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京大数学科院試過去問解答例(2015専門01)

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ここでは京大数学教室・RIMSの修士課程の院試の2015専門01の解答例を解説していきます(但し解説の都合上少し問題を改変しています)。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2015専門01

非可換群$G$が次の条件

  1. $G$の相異なる非自明な正規部分群$N_1,N_2$をどのように取っても、包含関係$N_1\subseteq N_2$は成り立たない。

次の問いに答えなさい。

  1. $G$が相異なる非自明な部分群$N_1,N_2$を持つとする。このとき$G=N_1\times N_2$を示しなさい。
  2. $G$の非自明な部分群の個数は$2$個以下であることを示しなさい。
  1. まず二つの非自明な正規部分群$N_1,N_2$を取ったとき、$N_1\cap N_2$も正規部分群なので(i)より$N_1\cap N_2=\{1\}$である。次に$N_1$$N_2$で生成される部分群も正規部分群なので条件(i)より$G=N_1N_2$である。また$N_1$及び$N_2$の正規性から
    $$ [N_1:N_2]=N_1\cap N_2=\{1\} $$
    であるから$N_1$の元と$N_2$の元は可換である。以上から$G=N_1\times N_2$が従う。
  2. 初めに$G$が相異なる非自明な正規部分群を$2$つ以上持つとし、これらのうち$2$つを$N_1,N_2$する。$N_1$及び$N_2$は非自明な正規部分群を持たない。ここで$N$$G$の非自明な正規部分群とする。ここで$N_1$の部分群
    $$ H_1=\{n_1\in N_1|\exists b\in N_{2}\textrm{ s.t. }(n_1,b)\in N\} $$
    $N_1$の正規部分群であるから、$N_1,\{1\}$のいずれかになる。後者のとき$N=\{1\},N_2$が従う。また$H_2$を同様に定義したとき、これも$N_2,\{1\}$のいずれかになり、後者のとき$N=\{1\}, N_1$が従う。以下
    $$ H_1=N_1 $$
    $$ H_2=N_2 $$
    として矛盾を導く。ここで$N\cap N_1=N\cap N_2=\{1\}$であることを考慮すると、ある群同型$f:N_1\simeq N_2$が存在して
    $$ N=\{(n,f(n))|n\in N_1\} $$
    である。このとき$n$を固定すると、$N_1$の中心は自明であるから、$j\in N_1$
    $$ in\neq ni $$
    を満たすように取ることができる。このとき
    $$ (i,1)(n,f(n))(i^{-1},1)=(ini^{-1},f(n))\not\in N $$
    であるから$N$の非正規性が従い矛盾する。以上から条件(i)を満たす$G=N_1\times N_2$の部分群は$N_1,N_2$のみである。以上で結果が示せた。
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント

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