東大数理院試過去問解答例(2017B12)

ここでは東大数理の修士課程の院試の2017B12の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2017B12

境界値問題(P1)
${\begin{array}{cc} Δ u = 0 & (x, y) \in D \\ u (\cos θ, \sin θ) = 2 \cos^{3} θ - \sin θ \cos θ \end{array}$
及び(P2)
${\begin{array}{cc} Δ v = 0 & (x, y) \in D ∖ {(0, 0)} \\ v (\cos θ, \sin θ) = 2 \cos^{3} θ - \sin θ \cos θ \end{array}$

を考える。

等式
$Δ = \frac{\partial^{2}}{\partial r^{2}} + \frac{1}{r} \frac{\partial}{\partial r} + \frac{1}{r^{2}} \frac{\partial^{2}}{\partial θ^{2}}$
を示しなさい。
境界値問題(P1)を満たす $D$ 上 $C^{2}$ 級な連続関数 $u : \overset{―}{D} \to R$ を全て求めなさい。
境界値問題(P2)を満たす $D ∖ {(0, 0)}$ 上 $C^{2}$ 級な連続関数 $v : \overset{―}{D} ∖ {(0, 0)} \to R$ を、 $u |_{\overset{―}{D} ∖ {(0, 0)}}$ 以外で一つ挙げなさい。

まず
$\frac{\partial}{\partial x} = \cos θ \frac{\partial}{\partial r} - \frac{\sin θ}{r} \frac{\partial}{\partial θ}$
$\frac{\partial}{\partial y} = \sin θ \frac{\partial}{\partial r} + \frac{\cos θ}{r} \frac{\partial}{\partial θ}$
である。よって
$\begin{aligned} \frac{\partial^{2}}{\partial x^{2}} & = (\cos θ \frac{\partial}{\partial r} - \frac{\sin θ}{r} \frac{\partial}{\partial θ}) (\cos θ \frac{\partial}{\partial r} - \frac{\sin θ}{r} \frac{\partial}{\partial θ}) \\ = \cos^{2} θ \frac{\partial}{\partial r^{2}} + \frac{\sin^{2} θ}{r} \frac{\partial}{\partial r} - \frac{2 \sin θ \cos θ}{r} \frac{\partial^{2}}{\partial r \partial θ} + \frac{2 \sin θ \cos θ}{r^{2}} \frac{\partial}{\partial θ} + \frac{\sin^{2} θ}{r} \frac{\partial}{\partial r} + \frac{\sin^{2} θ}{r^{2}} \frac{\partial^{2}}{\partial θ^{2}} \end{aligned}$
$\begin{aligned} \frac{\partial^{2}}{\partial y^{2}} & = (\sin θ \frac{\partial}{\partial r} + \frac{\cos θ}{r} \frac{\partial}{\partial θ}) (\sin θ \frac{\partial}{\partial r} + \frac{\cos θ}{r} \frac{\partial}{\partial θ}) \\ = \sin^{2} θ \frac{\partial}{\partial r^{2}} + \frac{\cos^{2} θ}{r} \frac{\partial}{\partial r} + \frac{2 \sin θ \cos θ}{r} \frac{\partial^{2}}{\partial r \partial θ} - \frac{2 \sin θ \cos θ}{r^{2}} \frac{\partial}{\partial θ} + \frac{\cos^{2} θ}{r} \frac{\partial}{\partial r} + \frac{\sin^{2} θ}{r^{2}} \frac{\partial^{2}}{\partial θ^{2}} \end{aligned}$
であり、これらを足すことで結果が得られる。
まず
$u = 2 (x^{3} - 3 x y^{2}) - x y$
とおく。これは所望の条件を満たしている。
　そして $u_{1}, u_{2}$ を解とすると $u = u_{1} - u_{2}$ は $Δ u = 0$ であり、 $\partial D$ 上 $0$ になっている。あとは最大値原理から $u = 0$ が従うから、 $u_{1} = u_{2}$ である。よって(P1)の解は上で挙げた $u$ で尽くされている。
まず
$u = \log (x^{2} + y^{2}) + 2 (x^{3} - 3 x y^{2}) - x y$
とおく。これは所望の条件を満たしている。

投稿日：2月20日

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藍色日和

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