群論1の続きです。前回のやり残しをやった後に、本題に入ります。
$G$が群であるとき、その元の個数$|G|$をGの位数という。位数が有限な群のことを有限群という。有限でない群を無限群という。
$G$の位数というのは、ざっくり言うと、群$G$の要素数のことです。群でない一般の集合$ X$についても$|X|$のことは$X$の元の個数を表すものとします。
群$G$と$a\in G , n\in \mathbb{N} $に対し、
$a^0=1 , a\cdots a=a^n , a^{-n}=(a^n)^{-1}$ (2.1)
と定義します。$n,m\in \mathbb{Z} $なら、指数法則が成り立ちます。
つまり、
$a^{n+m}=a^na^m , (a^n)^m=a^{nm}$
となっている、ということです。
群がアーベル群で、群の演算を$a+b$と表している場合は、$a^n$の代わりに$na$と書きます。
$G$を群とするとき、次の(1)~(4)が成り立つ。
(1)群の単位元は一つしかない。
(2)$a\in G$に対して、その逆元は一意的に定まる。
(3)$a,b\in G$なら、$(ab)^{-1}=b^{-1}a^{-1}$
(4)$a\in G$なら、$(a^{-1})^{-1}=a$
証明
(1)$G$の単位元を$eとf$とする。このとき、$ \forall a\in G$に対して、
$a\cdot e = e\cdot a=a \cdots➀$
$a\cdot f = f \cdot a=a\cdots ②$
が成り立つ。➀において、$a=f$とすると、
$f\cdot e = e\cdot f = f$
同様に②において$a=e$とすると、
$e\cdot f=f\cdot e=e$
これより、$f=e$が成り立つ。したがって、単位元はただ一つである。
(2)$b,b'$が$a$の逆元だったとする。
このとき、
$b=(b'a)b=b'(ab)=b'$(結合法則より)
が成り立つ。
(3)結合法則より$(b^{-1}a^{-1})ab=b^{-1}(a^{-1}a)b=b^{-1}b=1$
同様にして、$ab(b^{-1}a^{-1})=1$
したがって、$b^{-1}a^{-1}はab$の逆元である。
(4)$aa^{-1}=a^{-1}a=1$である。
これを$(a^{-1})^{-1}$を定義する関係式とみなすと、
$(a^{-1})^{-1}a^{-1}=a^{-1}(a^{-1})^{-1}=1$が成り立ち、
これはつまり、$a=(a^{-1})^{-1}$であることを意味している。□
ここからが本題です。今回は部分群と巡回群について解説します。ここでは、部分群に絞って説明していきます。
$G$を群、$H \subset G$を部分集合とする。$H$が$ G$の演算によって群になるとき、$H$は$G$の部分群という。
部分群になるには条件があります。それが、下の定理です。
群$G$の部分集合$H$が$G$の部分群になるための必要十分条件は、次の三つの条件が満たされることである。
(1)$1_G\in H$
(2)$x,y\in H $ なら$xy\in H$
(3)$x\in H$なら$x^{-1}\in H$
$H$が部分群になるためには、$G$の単位元が存在していること、積(または和)について閉じていること、すべての元において逆元が存在すること、すべてを満たす必要があります。これまで同様に本当$H$が部分になるための必要十分条件となっているのかを見てみましょう。
証明
十分条件:$H$が部分群ならば、三つの条件を満たす
これは明らかに成り立つ。$H$が部分群ならば、$H$は結合法則が成り立ち、すべての元について逆元を持つので(2)及び(3)が成り立つことが言える。
単位元についても簡単に示せる。
$H$の単位元を$1_H$とおいたとき、当然、$H$は$G$の部分集合なので、$1_H \in G$。命題1(1)より単位元はただ一つなので、$G$の単位元を$1_G$としたとき、$1_G = 1_H$となる。
必要条件:三つの条件を満たすならば、$H$は部分群である。
(1)より$H$は空集合でない。(2)より$G$の群の演算は写像$H\times H \rightarrow H$を定める。
すべての$x\in H$に対して、
$x1_G=1_G x = x$が成り立つから、$1_G$は$H$の単位元となる。
$G$のすべての元において結合法則が成り立つから、$H$も当然、結合法則が成り立つ。
$x\in H$なら、$G$の元としての$x^{-1}$は(3)より$H$の元であるから、
$xx^{-1}=x^{-1}x=1_G$
なので、$H$において、$x^{-1}$は$x$の逆元となる。
したがって、$H$は$G$の演算により群となる。□
しかし、命題2で示した部分群の条件をすべて確認することなく、部分群であることを示す方法がある。それが次の補題である。
$G$を群とするとき、$H \subset G$を空でない部分集合とするとき、$H$が部分群であるための必要十分条件は、任意の元$x,y\in H$に対して$x^{-1}y\in H$である。
証明
(i)$H$が部分であるとする。
$ \forall x\in H$について、逆元$x^{-1}\in H$が存在する。
$y\in H$で$H$は積について閉じているから、$x^{-1}y\in H$.
(ii)任意の元$x,y\in H$に対して$x^{-1}y\in H$であるとする。
$G$の単位元を$1_G$とする。このとき、$1_G=x^{-1}x\in H$である。
任意の元$x\in H$に対して、$x^{-1}1_G=x^{-1}\in H$.
任意の元$x,y\in H$に対して、$x^{-1}\in H$より$(x^{-1})^{-1}y =xy\in H$.
よって、$H$は群となる。
この補題3により定理2で示した三つの条件をすべて確認せずとも、$x^{-1}y$が$H$に含まれているかを見てあげれば、部分群であるかどうかを判定することができます。
$H_1 , H_2$が群$G$の部分群なら、$H_1 \cap H_2$も$G$の部分群である。
この命題の証明は簡単のため、省略する。
部分群の例を一つのみ紹介します。他の部分群の例についてはまたの機会に説明することとします。
$G$が群なら、$\{1\} , G$は$G$の部分群である。これを$G$の自明な部分群という。$G$以外の部分群は真部分群という。
一つの元で生成される群を巡回群という。群の部分群で巡回群であるものを巡回部分群という。
群$G$が巡回群であるとは、ある一つの元$a\in G$が存在して、$G$のすべての元$g$が固定された$a$のベキ、$g=a^n(n\in \mathbb{N} )$という形をしていることです。
群$G$が巡回群で、ある$x\in G$があったとき、$G=\{x^n |n\in \mathbb{N} \}$と表されます。
巡回群の一つの特徴として、次の命題が成り立ちます。
巡回群はアーベル群である。
今回は以上です。