogonal\ Conjugate\ point $)である。

参照

(全て有向角で扱う。)
・円$A'BC,C'AB$の交点を$Q$とすると、
$\angle CQA=\angle CQB+\angle BQA=\angle CA'B+\angle BC'A=\angle BPC+\angle APB =\angle APC=\angle CB'A $より、
$ A'BC,B'CA,C'AB $は一点で交わる。
・図8の構図と同様にして$P$の等角共役点を$P'$とすれば、
$\angle A'QC'=\angle A'QB+\angle BQC'=\angle A'CB+\angle BAC'$
$=\angle BCP+\angle PAB =\angle ACP'+\angle P'AC=\angle AP'C=\angle AB'C$
より$Q(Antigonal\ point),A',B',C'$は共円。

$\triangle P_{1}'BC,\triangle P_{1}'CA,\triangle P_{1}'AB$のそれぞれの第一フェルマー点と$P_1 $は、
$\triangle ABC$の第一ナポレオン点を中心に同一円周上にある。

$△P_{1}'BC$の第一フェルマー点を$Q$とする。
定理8より$P_{B},P_{C},P_{1}$$A$を中心とし、同一円周上にある。
よって$∠P_{B}AP_{C}=2∠A$より$∠P_{B}P_{1}P_{C}=180°-∠A.$

また、$AP_{C}$と円$P_{C}BQP_{1}'$の、$P_{C}$でない方の交点を$L$とすると、
$P_{C}$の定義より$△BP_{1}'L$は正三角形なので$P_{1}'L=P_{1}'B$
定理5より$AP_{1}':BP_{1}'=b:a$
$∠AP_{1}'L=∠C+60°-60°=∠C$より$△AP_{1}'L \backsim △ABC$
したがって$∠P_{1}'QP_{C}=∠ALP_{1}=∠B$
同様にして$∠P_{1}'QP_{B}=∠C$
よって$∠P_{B}QP_{C}=∠B+∠C=180°-∠A$より
$P_{B},P_{C},P_{1},Q$$A$を中心とし、同一円周上にある。

また$P_{1},Q$は円$BDC$上にあるので
$P_{1},Q$の垂直二等分線は$A$と正三角形$BDC$の中心を通る。
$\triangle P_{1}'CA,\triangle P_{1}'AB$の第一フェルマー点でも同様にして
それら3つの垂直二等分線は第一ナポレオン点で交わるので題意は示された。

同様にして第二等力点でも証明が可能です。

$\triangle P_{1}'BC,\triangle P_{1}'CA,\triangle P_{1}'AB$のそれぞれの第一フェルマー点をそれぞれ$A',B',C'$とすると
$AA',BB',CC'$は共点である。

ノイベルグ三次曲線上の点$P$について$\triangle PBC,\triangle P_{1}'CA,\triangle P_{1}'AB$のそれぞれの第一フェルマー点をそれぞれ$A',B',C'$とすると$AA',BB',CC'$は共点である。

終わりに

自分がフェルマー点に興味を持った命題が証明できました。
これに関連する(自分では証明できない)命題が幾か手元にありますので、証明出来たら、また改めて記事にしようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

(追記 一般化しようとしてます。 これ )

2023/11/28...ナポレオン点の方の命題を追加

参考文献

投稿日:20231124
更新日:30日前

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

n/a369
n/a369
1
679

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中