ここでは京大数学教室・RIMSの修士課程の院試の2020専門01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
素数$p$及び自然数$n$に対し、位数$3p^n$の群は可解であることを示せ。ただし$p$-群の可解性は証明なしに用いて良い。
$p=3$のときは$p$-群の可解性からすぐに従う。
$p>3$の場合を考える。$G$の$p$-Syllow部分群$H$をとったとき、Syllowの定理からこれは正規部分群である。よって完全列
$$
0\to H\to G\to G/H\to0
$$
が取れ、$H$及び$G/H$はそれぞれ$p$-群及び$3$-群なので、いずれも可解であるから$G$の可解性が従う。
$p=2$の場合を考える。帰納法で示す。$n=1$のとき、$G$は$3$次対称群かアーベル群であるから可解である。次に$n\leq k$のとき、位数$2^n3$の群が可解であったとする。ここで$G$を位数$2^{k+1}3$の群とする。まずSyllowの定理から$2$-Syllow部分群は$1$個または$3$個である。前者の場合、これを$H$とすると、$H$及び$G/H$が$2$-群及び$3$-群で可解なので、$G$の可解性が従う。以下後者の場合を考える。$2$-Syllow部分群のひとつを$H$とし、剰余類の集合$G/H$を考える。このとき左作用$G\curvearrowright G/H$から準同型$G\to S_3$が誘導される。$G$の位数は$\geq12$であるから、この準同型は非自明な核$K$を持つ。ここで完全列
$$
0\to K\to G \to G/K\to 0
$$
が取れる。$K$は$H$の部分群であるから可解であり、同時に$G/K$も帰納法の仮定から可解である。よって$G$の可解性が従う。