Petrov分類1 の続きです。前の記事で導入した記号、概念、命題などはそのまま使います。前回は幾何学寄りの方法でPetrov分類を導入しましたが、今回はより代数的な切り口になっていきます。
これまではself-dual principal null plane を使ってPetrov分類を行ってきましたが、principal null vectorによる定義もあり、その準備をします。
まず、self-dual null planeとnull vectorがスカラ倍を除いて一対一に対応することを見ます。
のように写しました。基底
となることから、
self-dual null planeを
なので、
self-dual principal null plane
self-dual principal null plane
self-dual principal null plane
(i)
(ii)
(iii)
(iv)
となっている。
(i)
上記の表示から、
(ii)
(iii)
となることは同値であり、これは
(iv)
となることは同値であり、これは
またprincipal null vectorの重複度を使ってPetrov分類を行うことができます。これは前の記事のPetrov分類の同値な2つの定義を考えれば自明な言い換えです。
type I:重複度1のprincipal null vectorが4つある[1,1,1,1]
type II:重複度2のprincipal null vectorが1つと重複度1のprincipal null vectorが2つある[2,1,1]
type D:重複度2のprincipal null vectorが2つある[2,2]
type III:重複度3のprincipal null vectorが1つと重複度1のprincipal null vectorが1つある[3,1]
type N:重複度4のprincipal null vectorが1つある[4]
それぞれのtypeの状況を図で表す以下のような表記法があります。
Petrov分類のprincipal null vectorによる表現
3つ目の分類方法は
まず、3つの異なる固有値を持つ場合は、固有空間でない一般固有空間はあり得ないので
(Jordan-I)
という形になります。次に2つの固有値を持つ場合は、一つの固有値に関して2次元の固有空間がある場合と2次元の固有空間でない一般固有空間がある場合があるので、
(Jordan-II)
(Jordan-D)
となります。最後に固有値が一つの場合は0になるしかないので、3次元の固有空間でない一般固有空間を持つ場合、1次元の固有空間と2次元の固有空間でない一般固有空間を持つ場合、0行列の場合があるので、
(Jordan-III)
(Jordan-N)
(Jordan-O)
となり、この6種類は背反であり、これで全部です。
全てのPetrov分類の
Petrov type Nのとき
となるので、これはJordan-N型です。
Petrov type IIIのとき
となるので、これはJordan-III型です。
Petrov type Dのとき
となるので、これはJordan-D型です。
Petrov type IIのとき、重複度2のprincipal null vectorが1つだから、self-dual nullの固有ベクトルは1つだけで、その固有値は0でないです。0でない固有値を持って、type Dでないから、Jordan-I or IIです。
Petrov type Iのとき、重複度1のprincipal null vectorしかないので、self-dual nullの固有ベクトルは存在しない。従って、Jordan-I以外はあり得ないから、Jordan-I型である。
以上より3つ目のPetrov分類の同値な定義を得ます。
type I
type II
type D
type III
type N
type O
各Petrov typeのJordan分解の様子を象徴的に表した図として以下のようなものがあります。