この記事ではディリクレのベータ関数
の特殊値
そのために次のような
前提知識としては高校の理系数学が分かれば大丈夫な範囲を目標とする。
いきなり複素指数関数で「何が高校理系数学か」なのだが
ここでは単に
という右辺の略記以上では用いない。これに施す計算は
ド・モアブルの定理と呼ばれる範囲となる。
補題の一つ目の式について、公比
※
また、分子を加法定理で分ければ
補題の二つ目の式についても同様に、公比
1つめの式に
これの両辺を
となる。左辺は指数法則から
となる。この右辺の状況をもう少し整理する。
各
と書ける。(長々と書いたが要は
結局次の等式を得る
ここで
を定理2を利用して計算していく。計算するうえで奇数乗である必要はないので、
改めて以下の和を考える
これを計算するために、まず少し和の範囲を変えた
を考えると、
より
これと、定理2
から
と書けることがわかる。右辺の(有限)二重和はそれぞれの和に依存関係がないので和の順序を入れ替えると
右辺の内側の和について、
補題1の2つ目の式より
よって
と計算できる。まとめると以下のようになる。
ここで
計算はできたものの、定理3は一見での具体性に乏しいため
小さなmについてより具体的に計算をしてみる。
がどのようになるのかを考える。定理3より
となる。
とわかる。
定理3より
となる。
となる。
ゆえ
定理3より
となる。
これより
同様に
ゆえ
ここからはこれまでと毛色を変えて有限三角関数類似とディリクレベータ関数の特殊値
次を示す。
上記の証明のため、次の補題を準備する。
は
と置くと
より、
として
これの後ろ2項について
より
ゆえ
よって
以上から
より
両辺
と置き、
(1)の不等式より
以上から
各辺
さほどやることは変わらないので省略する。
より
これはライプニッツ級数としてもよく知られる結果の確認となっている。
より
ここからは当初に掲げた初等性と若干の厳密性を投げ捨てて
どこまでのことが一般的に言えそうかを眺める。
まず、
由来とすることからも明らかな通り
を(通常型)母関数として持つ。等比数列の和を計算すると
分子と分母を分けて考えると
より
ただし最後のkについての和は
これより
定理4を念頭に
右辺を整理すると
となるので結局次の表示が得られた。
左辺の和は通常ベルヌイ数やオイラー数を用いて表示されるが、
そういった数列を用いていない表示という意味で右辺はそれなりにまとまっていると思われる。
(※左辺についてmが偶数の場合は本記事で示していないが証明は奇数の場合よりやさしい)
今後の課題は
・最後の形式的冪級数を母関数として行った計算はもうちょっとスマートにならないのか
・定理6の右辺の二重和はベルヌイ多項式やオイラー多項式の明示公式としてwikipediaに記載があるものと類似性があるので
二重和より簡単になることはないと思うが二項係数の表れ方が異なっており
そこの関係性がどうなっているのか
・極限を取る前の三角関数類似の
今のところ二項係数の二重和となっているがこれはもっと整理できるのか。
(ベルヌイ数などを用いれば閉じた形にかけるのか)
最後のは単に私が知らないだけで既に世に知られているのかもしれない。
本記事は拙記事シリーズ「三角関数類似を有限和にばらして初等的に何とかしよう」の
第3弾となっているのでご興味があれば以前の記事もどうぞ
第1弾
ディリクレ積分の初等的証明
第2弾
矩形波・のこぎり波のフーリエ展開の初等的計算
第3弾三角関数類似によるディリクレベータ関数の特殊値の初等的計算(本記事)
何とやってることがだいたい全部一緒。
もう一つ二つ書けそうなことが残っているのでそのうち続きが出ますが
今回の記事は特に頑張った感があるので次はもっとこじんまりしていると思います。