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∫[0,π]log(t+cos(x))dxとチェビシェフ多項式

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本記事について

本記事は
0πlog(t+cos(x))dx
と、その類似
0πlog(t2+cos2(x))dx
の計算結果を代数的な計算の帰結として初等的に得ること。
およびそれを以て 級数・積分bot の次の2題
0πlog(54+cos(x))dx=0
0π2log(916+cos2(x))dx=0

を初等的に倒すことを目的としている。

ログサイン積分

とっかかりとして、次の有名な積分
0π2log(sinθ)dθ=12πlog2
が、次の三角関数の積の公式
k=1n1sin(kπn)=n2n1
の系として得られるということに気づいたということがある。これは
積の公式の両辺の対数を取ってnで割ると
1nk=1n1log(sin(kπn))=1nlog(n)n1nlog(2)
が得られるので、nとすると
01log(sin(πx))dx=log(2)
が得られることから従う。極限を取る際に消えている情報も見て取れ
積の公式のほうがより精密であることがわかる。

∫[0,π]log(t+cos(x))dxの精密化

ログサイン積分での方法論から言えば
0πlog(t+cos(x))dx

k=1n1(t+cos(kπn))
が計算できれば元の積分より精密な結果が得られ
以て積分の計算もできるであろうと予想できる。
上式と大差のない(ttと置き換えて正負を変えた)
k=1n1(tcos(kπn))
を考えると、これはcos(kπn)を根に持つ多項式だから
三角方程式sin(nθ)=0の解がθ=kπn,k=0,1,,n1
であることを踏まえて考えればよさそうだとわかる。
分かる人であれば第2種チェビシェフ多項式で通じるところだが
極力記事を自己完結的に済ませたいので計算をすると
ド・モアブルの定理から
(cos(x)+1sin(x))n=cos(nx)+1sin(nx)
左辺を二項定理で展開すると
(cos(x)+1sin(x))n=k=0n1k(nk)cosnk(x)sink(x)
一つ目の式と二つ目の式の虚部を比較することで
sin(nx)=k=0[(n1)/2](1)k(n2k+1)cosn2k1(x)sin2k+1(x)
両辺sin(x)で割ると
sin(nx)sin(x)=k=0[(n1)/2](1)k(n2k+1)cosn2k1(x)sin2k(x)=k=0[(n1)/2](1)k(n2k+1)cosn2k1(x)(1cos2(x))k
sin(nx)sin(x)=k=0[(n1)/2](n2k+1)cosn2k1(x)(cos2(x)1)k
右辺はcos(x)=tとしてtの多項式と見なせ
左辺=0はx=kπn,k=1,,n1を解にもつから、因数定理よりCを定数として
sin(nx)sin(x)=Ck=1n1(tcos(kπn))
と書けることがわかる。
右辺のtの最高次の係数がCであるのに対し
sin(nx)sin(x)=k=0[(n1)/2](n2k+1)tn2k1(t21)k
の右辺のtの最高次の係数は
k=0[(n1)/2](n2k+1)=2n1
より
k=0[(n1)/2](n2k+1)tn2k1(t21)k=2n1k=1n1(tcos(kπn))
またt1倍すると
k=0[(n1)/2](n2k+1)tn2k1(t21)k=2n1k=1n1(t+cos(kπn))
これはもともとt=cos(x)だったことを離れtについての多項式の等式と見なせる。
よってt>1としてもよく、その時
2n1k=1n1(t+cos(kπn))=12t21{(t+t21)n(tt21)n}
k=1n1(t+cos(kπn))=(t+t21)n2nt21{1(1t+t21)2n}
よって
1nk=1n1log(t+cos(kπn))=log(t+t21)log(2)1nlog(t21)+1nlog(1(1t+t21)2n)
nで右辺第3項、第4項は0に収束するので
01log(t+cos(πx))dx=log(t+t21)log(2) (t>1)
πx=yの変数変換から
0πlog(t+cos(y))dy=π(log(t+t21)log(2)) (t>1)
t=5/4とすれば
0πlog(54+cos(y))dy=π(log(54+25161)log(2))=π(log(54+34)log(2))=0

∫[0,π]log(a^2+cos^2(x))dxの精密化

こちらの主要な話はすでに前の段で終わっていて
前の段で得られた
k=0[(n1)/2](n2k+1)tn2k1(t21)k=2n1k=1n1(tcos(kπn))
t1倍して得られる
k=0[(n1)/2](n2k+1)tn2k1(t21)k=2n1k=1n1(t+cos(kπn))
の辺々をかけると
[k=0[(n1)/2](n2k+1)tn2k1(t21)k]2=22n2k=1n1(t2cos2(kπn))
となり、これのt1倍して得られる
[(1)n1k=0[(n1)/2](n2k+1)tn2k1(t2+1)k]2=(1)n122n2k=1n1(t2+cos2(kπn))
[k=0[(n1)/2](n2k+1)tn2k1(t2+1)k]2=22n2k=1n1(t2+cos2(kπn))
ゆえ(こちらの場合はtの大小によらず)
22n2k=1n1(t2+cos2(kπn))=[12t2+1{(t+t2+1)n(tt2+1)n}]2
22n2k=1n1(t2+cos2(kπn))=122(t2+1){(t+t2+1)n(tt2+1)n}2
k=1n1(t2+cos2(kπn))=(t+t2+1)2n22n(t2+1){1(1t+t2+1)2n}2
01log(t2+cos2(πx))dx=2(log(t+t2+1)log(2))
0π2log(t2+cos2(y))dy=π(log(t+t2+1)log(2))
t=3/4とすれば
0π2log(916+cos2(y))dy=π(log(34+916+1)log(2))=π(log(34+54)log(2))=0

終わりに

三角関数を含む積分について、適切に離散化すれば代数的な構造を
持ち込むことができ、計算の見通しがつけやすくなるという問題でした。
積分についてそういうことやったのが今回の記事で
級数についてやると 前回の記事 になります。
級数・積分bot にはこういう視点で倒してみたい問題が
まだいくつかあるので、ぼちぼちやっていきたい。

9/13追記
0πlog(54+cos(x))dx=0
について積分範囲をπ2までと勘違いしていたうえに、
それとつじつまを合わせるよう誤った計算をしていたため修正。

投稿日:202498
更新日:2024913
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