こんにちは、itouです。今回は 前回 の最後で触れた式に関して進展があったので、解説していきます。
微分作用素
です。階乗をガンマ関数に置き換え、
ここで
と書きます。この作用素の基本的な性質は以下の通りです。
上二つは当然成立してほしいので、うれしいです。三つ目は積の微分法則の一般化です。一般化二項定理と同じ形ですね。
ここで紹介したのはリーマン-リウヴィル分数階微分積分と呼ばれるものですが、ほかにも非整数階微分作用素の定義があるようです。また、この作用素の厳密な定義は文献[1](Product_rule_for_vector_fractional_derivatives)を参考にしてください。
さて、この作用素を使ったシャッフル積を考えてみましょう。
(
係数に乗じられる式 | ||
---|---|---|
上で | ||
上で |
を得ます。これより、
を得ます。さて、多重ポリログの一般化を定義します。
(この記事ではインデックスは左向き)
(多重ポリログの場合と同様に示せます)
MZV同様のシャッフル積を入れたいのですが、
誤った式:
そのため、通常の積についてはシャッフル積が入りません。そこで、次の演算を導入します。
この演算についてシャッフル積が入ります。すなわち、
ただし
証明)
となります。(MZVのシャッフル積と同様なので過程は省略)
第2行から第3行へは級数展開して積分しました。(tex打ちめんどい…)
結局、次を得ます。
上式に
過去1でtex打ちがしんどかった……微分作用素をもってくれば級数にシャッフル積の構造を入れられることが分かったので、他の微分作用素でもやってみようと思います。最後の式は純粋な級数変形だけで示せるのでしょうか?ちなみに演算
が成立します。(定理1の3個目の式より)
これを使っても関係式が得られますが、無限個の級数がでてきてしまうのでやりませんでした。調和積の出番がどこかであるはずなのですが、、
[1](Product_rule_for_vector_fractional_derivatives)
ここまで読んで下さりありがとうございました。誤植等指摘お願いいたします。