本稿では以下の定理の証明を紹介する:
(Erdős-Graham-Ruzsa-Straus 1975)
正整数であってがと互いに素であるものは無限に存在する.
定理中のという数に特別な意味はなく,相異なる奇素数を用いてと表せる数であれば同様に成立する(原論文ではその形で述べられている)のだが,記号が煩雑になるのでここではの場合に限って説明する.
なお,正整数であってがと互いに素であるものが無限に存在するかどうかは,2024年現在未解決のようである(
https://www.erdosproblems.com/376
).
記号
のことをで表す.例えばである.また正整数の進表記においては,常に左側に「」が省略されているとみなす.例えば
であり,特にの進表記には「」という並びが含まれると考える.
Kummerの定理を用いた言い換え
まず以下の有名な事実を思い出そう.
(Kummerの定理)
二項係数が素数で割り切れる回数は,を進法で計算した時の繰り上がりの個数に等しい.
特にが素数と互いに素であることは,の進表記がのみからなることと同値である.このようなを-goodな数と呼ぼう.すると定理1は次のように言い換えられる:
(定理1の言い換え)
正整数であって-goodかつ-goodであるものは無限に存在する.すなわち,進表記がのみからなり,進表記がのみからなるような正整数は無限に存在する.
例えばなのでは-goodかつ-goodである.
証明
当然だが-goodな正整数は無限個存在する.そこでまず-goodな正整数を取り,その進表記に現れるをどうにかして(-goodであることを保ちながら)除去するという方針が考えられる.一般に-goodでない数に対し,それに近い-goodな数を見つける方法を考えよう.
例えばの場合,以上で最小の-goodな数はである.一般にの進表記に現れるという箇所(は個でもよい)のうち最も左にあるものを取って
と表すと,以上で最小の-goodな数は
である.以上の観察を踏まえて次のように定義する.
-goodでない正整数に対し,の進表記に現れるという箇所(は個でもよい)のうち最も左にあるものを取って
と表す.またの進表記の下桁をで表す.
例えばの場合,である.以下の性質は容易にわかる:
を-goodだが-goodでない正整数とする.このとき-goodな正整数であって以下の条件をみたすものが存在する:
(1) との進表記は下桁のみが異なる.
(2) 以下のいずれかが成り立つ:
- は-goodである.
- は-goodでなく,が成り立つ.
- は-goodでなく,が成り立つ.
とおくと,未満で最大の-goodな数はである.ならば,とすれば条件を満たす.そこで以下では
と仮定してよい.と定めると,以上で最小の-goodな数はである.より一般にを満たすに対して,は条件(1), (2)を満たす.そこでこの範囲にが-goodとなるようなが存在することを示せばよい.よりなので,この範囲にあるに対して
が成り立つ.よってが-goodであることは,が-goodであることと同値である.また
なので,の範囲に-goodなが存在することを示せばよい.これは次の補題から従う.
任意の正整数に対し,を満たす-goodな正整数が存在する.
-goodな正整数に対し,の進表記を
とすると,よりも大きい最小の-goodな数は
である.この表示からがわかるのでよい.
(定理3の証明)
は無理数なので,の小数部分が未満となるような正整数kは無限個存在する.そのようなkに対して
と表すと
なので,と定めるとである.特に,は-goodでなければを満たす.このに対して命題4を繰り返し適用すると,の下桁のみを変更することで-goodかつ-goodな数を得ることができる.このときなので,この方法でいくらでも大きい-goodかつ-goodな数が構成できる.
[1]
Erdős, P. and Graham, R. L. and Ruzsa, I. Z. and Straus, E. G., On the prime factors of $(\sp{2n}\sb{n})$, Math. Comp., 1975, 83-92