3
大学数学基礎解説
文献あり

Glivenkoの定理

239
0

Hilbert流の体系におけるGlivenkoの定理の証明について書きます.
論理学について知らない方でも読めるように書いたつもりなので, 知っている方は「証明の準備」の節から読んでください.

定義

HMの記号

名前 a,b,c,
変項 x,y,z,
n項演算子 f,g,h,
n項述語 F,G,H,
零項真理函数
二項真理函数 ,,
量化子 ,

一階述語論理の項
  • αが名前ならばαは項である.
  • ξが変項ならばξは項である.
  • οn項演算子でτ1,,τnが項ならばο(τ1,,τn)は項である.
  • 上記以外は項ではない.
一階述語論理の論理式
  • θn項述語でτ1,,τnが項ならばθ(τ1,,τn)は論理式である.
  • ρn項真理函数でφ1,,φnが論理式ならばρ(φ1,,φn)は論理式である.
  • ξが変項でφが論理式ならばξφ,ξφは論理式である.
  • 上記以外は論理式ではない.

(φ,ψ)のことはφψと書きます. ,についても同様です.
φψχφ(ψχ)を意味します.
結合の強さは{,}>{,}>の順です. したがって, (ξφψχ)ξφχχ(((ξφ)ψ)χ)((ξφ)(χχ))を意味します.

φ¬φと略記する.

論理式φに対し, φの自由変項の集合をfv(φ)と表す. また, 変項ξ, 項τに対し, 「φに自由変項として現れるξをすべてτに置き換えたもの」をφ[τ/ξ]と書く.

自由変項とは, などによって束縛されていないということです.
fv(φ),φ[τ/ξ]のちゃんとした定義については[1]などを参照してください.

論理式φ,ψに対し, φψが(文字列として)等しいことをφψと書く.

このHMの記号ではなく, メタ数学の記号です. したがって, φψは論理式ではありません. 後に出てくるなども同様です.
また, φψにおいて()の有無は無視することがあります.

HMの公理

φ,ψ,χ,φ1,φ2を任意の論理式, ξ,ζを任意の変項, τを任意の項とする.
(S)(φψχ)(φψ)(φχ)(K)φ(ψφ)(DI)φiφ1φ2(i=1,2)(DE)(φχ)(ψχ)(φψχ)(CI)φψ(φψ)(CE)φ1φ2φi(i=1,2)(UI)ζ(ψφ[ζ/ξ])(ψξφ)(ζfv(ψ)fv(ξφ))(UE)ξφφ[τ/ξ](EI)φ[τ/ξ]ξφ(EE)ζ(φ[ζ/ξ]ψ)(ξφψ)(ζfv(ψ)fv(ξφ))

正確にはこれらは公理ではなく公理図式です. φなどに具体的な論理式を代入したものが公理となります.

HMの推論規則

(MP)φ,φψψ(GEN)φ[ζ/ξ]ξφ
ただし, ζξφおよび演繹の前提に自由変項として現れない.

(EFQ)φ(DNE)¬¬φφ
とし, HJHM(EFQ)を公理として加えたもの, HKHM(DNE)を公理として加えたものと定める.

演繹, 証明

Γを(0個以上の)論理式の列とする.
HMにおけるΓからφへの演繹とは, 有限個の論理式からなる列φ1,,φnであって, φnφをみたし, 任意の1inに対して以下のいずれかが成り立つものである.

  • φiHMの公理である.
  • φiΓに含まれる.
  • i未満の整数j,kが存在し, φiφj,φkから推論規則(MP)によって導かれる.
  • i未満の整数jが存在し, φiφjから推論規則(GEN)によって導かれる.
Γをこの演繹における前提という. また, Γが空列のときの演繹を証明という. HMにおけるφの証明が存在するとき, φHM定理とよぶ.
HJ,HKについても同様に定める.

HMにおいてΓからφへの演繹が存在することをΓHMφと書く. HJ,HKについても同様に定める.

ΓHMφならばΓHJφΓHKφが成り立ちます.

演繹定理

HMにおける証明において欠かせない演繹定理について解説します.

演繹定理

任意の論理式列Γ, 論理式φ,ψについて以下が成り立つ.
ΓHMφψφ,ΓHMψ
また, HJ,HKについても同様のことが成り立つ.

の証明
Γからφψへの演繹がφ1,,φn (φnφψ)であるとする. このとき,
φ1,,φn1,φψ,φ,ψ
φ,Γからψへの演繹である.

の証明
はじめに証明の概略を述べる.

φ1,,φnφ,Γからψへの演繹であるとする. このとき, φφ1,,φφnに適切に論理式を補充したものがΓからφψへの演繹である.

まず, HMφφを示す. 以下が証明である.
1.φ(φφ)φ(K)2.(φ(φφ)φ)(φ(φφ))(φφ)(S)3.(φ(φφ))(φφ)(1,2,MP)4.φ(φφ)(K)5.φφ(3,4,MP)
φ1,,φnが演繹の条件のうちどれをみたしているかで場合分けする.
  • φiHMの公理であるとき
    以下のようにφφi1φφiの間に論理式を追加する.
    φφi1φi(公理)φi(φφi)(K)φφi(MP)
  • φiΓに含まれているとき
    φφi1φi(前提)φi(φφi)(K)φφi(MP)
  • φiφであるとき
    φφi1φ(φφ)φ(K)(φ(φφ)φ)(φ(φφ))(φφ)(S)(φ(φφ))(φφ)(MP)φ(φφ)(K)φφ(MP)
  • i未満の整数j,kが存在し, φiφj,φkから推論規則(MP)によって導かれているとき
    φkφjφiであるとして一般性を失わない.
    φφi1(φφjφi)(φφj)(φφi)(S)(φφj)(φφi)(MP)φφi(MP)
  • i未満の整数jが存在し, φiφjから推論規則(GEN)によって導かれているとき
    φj=ψ[ζ/ξ],φi=ξψとおく.
    φφi1ζ(φψ[ζ/ξ])(GEN)ζ(φψ[ζ/ξ])(φξψ)(UI)φξψ(MP)
以上より, 演繹定理が示された. HJ,HKについても同様に証明できる.

φHMの定理とする.
任意の論理式列Γ, 論理式ψについて以下が成り立つ.
φ,ΓHMψΓHMψ

は自明. を示す.
演繹定理よりΓHMφψであり, Γからφψへの演繹をφ1,,φm, φの証明をφ1,,φnとしたとき, φ1,,φm1,φψ,φ1,,φn1,φ,ψΓからψへの演繹である.

定理は公理のように用いても問題ないということです. この事実は以後断りなく用います.

証明の準備

Glivenkoの定理の証明に必要となる定理を証明します. 知っている方は流し読みしてください.

HMφ¬¬φ

証明

φ,¬φHMを示せばよい.
1.φ(前提)2.¬φ(前提)3.(1,2,MP)

HM(φψ)(¬ψ¬φ)

証明

φψ,¬ψ,φHMを示せばよい.
1.φ(前提)2.φψ(前提)3.ψ(1,2,MP)4.¬ψ(前提)5.(3,4,MP)

HM¬¬¬φ¬φ

証明

1.φ¬¬φ(定理2)2.(φ¬¬φ)(¬¬¬φ¬φ)(定理3)3.¬¬¬φ¬φ(1,2,MP)

HM(φψ)(¬¬φ¬¬ψ)

証明

φψHM¬¬φ¬¬ψを示せばよい.
1.φψ(前提)2.(φψ)(¬ψ¬φ)(定理3)3.¬ψ¬φ(1,2,MP)4.(¬ψ¬φ)(¬¬φ¬¬ψ)(定理3)5.¬¬φ¬¬ψ(3,4,MP)

HMφψ¬(φ¬ψ)

証明

φ,ψ,φ¬ψHMを示せばよい.
1.φ(前提)2.φ¬ψ(前提)3.¬ψ(1,2,MP)4.ψ(前提)5.(3,4,MP)

HM¬¬(φψ)(¬¬φ¬¬ψ)

証明

¬¬(φψ),¬¬φ,¬ψHMを示せばよい.
1.(φψ)(¬¬φ¬¬ψ)(定理5)2.((φψ)(¬¬φ¬¬ψ))(¬¬(φψ)¬¬(¬¬φ¬¬ψ))(定理5)3.¬¬(φψ)¬¬(¬¬φ¬¬ψ)(1,2,MP)4.¬¬(φψ)(前提)5.¬¬(¬¬φ¬¬ψ)(3,4,MP)6.¬¬φ(前提)7.¬ψ(前提)8.¬¬φ¬ψ¬(¬¬φ¬¬ψ)(定理6)9.¬ψ¬(¬¬φ¬¬ψ)(6,8,MP)10.¬(¬¬φ¬¬ψ)(7,9,MP)11.(5,10,MP)

HM¬(φψ)¬ψ
HJ¬(φψ)¬¬φ

証明

¬(φψ),ψHMを示せばよい.
1.ψ(前提)2.ψ(φψ)(K)3.φψ(1,2,MP)4.¬(φψ)(前提)5.(3,4,MP)
¬(φψ),¬φHJを示せばよい.
1.ψ(EFQ)2.(ψ)(φ(ψ))(K)3.φ(ψ)(1,2,MP)4.φ(前提)5.(φ(ψ))(φ)(φψ)(S)6.(φ)(φψ)(3,5,MP)7.φψ(4,6,MP)8.¬(φψ)(前提)9.(7,8,MP)

HJ(¬¬φ¬¬ψ)¬¬(φψ)

証明

¬¬φ¬¬ψ,¬(φψ)HJφを示せばよい.
1.¬(φψ)(前提)2.¬(φψ)¬ψ(定理8)3.¬ψ(1,2,MP)4.¬(φψ)¬¬φ(定理8)5.¬¬φ(1,4,MP)6.¬¬φ¬¬ψ(前提)7.¬¬ψ(5,6,MP)8.(3,7,MP)

HJ¬¬(¬¬φφ)

証明

1.¬¬¬¬φ¬¬φ(定理4)2.(¬¬¬¬φ¬¬φ)¬¬(¬¬φφ)(定理9)3.¬¬(¬¬φφ)(1,2,MP)

HKφ

証明

HKφを示せばよい.
1.(前提)2.(¬φ)(K)3.¬φ(1,2,MP)4.¬¬φφ(DNE)5.φ(3,4,MP)

このことからΓHJφΓHKφが成り立ちます.

Glivenkoの定理の証明

HMの公理 (再掲)

φ,ψ,χ,φ1,φ2を任意の論理式, ξ,ζを任意の変項, τを任意の項とする.
(S)(φψχ)(φψ)(φχ)(K)φ(ψφ)(DI)φiφ1φ2(i=1,2)(DE)(φχ)(ψχ)(φψχ)(CI)φψ(φψ)(CE)φ1φ2φi(i=1,2)(UI)ζ(ψφ[ζ/ξ])(ψξφ)(ζfv(ψ)fv(ξφ))(UE)ξφφ[τ/ξ](EI)φ[τ/ξ]ξφ(EE)ζ(φ[ζ/ξ]ψ)(ξφψ)(ζfv(ψ)fv(ξφ))

HMの推論規則 (再掲)

(MP)φ,φψψ(GEN)φ[ζ/ξ]ξφ
ただし, ζξφおよび演繹の前提に自由変項として現れない.

HJ,HKの公理 (再掲)

(EFQ)φ(DNE)¬¬φφ
とし, HJHM(EFQ)を公理として加えたもの, HKHM(DNE)を公理として加えたものと定める.

黒田否定変換

n項述語θ, 項τ1,,τnに対して(θ(τ1,,τn))θ(τ1,,τn)と定める.
論理式φに対し, φを以下のように帰納的に定める.
(φψ)φψ(φψ)φψ(φψ)φψξφφξφξφ
また, 論理式列Γφ1,,φnに対し, Γφ1,,φnと定める.

fv(φ)=fv(φ)およびφ[τ/ξ](φ[τ/ξ])が成り立ちますが, ここでは証明しません.

Glivenkoの定理

任意の論理式列Γ, 論理式φに対し,
ΓHKφΓHJ¬¬φ

Glivenkoの定理を証明します.
まず, Γが空列の場合に示せば十分であることを確認します.

証明

定理7 HM¬¬(φψ)(¬¬φ¬¬ψ)および定理9 HJ(¬¬φ¬¬ψ)¬¬(φψ)を用いる.
Γφ1,,φnとすると, 演繹定理から
ΓHKφHKφ1φnφHJ¬¬(φ1φnφ)HJ¬¬(φ1φnφ)HJ¬¬φ1¬¬φn¬¬φHJφ1φn¬¬φΓHJ¬¬φ
および
ΓHJ¬¬φHJφ1φn¬¬φHJ(φ1φn¬¬φ)HJ¬¬(φ1φn¬¬φ)HKφ1φn¬¬φΓHK¬¬φΓHKφ
となる.


はじめに, HJ¬¬φHKφを示します.

任意の論理式φに対し, HKφφかつHKφφが成り立つ.

論理式φに対し, d(φ)N{0}を以下のように帰納的に定める.

  • n項述語θ, 項τ1,,τnに対し, d(θ(τ1,,τn))=1.
  • n項真理函数ρ, 論理式φ1,,φnに対し, d(ρ(φ1,,φn))=max{d(φ1),,d(φn)}+1. ただし, 零項真理函数に対してd()=1.
  • 論理式φ, 変項ξに対し, d(ξφ)=d(φ)+1, d(ξφ)=d(φ)+1.
(補題13)

d(φ)による帰納法で示す.
d(φ)=1のとき, φθ(τ1,,τn)またはφであり, どちらの場合でもφφであるため補題は成立する.

d2として, d(φ)=1,,d1のときに補題が成立しているとする. d(φ)=dのときに補題が成立することを示す.

  • φψχであるとき
    証明

    まずψχ,ψHKχを示す.
    1.ψ(前提)2.ψψ(帰納法の仮定)3.ψ(1,2,MP)4.ψχ(前提)5.χ(3,4,MP)6.χχ(帰納法の仮定)7.χ(5,6,MP)
    演繹定理よりHKφφである.
    HKφφについても同様である.

  • φψχであるとき
    証明

    1.ψψχ(DI)2.(ψψχ)(ψ(ψψχ))(K)3.ψ(ψψχ)(1,2,MP)4.ψψ(帰納法の仮定)5.(ψ(ψψχ))(ψψ)(ψψχ)(S)6.(ψψ)(ψψχ)(3,5,MP)7.ψψχ(4,6,MP)8.χψχ(DI)9.(χψχ)(χ(χψχ))(K)10.χ(χψχ)(8,9,MP)11.χχ(帰納法の仮定)12.(χ(χψχ))(χχ)(χψχ)(S)13.(χχ)(χψχ)(10,12,MP)14.χψχ(11,13,MP)15.(ψψχ)(χψχ)(ψχψχ)(DE)16.(χψχ)(ψχψχ)(7,15,MP)17.ψχψχ(14,16,MP)
    したがってHKφφである.
    HKφφについても同様である.

  • φψχであるとき
    証明

    まずψχHKψχを示す.
    1.ψχ(前提)2.ψχψ(CE)3.ψ(1,2,MP)4.ψψ(帰納法の仮定)5.ψ(3,4,MP)6.χχψ(CE)7.χ(1,6,MP)8.χχ(帰納法の仮定)9.χ(7,8,MP)10.ψχψχ(CI)11.χψχ(5,10,MP)12.ψχ(9,11,MP)
    演繹定理よりHKφφである.
    HKφφについても同様である.

  • φξψであるとき
    証明

    まずξψHKψを示す.
    1.ξψ(前提)2.ξψψ(UE)3.ψ(1,2,MP)4.ψψ(帰納法の仮定)5.ψ(3,4,MP)6.ψ¬¬ψ(定理2)7.¬¬ψ(5,6,MP)8.ψ(7,GEN)
    演繹定理よりHKφφである.
    次にψHKξψを示す.
    1.ψ(前提)2.ψ¬¬ψ(UE)3.¬¬ψ(1,2,MP)4.¬¬ψψ(DNE)5.ψ(3,4,MP)6.ψψ(帰納法の仮定)7.ψ(5,6,MP)8.ξψ(7,GEN)
    演繹定理よりHKφφである.

  • φξψであるとき
    証明

    1.ψψ(帰納法の仮定)2.ψξψ(EI)3.(ψξψ)(ψψ)(ψξψ)(B)4.(ψψ)(ψξψ)(2,3,MP)5.ψξψ(1,4,MP)6.ξ(ψξψ)(5,GEN)7.ξ(ψξψ)(ξψξψ)(EE)8.ξψξψ(6,7,MP)
    したがってHKφφである.
    HKφφについても同様である.

(HJ¬¬φHKφ)

HJ¬¬φと仮定する. このとき, HK¬¬φである.
1.¬¬φ(仮定)2.¬¬φφ(DNE)3.φ(1,2,MP)4.φφ(補題13)5.φ(3,4,MP)
したがって, HKφである.

つづいて, HKφHJ¬¬φを示します.
証明の概略は, 上で述べた演繹定理の証明と同じです.

φ1,,φnHKにおけるφの証明であるとする. このとき, ¬¬φ1,,¬¬φnに適切に論理式を補充したものがHJにおける¬¬φの証明である.

定理2 HMφ¬¬φを思い出します.

以下はHJの定理である.
(S)¬¬((φψχ)(φψ)(φχ))(K)¬¬(φ(ψφ))(DI)¬¬(φiφ1φ2)(i=1,2)(DE)¬¬((φχ)(ψχ)(φψχ))(CI)¬¬(φψ(φψ))(CE)¬¬(φ1φ2φi)(i=1,2)(UI)¬¬(ζ(ψφ[ζ/ξ])(ψξφ))(ζfv(ψ)fv(ξφ))(UE)¬¬(ξφφ[τ/ξ])(EI)¬¬(φ[τ/ξ]ξφ)(EE)¬¬(ζ(φ[ζ/ξ]ψ)(ξφψ))(ζfv(ψ)fv(ξφ))

Sなどはこの記事独自の記号です.

定理10 HJ¬¬(¬¬φφ)を思い出します.

以下はHJの定理である.
(DNE)¬¬(¬¬φφ)

つづいて, 定理7 HJ¬¬(φψ)(¬¬φ¬¬ψ)を思い出します.

以下はHJの定理である.
(MP)¬¬φ¬¬(φψ)¬¬ψ(GEN)¬¬φ[ζ/ξ]¬¬ξ¬¬φ
ただし, ζξφおよび演繹の前提に自由変項として現れない.

演繹定理より¬¬φ,¬¬(φψ)HJ¬¬ψを示せばよい.
1.¬¬φ(前提)2.¬¬(φψ)(前提)3.¬¬(φψ)(¬¬φ¬¬ψ)(定理7)4.¬¬φ¬¬ψ(2,3,MP)5.¬¬ψ(1,4,MP)
演繹定理より¬¬φ[ζ/ξ]HJ¬¬ξ¬¬φを示せばよい.
1.¬¬φ[ζ/ξ](前提)2.φ(1,GEN)3.φ¬¬ξ¬¬φ(定理2)4.¬¬ξ¬¬φ(2,3,MP)

これでGlivenkoの定理の証明の準備が整ったので証明をします.

(HKφHJ¬¬φ)

φ1,,φnHKにおけるφの証明であるとする.
φ1,,φnが演繹の条件のうちどれをみたしているかで場合分けする.

  • φiHKの公理Xであるとき
    命題14,15より, XHJの定理である.
    ¬¬φi1¬¬φi(命題14,15)
  • i未満の整数j,kが存在し, φiφj,φkから推論規則(MP)によって導かれているとき
    φkφjφiであるとして一般性を失わない. 以下のように¬¬φi1¬¬φiの間に論理式を追加する.
    ¬¬φi1¬¬φj¬¬(φjφi)¬¬φi(MP)¬¬(φjφi)¬¬φi(MP)¬¬φi(MP)
  • i未満の整数jが存在し, φiφjから推論規則(GEN)によって導かれているとき
    φj=ψ[ζ/ξ],φi=ξψとおく.
    ¬¬φi1¬¬ψ[ζ/ξ]¬¬ξ¬¬ψ(GEN)¬¬ξ¬¬ψ(MP)
以上より, Glivenkoの定理が示された.

参考文献

[1]
戸次大介, 数理論理学, 東京大学出版会, 2023
投稿日:23日前
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

tria_math
tria_math
565
50327
大学3年生

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 定義
  2. 演繹定理
  3. 証明の準備
  4. Glivenkoの定理の証明
  5. 参考文献