フォンノイマン環の分類については、和書で記述されていることが多い。しかしながら、環の特殊な場合とも言えるフォンノイマン環の分類より環の方が、初歩的なことに限れば入門しやすいかも知れない。今日は、そのことについて基本的な事実をメモすることを本稿の目的とする。
環が 型だった時の同値な言い換えを取ってみても、フォンノイマン環の分類の場合の証明手法とは異なるなど面白さが感じられるから、どうぞごゆっくり。
以下、を環とする。は無限次元ヒルベルト空間とする。
の正元がabelianであるとは、によって生成されるhereditary 部分環すなわちが可換であることを言う。
I型von Neumann環は一般に環としてI型とは限らないことに注意。これは、von Neumann環の剰余環であるカルキン環は可換な元を持たないことから明らかである。このことは、カルキン環は単純だったことから。
がabelianでが既約表現とすると、はにおいてabelianである。が既約表現のときであるからは可換となりを満たす(任意のに対しはの巡回ベクトルなのでより)。
逆にとし、任意の既約表現に対してとすると、をuniversal representation で送った先のは可換であることが確かめられる。は忠実だからはabelianとなる。
がHilbert空間にacting irreduciblyする作用素がなす環であって、ならば、が成り立つ。
の任意の忠実な既約表現は恒等表現とユニタリー同値である。
なので、有限階の射影が存在する。MurphyのTheorem 2.4.9を参照する。後半の主張はが忠実な表現となるの任意の純粋状態が、のあるベクトルを用いて一意的に決定できることを示せば良い。が忠実だからであり、よって上の純粋状態は0ではない。これは、ある単位ベクトルが存在し、任意のに対しを意味する()。イデアル上の状態の定義域をとする拡張は一意的だから、任意のでである。()と実際にユニタリー同値となることはMurphy p.146を参照する。次の事実を使えばいい。
巡回ベクトルをそれぞれに持つ環の部分表現がequivalent with isometry s.t.
であることとは同値である。実際、
と定めると、確かにはisometryである。実際
であり、このを巡回ベクトルの性質を用いてと拡張できる。
を満たすabelianとするときは上のrank 1の射影となる。前定理よりである。はabelianな元つまりrank 1の有限階作用素で生成され最小性からが成り立つ。
abelianな元によって生成されるの型-極大イデアルである。
をabelianな元を含む、における最小のhereditaryな凸錐とする。と、有限集合でかつはabelianを満たすものが存在することは同値である。正元和での表示にすることを考え、任意のに対してが取れる。
abelianな元が存在してと書ける任意の正元はabelianで、がabelianなることからもabelianとなる。
よってはabelianな正元の和だからである。任意のユニタリーに対してが成り立つ(Murphy 3.3.2よりで上からがで閉である)。ではの全てのabelianな元を含むため、を満たす。すなわち凸錐の定義からはのイデアルである。のイデアル内でabelianな元はにおいてもabelianなので、はの極大型-イデアルである。
環の任意の元は、abelianな元の和として書ける近似単位元をもつ。でhereditaryな稠密凸錐であるため、の近似単位元を含む。つまり、環には近似単位元が存在するがが型の場合それが常にabelianなを用いてと書ける。
ここから、色んなことが導かれる。例えば、
任意の環は型の極大イデアルをもち、は antiliminary