何回かに分けて半直積の性質を調べていきたいと思います.この記事はRotman,An Introduction to the Theory of Groupsのコピペ(和訳)です.
を群, とする. の部分群が
を満たすときをの補群という.
を群, とする. の部分群が
を満たすときをKとの半直積という.つまりが補群を持つ.
ここで, がいつ(と同型な部分群)とKの半直積になるか考えてみます.(直積は二つの正規部分群の元同士が可換でなければならずこの条件は多くに場合に満たしそうにありません.)
この条件はが補群を持つことと同値です.
が補群を持つとすると, は同型である.
単射性を見る. とするととなり.
全射性を見る.任意にを取る. 仮定から, , と表せる. からでありである.
逆にがとに同型な部分群の半直積ならが補群を持つことは定義から明らかです.
ところで, 上のように半直積にならないことはあるのでしょうか.
において, はと同型な部分群を持たないので半直積にならない.
の元は以外位数が無限なので割ることで初めて有限群になります.
4元数群に対しを考えると商はクラインの4群に同型だが, 位数2の元はのみなのではクラインの4群と同型な部分群を含まない.
では, いつ半直積になるのでしょうか.次の同値な条件が存在します.
を群, とする.次の4条件は同値.
(1)はで補群を持つ.
(2)あるが存在して任意のは, , と一意に表せる.
(3)ある準同型が存在してを満たす.
(短完全列が分裂する.)
(4)ある準同型が存在して, , を満たす.
(1)(2)
を補群として, , とする. なので, .よって一意に表せる.
(2)(3)
仮定を用いてを ()と表したときとして定める. とする.ここから一つ元をとると , と2通りに表せるが, 仮定の一意性から, なのではwell-defined. が部分群をなすことと商群の積の定義から準同型であることは明らか. とするとなので.
(3)(4)
が条件を満たすことを見る. , とすると仮定からとなりは単射.よって
となり.
またとし, とすると.
(4)(1)
に対しなので. なのではの補群である.
最後の条件が示すようにべき等な自己準同型が存在して像が核の補群になっているんですね.
次回は十分条件を調べたいと思います.