こんにちは ごててんという者です
みなさん、「別解」はお好きでしょうか 私は簡単な問題の別解を考えることが非常に好きで、電車の中で考えるなどしています 今回はその遊びを記事の形で共有したいと思います
群論を学び始めた~群論をいい感じに勉強したくらいの人向けの記事です. 群論を学び始めたくらいの人は頑張らないと最後まで読めません!()
早速問題を貼ります.
$\mathbb{Z}$ と $\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}$ は群として同型でないことを示せ.
大学の講義で群論を学んだことがある皆さんなら、テスト問題などで全く同じ問題を解いたことがあるかもしれません. 今回はこれを解いていきます.
今回この記事で多用する考え方として、「あるなしクイズ」があります.
Aは~~~を満たすけど、Bは~~~を満たさない ということを示して AとBが違うことを見ます.
これを念頭に置いて読んでみてください.
まずは何にも頼らずに愚直に証明しようと思います. 同型が存在すると仮定して矛盾を導きます.
$\phi : \mathbb{Z} \times \mathbb{Z} \rightarrow \mathbb{Z}$が同型であるとすると, $\phi(x,y)=1$となる$x,y \in \mathbb{Z}$がとれます. $a \in \mathbb{Z}$とするとき, $\phi(ax,ay)=a\phi(x,y)=a1=a$であることに注意しておきましょう.
さて, $\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}$の元で$(ax,ay)$の形をしていないものの存在を示してみます. ここが証明の肝です.
もし$x=y=0$なら$\phi(0,0)=1$となり矛盾します. (単位元$(0,0)$は単位元$0$に写像されるはずなので)
よってどちらかは$0$でないとできます.
$x=y=0$でないのなら$(-y,x)$は$(x,y)$の定数倍で書くことができません!(これは$\mathbb{R}^2$内で一次独立であることからわかります. $(ax,ay)=(-y,x)$とおいてもすぐ矛盾を導けます.)
定数倍として書けないということは, $\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}$の元で$(ax,ay)$の形をしていないもの, ということです.
ここで!$\phi(-y,x)=m$とすると, $\phi(mx,my)=m$であるので, $\phi$は同型でとくに単射であり $(-y,x)=(mx,my)$とならなければなりませんが, $(-y,x)$は$(x,y)$の定数倍ではないのでこれは矛盾です!!!
上の解法は、もう少し見やすいものとできます. やっていることは同じです.
では行きます.
証明開始! $\mathbb{Z}$は巡回群ですが, $\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}$は巡回群ではありません!つまり同型ではありません!!!
さて, ちゃんと示したことにするには $\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}$ が巡回群でないことを示さなければなりません. が, これは解法1とほとんど同じです. 証明してみます.
$\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}$ が巡回群なら, 何か$(x,y) \in \mathbb{Z} \times \mathbb{Z}$がありこれが$\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}$を生成します. これは$(0,0)$ではありません. さて, このとき$(-y,x)$は$(x,y)$の定数倍で書くことができません!よって巡回群であることに矛盾します.
部分群に注目して示してみましょう. では行きます.
証明開始! $H$を自明でない$\mathbb{Z}$の部分群とすると, $\mathbb{Z} / H$は有限群となります. しかし, $\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}$を部分群$\mathbb{Z} \times \{ 0 \}$で割ると, これは有限群ではありません. よって同型ではありません!!!
解説します. 別に上の性質が有名とかではないと思うんですけど、なんか思ったので使いました. ちゃんと次の形にして証明してみます.
$G_1, G_2$を可換群とし, 同型であるとする. このとき, $G_1$が自明でない群で割ると有限群となるとすると, $G_2$も自明でない群で割れば有限群となる.
証明行きます! $N$を$G_2$の自明でない群とします. このとき$\phi : G_1 \rightarrow G_2 / N$を$G_1$から$G_2$への同型と$G_2$から$G_2 / N$への自然な準同型の合成とします. これは全射で, 単射ではありません.
さて, 準同型定理より$G_1 / \mathrm{Ker}(\phi) \cong G_2 / N$となります. このとき$\phi$は単射でないので$\mathrm{Ker}(\phi)$は自明でなく, $G_1 / \mathrm{Ker}(\phi)$は有限群です. したがって, $G_2 / N$は有限群です. これで示されました!
最後の解法です. これは強い武器を使います.
もし$\mathbb{Z}^n \cong \mathbb{Z}^m$とすると, これを$\mathbb{Z}$加群として$\mathbb{Q}$をテンソルすることで $\mathbb{Q}$ベクトル空間としての次の同型が成立します. $\mathbb{Q}^n \cong \mathbb{Q} \otimes_{\mathbb{Z}} \mathbb{Z}^n \cong \mathbb{Q} \otimes_{\mathbb{Z}} \mathbb{Z}^m \cong \mathbb{Q}^m$. よって線形代数パワーで$n=m$がわかります. つまり, $1 \ne 2$より$\mathbb{Z}$と$\mathbb{Z}^2$は同型でないというわけです.(対偶)
ここまで読んでいただき ありがとうございます 皆様も別解、考えてみてください!それでは~~~