ここでは科学大数学系の修士課程の院試の2021午前01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2021午前01
についての関数からなる実線型空間
を考える。ここでを自己準同型全体の為す実線型空間とし、を
で定義する(但しとする)。以下の問いに解答しなさい。
- はに於いて一次独立であることを示しなさい。
- 集合によって生成されるの部分空間の次元を求めなさい。
- 方程式
を満たすを求めなさい。
- 初めにの基底に関する表現行列は
である。よっての表現行列は
である。ここでと置いたとき、その表現行列は
であり、これがになるにはになるしかない。よっては線型独立である。 - で生成される空間は、ある基底の下
の形の行列全体からなる空間の部分空間であるから、その次元は以下である一方、(1)から次元以上であることがわかっていた。よって次元はちょうどである。 - を列ベクトル
に対応させると、問題の方程式は
を解くことに等しい。この解は
であるから、問題の方程式の解は
であることがわかる。