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はじめに
この記事は 2026年3月10日10:00 ~ 2026年3月13日18:00 の期間にポロロッカ上で私が開催したコンテスト
SPRC001
の問題文と解説をまとめたものです.
解説自体は元のコンテストページでも閲覧可能ですが,正解もしくはギブアップをしないと見ることができないので,これを書きました.ついでに多少の修正や解法の追加,よく使う手法や類題の記載もしました.
P問題を除いたすべての問題が,多項式の根の累乗和に関係した問題になっています.
ニュートンの恒等式の習得におすすめだよ
よく使う手法
ここでは,多項式とは1変数多項式のことを指すものとします.
定理名は適当です.
解の逆数を解に持つ方程式
($0$を根に持たない)多項式の根それぞれの逆数を根にもつ多項式は,元の多項式の係数を逆順に並べたものである.
証明
$x$に関する$n$次方程式
$$a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+...+a_1x+a_0=0,(a_0,a_n≠0)$$の解$\alpha$について,($a_0≠0$なので)$\alpha=\frac{1}{\frac{1}{\alpha}}$である.
$\alpha=\frac{1}{\frac{1}{\alpha}}$を式に代入すると,
$$a_n\frac{1}{\frac{1}{{\alpha}^n}}+a_{n-1}\frac{1}{\frac{1}{{\alpha}^{n-1}}}+...+a_1\frac{1}{\frac{1}{\alpha}}+a_0=0$$
両辺に$\frac{1}{{\alpha}^n}$をかけると,
$$a_0\frac{1}{{\alpha}^n}+a_1\frac{1}{{\alpha}^{n-1}}+...+a_{n-1}\frac{1}{{\alpha}}+a_n=0$$
となるから,係数を逆順にした
$$a_0x^n+a_1x^{n-1}+...+a_{n-1}x+a_n=0,(a_0,a_n≠0)$$
は,もとの方程式の解$\alpha$すべてについて,その逆数$\frac{1}{\alpha}$を解にもつ.
解の累乗和の漸化式
$x$に関する${n}$次方程式
$${a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+…+a_2x^2+a_1x+a_0=0}$$
の${n}$個の複素数解の${k}$乗の和を${S_k}$とすると,
$${a_nS_{k+n}+a_{n-1}S_{k+n-1}+…+a_2S_{k+2}+a_1S_{k+1}+a_0S_k=0}$$
が成り立つ.ただし,${a_n,a_0≠0}$,${k}$は整数.
証明
${x^k}$を方程式の両辺にかける.
その式の${x}$に解を代入した式の両辺を,${n}$個の解すべてについてそれぞれ足し合わせることで上記の式が導かれる.
補足:
$a_0=0$でも$k \geq 0$なら適用可能.
$a_0=0,k \lt 0$の場合は方程式を因数分解し,定数項が$0$でない方について考えるとよい.
ニュートンの恒等式(定理2風の表記)
$x$に関する${n}$次方程式
$${a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+…+a_2x^2+a_1x+a_0=0}$$
の${n}$個の複素数解の${k}$乗の和を${S_k}$とすると,
$${a_nS_{k}+a_{n-1}S_{k-1}+…+a_{n-k+1}S_{1}+a_{n-k}k=0}$$
が成り立つ.ただし,$a_n≠0$,$1 \leq k \leq n-1$.
証明
ニュートンの恒等式とその証明
を参照
これと$(-1)^k\frac{a_{n-k}}{a_n}$が${n}$個の解の${k}$次の基本対称式であることから示された.
補足:
これは$a_{n-k}=0$のときも成り立つ.$0$を解に持っていようが,$a_{n-k}=0$なので項の値に影響はない.
これは本来のニュートンの恒等式より主張が少し弱い.(本来の主張では変数より多い次数の基本対称式が登場しても成り立つ.)
参考:
AoPS - Newton's Sums
ニュートンの恒等式の系
${n}$次方程式について,${S_k(1 \leq k \leq n-1)}$は,方程式の${n}$次〜${n−k}$次の係数までにしか依存しない.
すなわち,${n-k-1}$次〜${0}$次(定数項)の係数をどのように変えても,${S_k}$は変化しない.
証明
ニュートンの恒等式の主張から,${S_k}$は${1}$次〜${k}$次の基本対称式と,${S_1}$〜${S_{k-1}}$(と,${k}$)にしか依存しないことがわかる.
${S_1}$〜${S_{k-1}}$についても上記のことを考えれば,${S_k}$は${k}$次以下の基本対称式と${1}$~${k}$のみを用いて表すことができ,${k+1}$次以上の基本対称式の値によらない.
${n}$次方程式において,${(-1)^k\frac{{n-k}\mathtt{次の係数}}{n\mathtt{次の係数}}}$が${n}$個の解の${k}$次の基本対称式であることから示された.
補足:
定理3を日本語で言うとこんな感じ.$k=1,2$などを考えると実感できそう.
参考:
OMC200(E) ユーザー解説 by zplc
f'/f
$x=\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_n$を解にもつ$n$次方程式
$$f(x)=a(x-\alpha_1)(x-\alpha_2)...(x-\alpha_n)=0$$
について,
$$\frac{f'(x)}{f(x)}=\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{x-\alpha_k}$$
が成り立つ.
証明
$$f(x)=a(x-\alpha_1)(x-\alpha_2)...(x-\alpha_n)$$
について,両辺の絶対値をとると
$$|f(x)|=|a||x-\alpha_1||x-\alpha_2|...|x-\alpha_n|$$
両辺の自然対数をとると
$$\mathrm{log}|f(x)|=\mathrm{log}|a|+\sum_{k=1}^{n}\mathrm{log}|x-\alpha_k|$$
両辺を$x$で微分すると
$$\frac{f'(x)}{f(x)}=\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{x-\alpha_k}$$
となり,示された.
補足:
複素数係数の微分をしているが,それを避けるなら共役複素数の組ごとにまとめて考えればよい.
xf'/f
$n$次方程式$f(x)=0$の${n}$個の複素数解の${k}$乗の和を${S_k}$とすると,
$$\frac{xf'(x)}{f(x)}=\sum_{k=0}^{\infty}\frac{S_k}{x^k}$$
が成り立つ.
証明
$f(x)=0$の解を$x=\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_n$とする.
定理5から,
$$\frac{f'(x)}{f(x)}=\sum_{i=1}^{n}\frac{1}{x-\alpha_i}$$
よって,
$$\frac{xf'(x)}{f(x)}=\sum_{i=1}^{n}\frac{x}{x-\alpha_i}=\sum_{i=1}^{n}\frac{1}{1-\frac{\alpha_i}{x}}$$
$\left|\frac{\alpha_i}{x}\right|<1$であるような十分大きい$x$において
$$\sum_{i=1}^{n}\frac{1}{1-\frac{\alpha_i}{x}}=\sum_{i=1}^{n}\left(1+\frac{\alpha_i}{x}+\frac{\alpha_i^2}{x^2}+...\right)=\sum_{i=1}^{n}\sum_{k=0}^{\infty}\frac{\alpha_i^k}{x^k}$$
また
$$\sum_{i=1}^{n}\sum_{k=0}^{\infty}\frac{\alpha_i^k}{x^k}=\sum_{k=0}^{\infty}\sum_{i=1}^{n}\frac{\alpha_i^k}{x^k}=\sum_{k=0}^{\infty}\frac{S_k}{x^k}$$
であるから,示された.
補足:
よく使う手法という項目に置いてますが,私は定理6はほぼ使いません.
左辺に対して,数学2で習うような多項式の割り算を,余りを出して終わりではなくそのまま計算し続けると,商の$x^{-k}$の位に$S_k$が現れるというもの.
これの左辺の操作$\frac{xf'(x)}{f(x)}$は(MathlogやTwitter等において)超微分と呼ばれることもあります.
参考:
超微分の小ネタ、(モニックな、実係数)n次関数の超微分と解のm乗和 - Mathlog
n次方程式のn個の解のk乗の和の求め方について(pdf)
問題・解説
SPRC001[A]
${x}$に関する${2025}$次方程式
$${2026x^{2025}-2025x^{2024}-2x+1=0}$$
の重複を含めた${2025}$個の複素数解を${α_1, α_2, ...,α_{2025}}$とします.以下の値を求めてください.
$$\sum_{k=1}^{2025}α_k$$
解説
解と係数の関係から,
$$\sum_{k=1}^{2025}α_k=-\frac{-2025}{2026}=\frac{2025}{2026}$$
求める値は$\boldsymbol{\frac{2025}{2026}}$
また,${2026x^{2025}-2025x^{2024}-2x+1=2026(x-\alpha_1)(x-\alpha_2)...(x-\alpha_{2025})}$であるから,両辺の${x^{2024}}$の係数を比較しても求めることができる.(これが解と係数の関係の導出過程)
SPRC001[B]
${x}$に関する${100}$次方程式
$${x^{100}+27x^{99}+9x^{98}+243=0}$$
の重複を含めた${100}$個の複素数解を${α_1, α_2, ...,α_{100}}$とします.以下の値を求めてください.
$$\sum_{k=1}^{100}α_k^2$$
解説
$${\sum_{k=1}^{100}\alpha_{k}^{2}=\left(\sum_{k=1}^{100}\alpha_k\right)^2-2\sum_{1\le i \lt j \le 100}\alpha_i\alpha_j}$$
解と係数の関係から,
$${\sum_{k=1}^{100}\alpha_k=-27}$$
$${\sum_{1\le i \lt j \le 100}\alpha_i\alpha_j=9}$$
であるから,求める値は$(-27)^2-2×9=\boldsymbol{711}$
SPRC001[C]
$x$に関する$10$次方程式
$${x^{10}+2x^9+4x^2+3x-2026=0}$$
の重複を含めた$10$個の複素数解を$\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_{10}$とします.以下の値を求めてください.
$${\sum_{k=1}^{10}\frac{1}{\alpha_k}}$$
解説1
定理1から,求める値は係数を逆順にした方程式$${2026x^{10}-3x^9-4x^8-2x-1=0}$$
の解の総和に等しく,これは解と係数の関係から${\boldsymbol{\frac{3}{2026}}}$
解説2
求めるべき分数の和を通分すると
$${\sum_{k=1}^{10}\frac{1}{\alpha_k}=\frac{\sum_{1 \le i_1< i_2<...< i_9 \le 10}(\alpha_{i_1}\alpha_{i_2}...\alpha_{i_9})}{\alpha_{1}\alpha_{2}...\alpha_{10}}}$$
解と係数の関係から,$${\sum_{1 \le i_1< i_2<...< i_9 \le 10}(\alpha_{i_1}\alpha_{i_2}...\alpha_{i_9})=-3}$$
$${\alpha_{1}\alpha_{2}...\alpha_{10}=-2026}$$
よって,求める値は${\frac{-3}{-2026}=\boldsymbol{\frac{3}{2026}}}$
SPRC001[D]
${x}$に関する${2026}$次方程式
$${x^{2026}+2025x-2024=0}$$
の重複を含めた${2026}$個の複素数解を${α_1,α_2,...,α_{2026}}$とします.以下の値を求めてください.
$${\sum_{k=1}^{2026}α_k^{2026}}$$
解説
${x^{2026}+2025x-2024=0}$$\Longleftrightarrow{x^{2026}=-2025x+2024}$
$x=\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_{2026}$をこの式に代入して足し合わせることで,
$${\sum_{k=1}^{2026}α_k^{2026}=-2025\sum_{k=1}^{2026}\alpha_k+\sum_{k=1}^{2026}2024}$$
また,解と係数の関係から,
$${\sum_{k=1}^{2026}\alpha_k=0}$$
よって,求める値は$2024×2026=\boldsymbol{4100624}$
SPRC001[E]
$x$に関する$7$次方程式
$${x^7+x^6+x^5+x^4+3x^3+3x^2+3x+3=0}$$
の重複を含めた$7$個の複素数解を$\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_7$とします.
$${S_n=\sum_{k=1}^{7}\alpha_{k}^{n}}$$
とするとき,以下の値を求めてください.
$${\prod_{n=1}^{8}\frac{S_{n+4}+S_{n+5}+S_{n+6}+S_{n+7}}{S_n+S_{n+1}+S_{n+2}+S_{n+3}}}$$
ただし,${S_n+S_{n+1}+S_{n+2}+S_{n+3}}$が$n=1,2,...,8$の範囲で$0$にならないことが証明できます.
解説1
定理2から,
$${S_{n+7}+S_{n+6}+S_{n+5}+S_{n+4}+3S_{n+3}+3S_{n+2}+3S_{n+1}+3S_n=0}$$
すなわち
$${S_{n+7}+S_{n+6}+S_{n+5}+S_{n+4}=-3(S_{n+3}+S_{n+2}+S_{n+1}+S_n)}$$
よって,求める値は
$${\prod_{n=1}^{8}\frac{S_{n+4}+S_{n+5}+S_{n+6}+S_{n+7}}{S_n+S_{n+1}+S_{n+2}+S_{n+3}}=\prod_{n=1}^{8}-3=(-3)^8=\boldsymbol{6561}}$$
解説2
${a_n=S_n+S_{n+1}+S_{n+2}+S_{n+3}}$とする.
$${S_{-3}=S_{-2}=S_{-1}=-1,S_0=7,S_1=S_2=S_3=-1}$$
$${S_{n+7}+S_{n+6}+S_{n+5}+S_{n+4}+3(S_{n+3}+S_{n+2}+S_{n+1}+S_n)=0}$$
から$S_n$を順に求めることができるので,$a_n$も順に求めることができる.計算すると,
$${a_1=a_2=a_3=a_4=-12,a_5=a_6=a_7=a_8=36,a_9=a_{10}=a_{11}=a_{12}=-108}$$
よって,求める値は
$${\prod_{n=1}^{8}\frac{a_{n+4}}{a_n}=(-3)^8=\boldsymbol{6561}}$$
SPRC001[F]
$x$に関する$4$次方程式
$${x^4+4x^3+6x^2+8x-2357=0}$$
の重複を含めた${4}$個の複素数解を${\alpha_1,\alpha_2,\alpha_3,\alpha_4}$とします.以下の値を求めてください.
$${\sum_{k=1}^{4} (\alpha_{k}+1)^4}$$
解説1
$\alpha_{k}+1$ $(k=1,2,3,4)$を解にもつ方程式を考え,その方程式の解の$4$乗和を求める.
そのような方程式は,もとの方程式の$x$に$x-1$を代入したものである.
$${x^4+4x^3+6x^2+8x-2357=(x+1)^4+4x-2358}$$であるから,
$\alpha_{k}+1$ $(k=1,2,3,4)$を解に持つ方程式は
$${x^4+4(x-1)-2358=x^4+4x-2362=0}$$
この方程式の$4$個の複素数解を$\beta_1,\beta_2,\beta_3,\beta_4$とすれば,求める値は
$${\sum_{k=1}^{4}{(\alpha_{k}+1})^4=\sum_{k=1}^{4}\beta_{k}^{4}=\sum_{k=1}^{4}\left(-4\beta_k+2362\right)}$$
解と係数の関係から${\sum_{k=1}^{4}\beta_k=0}$なので,求める値は
$${\sum_{k=1}^{4}\left(-4\beta_k+2362\right)=(-4×0)+(4×2362)=\boldsymbol{9448}}$$
解説2
${(\alpha_{k}+1)^4}$を素直に展開して解く.
$${\sum_{k=1}^{4}{(\alpha_{k}+1})^4=\sum_{k=1}^{4}(\alpha_{k}^{4}+4\alpha_{k}^{3}+6\alpha_{k}^{2}+4\alpha_k+1)}$$
$${=\sum_{k=1}^{4}((-4\alpha_{k}^3-6\alpha_{k}^2-8\alpha_k+2357)+4\alpha_{k}^3+6\alpha_{k}^2+4\alpha_k+1)}$$
$${=\sum_{k=1}^{4}(-4\alpha_k+2358)}$$
解と係数の関係から,
$${\sum_{k=1}^{4}\alpha_k=-4}$$
よって,求める値は$(-4×-4)+4×2358=\boldsymbol{9448}$
SPRC001[G]
$x$に関する$2$次方程式
$${x^2+3x+9=0}$$
の$2$つの複素数解を$\alpha,\beta$とします.
$${S_n=\alpha^n+\beta^n}$$
とするとき,以下の値は整数になるので,その正の約数の個数を求めてください.
$${\prod_{n=1}^{243}S_n}$$
解説
$(x^2+3x+9)(x-3)=x^3-27$から,$1$の$3$乗根のうち$1$でないものの一方を$\omega$とすれば,
$${\alpha=3\omega,\beta=3\omega^2}$$
と表せる.よって,
$${\prod_{n=1}^{243}S_n=\prod_{n=1}^{243}(3^n(\omega^n+\omega^{2n}))=\left(\prod_{n=1}^{243}3^n\right)\left(\prod_{n=1}^{243}(\omega^n+\omega^{2n})\right)}$$
$\omega^n+\omega^{2n}$の値は$n$を$3$で割った余り$0,1,2$に対して$2,-1,-1$となるから,
$${\prod_{n=1}^{243}3^n\prod_{n=1}^{243}(\omega^n+\omega^{2n})=3^{\sum_{n=1}^{243}n}×(-1×-1×2)^{81}=2^{81}×3^{29646}}$$
よって,求める値は$82×29647=\boldsymbol{2431054}$
SPRC001[H]
$x$に関する$100$次方程式
$$x^{100}+x^{98}+x^{96}+...+x^4+x^2+2026=0$$
の重複を含めた$100$個の複素数解を$\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_{100}$とします.
$$S_n=\sum_{k=1}^{100}\alpha_k^n$$
とするとき,以下の値を求めてください.
$$\sum_{n=1}^{100}{S_n}$$
解説1
$x=\alpha$が解であるとき$x=-\alpha$も解であるから,$n$が正の奇数のとき$S_n$は$0$である.
また,定理2から,
$${S_{100}+S_{98}+S_{96}+...+S_4+S_2+2026S_0=0}$$
となるから,
$${\sum_{n=1}^{100} {S_n}=-2026S_0=\boldsymbol{-202600}}$$
解説2
$n$が正の奇数のときは同様.
$x^2-1$を両辺にかけると
$${x^{102}+2025x^2-2026=0}$$
定理4から,この方程式の解の${2,4,...,98}$乗和は$3$次以下の係数に依存しない.
よって,これは$x^{102}=0$の解の$2,4,...,98$乗和に一致し,これらはすべて$0$である.
また,$100$乗和は$1$次以下の係数に依存しないため,$x^{102}+2025x^2=x^2(x^{100}+2025)=0$の解の$100$乗和に一致する.
$x=0$を除いた$100$解は$100$乗して$-2025$になるため,これは$0×2+(-2025)×100=-202500$である.
$x^2-1=0$の解の$2,4,...,100$乗和が余計に足されている分を除けば
$${\sum_{n=1}^{100} {S_n}=-202500-(2×50)=\boldsymbol{-202600}}$$
解説3
定理2から,
$${S_{100}+S_{98}+S_{96}+...+S_4+S_2+2026S_0=0}$$
$${S_{99}+S_{97}+S_{95}+...+S_3+S_1+2026S_{-1}=0}$$
解と係数の関係から$S_{-1}=0$なので,
$${S_{99}+S_{97}+S_{95}+...+S_3+S_1=-2026S_{-1}=0}$$
$S_0=100$なので,
$${S_{100}+S_{98}+S_{96}+...+S_4+S_2=-2026S_0=-202600}$$
$${\sum_{n=1}^{100} {S_n}=0+(-202600)=\boldsymbol{-202600}}$$
SPRC001[I]
$x$に関する$100$次方程式
$${x^{100}-20x^2+26x+2026=0}$$
の重複を含めた$100$個の複素数解を$\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_{100}$とします.以下の値を求めてください.
$${\sum_{k=1}^{100}\alpha_{k}^{98}}$$
解説1
定理4から,解の$98$乗和は$1$次以下の係数に依存しない.
よって,求める値は$x^{100}-20x^2=0$の解の$98$乗和に一致する.
$x^{100}-20x^2=x^2(x^{98}-20)=0$から,$x=0$を除いた$98$解は$98$乗して$20$になる.
よって,求める値は$0×2+20×98=\boldsymbol{1960}$
解説2
求める値を$S_{98}$とする.定理2から,
$${S_{98}-20S_0+26S_{-1}+2026S_{-2}=0}$$
解と係数の関係から,
$${S_{-1}=\sum_{k=1}^{100}\frac{1}{\alpha_{k}}=-\frac{26}{2026}}$$
$${S_{-2}=\sum_{k=1}^{100}\frac{1}{\alpha_{k}^2}=\left(-\frac{26}{2026}\right)^2-2×\frac{-20}{2026}=\frac{81716}{2026^2}}$$
$${S_0={\sum_{k=1}^{100}\alpha_{k}^{0}}=100}$$
よって
$$S_{98}=20×100-26×-\frac{26}{2026}-2026×\frac{81716}{2026^2}=2000-40=\boldsymbol{1960}$$
SPRC001[J]
$x$に関する$6$次方程式
$${x^6+3x^5+9x^4+27x^3+81x^2+243x+2026=0}$$
の重複を含めた$6$個の複素数解を$\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_6$とします.以下の値を求めてください.
$${\sum_{k=1}^{6}\alpha_{k}^{14}}$$
解説
方程式の両辺に$x-3$をかけると
$$x^7+1297x-6078=0$$
となる.
この方程式の解の$14$乗和から$3^{14}$を引けばよい.
$x^7+1297x-6078=0$の解の$n$乗和を$S_n$とする.
定理2から,
$$S_7+1297S_1-6078S_0=0・・・(1)$$
$$S_8+1297S_2-6078S_1=0・・・(2)$$
$$S_{14}+1297S_8-6078S_7=0・・・(3)$$
$(1)$と$S_0=7,S_1=0$から,$S_7=42546$
$(2)$と$S_2=0,S_1=0$から,$S_8=0$
$(3)$から,$S_{14}=-1297×S_8+6078×S_7=6078×42546=258594588$
求める値は$S_{14}-3^{14}$なので,$\boldsymbol{253811619}$
SPRC001[K]
$x$に関する$12$次方程式
$${x^{12}-12x^{11}+66x^{10}-220x^{9}+...+66x^2-12x+1\left(=\sum_{n=0}^{12}{}_{12}\mathrm{C}_n(-x)^n\right)=2}$$
の$12$個の複素数解を$\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_{12}$とします.以下の値を求めてください.
$${\sum_{k=1}^{12}\alpha_{k}^{15}}$$
解説
二項定理から,問題文の方程式は
$${(x-1)^{12}=2}$$と変形できる.
$2$の$12$乗根($x^{12}-2=0$の$12$解)を$\beta_1,\beta_2,...,\beta_{12}$とする.
添字を適切に決定することで,
$\alpha_1=1+\beta_1,\alpha_2=1+\beta_2,...,\alpha_{12}=1+\beta_{12}$とすることができる.
よって
$${\sum_{k=1}^{12}\alpha_{k}^{15}=\sum_{k=1}^{12}(1+\beta_k)^{15}=\sum_{k=1}^{12}\sum_{l=0}^{15}{}_{15}\mathrm{C}_l\beta_{k}^l=\sum_{l=0}^{15}\sum_{k=1}^{12}{}_{15}\mathrm{C}_l\beta_{k}^l}$$
である.$S_l=\sum_{k=1}^{12}\beta_k^l$とする.
定理2と$x^{12}-2=0$から,$S_{l+12}-2S_l=0,S_0=12$
定理4を$x^{12}-2=0$の解の$1$乗和から$11$乗和に適用した結果と$S_{l+12}-2S_l=0$から,$S_l$は$l$が$12$の倍数のとき以外は$0$になることが分かる.
(これはド・モアブルの定理を使っても分かる)
すなわち,$S_0=12,S_{12}=24,S_1=S_2=...=S_{11}=S_{13}=S_{14}=S_{15}=0$
よって,求める値は
$${\sum_{k=1}^{12}\alpha_{k}^{15}=\sum_{l=0}^{15}}{}_{15}\mathrm{C}_lS_l=12×{}_{15}\mathrm{C}_0+24×{}_{15}\mathrm{C}_{12}=\boldsymbol{10932}$$
SPRC001[L]
いずれも$0$でない$4$個の複素数$x,y,z,w$が
$$x+y+z+w=30$$
$$x^2+y^2+z^2+w^2={30}^2-2$$
$$x^3+y^3+z^3+w^3=30^3$$
$$x^4+y^4+z^4+w^4=2026$$
を満たします.このとき,$xyzw$の値を求めてください.
解説
$x,y,z,w$を根とするモニックな$4$次式$f(t)$を求める.
ニュートンの恒等式から,$1,2,3$乗和の値が一致する$4$つの複素数の組について,$1,2,3$次の基本対称式の値は一致する.
$30,i,-i,0$の$1,2,3$乗和はそれぞれ$30,30^2-2,30^3$であるから,
$t(t-30)(t^2+1)=t^4-30t^3+t^2-30t$と$f(t)$の$1,2,3,4$次の係数は一致する.
$f(t)=t^4-30t^3+t^2-30t+c$とする.
定理2から,
$$2026-30×30^3+(30^2-2)-30×30+4c=0$$
すなわち$c=201994$.解と係数の関係から,$xyzw=c$
よって,求める値は$\boldsymbol{201994}$
SPRC001[M]
$x$に関する$2025$次方程式
$${x^{2025}+x^{2024}+...+x+1=0}$$
の$2025$個の複素数解を${\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_{2025}}$とします.
$${S_n=\sum_{k=1}^{2025}\alpha_k^n}$$
とするとき,以下の値を求めてください.
$${\sum_{n=0}^{20261231}S_n}$$
解説
$x-1$を両辺にかければ$x^{2026}-1=0$
$x^{2026}-1=0$の解の$n$乗和を$T_n$とする.
定理4から,$x^{2026}-1=0$の解の$1,2,...,2025$乗和は定数項に依存しない.
よって,これらは $x^{2026}=0$の解の$1,2,...,2025$乗和に等しく,$T_1=T_2=...=T_{2025}=0$である.
また,$1,\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_{2025}$はどれも$0$でないので,$T_0=2026$である.
定理2から,
$$T_{n+2026}-T_n=0$$
よって,$T_n$は$n$が$2026$の倍数のときに$2026$となり,そうでないとき$0$となる.
(これらはド・モアブルの定理などによっても説明できる.)
$T_n=S_n+1^n=S_n+1$から,$S_n$は$2025,-1,-1,...,-1$を周期$2026$で繰り返す.
$1$周期での$S_n$の総和は$0$であるため,求める値は
$$\sum_{n=20260000}^{20261231}S_n=2025+(-1)×1231=\boldsymbol{794}$$
SPRC001[N]
$x$に関する$2028$次方程式
$$x^{2028}-x^{2026}-3x^{1000}+3x^{998}-5x^2+5=0$$
の重複を含めた$2028$個の複素数解を$\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_{2028}$とします.以下の値を求めてください.
$$\sum_{k=1}^{2028}\alpha_k^{2026}$$
解説1
$$x^{2028}-x^{2026}-3x^{1000}+3x^{998}-5x^2+5=(x^2-1)(x^{2026}-3x^{998}-5)$$
から,$x^{2026}-3x^{998}-5=0$の解の$2026$乗和に$1^{2026}+(-1)^{2026}=2$を足したものを答えればよい.
$x^{2026}-5=3x^{998}$の両辺を$2026$乗すると
$$(x^{2026}-5)^{2026}=3^{2026}x^{998×2026}$$
すなわち
$$(x^{2026}-5)^{2026}=3^{2026}(x^{2026})^{998}$$
よって,$\alpha_1^{2026},\alpha_2^{2026},...,\alpha_{2028}^{2026}$は
$$(t-5)^{2026}=3^{2026}t^{998}$$の解である.
二項定理から,$t^{2025}$の係数は${}_{2026}\mathrm{C}_1×-5=-10130$
解と係数の関係から,これは$-\sum_{k=1}^{2028}\alpha_k^{2026}$なので,$\sum_{k=1}^{2028}\alpha_k^{2026}=10130$
よって,求める値は$10130+2=\boldsymbol{10132}$
解説2
$$x^{2028}-x^{2026}-3x^{1000}+3x^{998}-5x^2+5=(x^2-1)(x^{2026}-3x^{998}-5)$$
から,$x^{2026}-3x^{998}-5=0$の解の$2026$乗和に$1^{2026}+(-1)^{2026}=2$を足したものを答えればよい.
$x^{2026}-3x^{998}-5=0$の解の$n$乗和を$S_n$とする.
定理2から,
$$S_{2026}-3S_{998}-5S_0=0$$
定理4から,$S_{998}$は$x^{2026}=0$の解の$998$乗和と一致する.
よって,$S_{998}=0$
これと$S_0=2026$から,$S_{2026}=5S_0=10130$
求める値は,$S_{2026}+2=\boldsymbol{10132}$
SPRC001[O]
$x$に関する$243$次方程式
$${x^{243}+3x^{242}+5x^{241}+...+485x+487\left(=\sum_{m=0}^{243}(2m+1)x^{243-m}\right)=243}$$
の重複を含めた$243$個の複素数解を$\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_{243}$とします.以下の値を求めてください.
$$\sum_{k=1}^{243}\alpha_k^{243}$$
解説
$${f(x)=\left(\sum_{m=0}^{243}(2m+1)x^{243-m}\right)-243}$$
とする.
$(x-1)^2f(x)=x^{245}+x^{244}-243x^2-3x+244$である.
$(x-1)^2f(x)=0$の解の$n$乗和を$S_n$とする.
求める値は$S_{243}-2×1^{243}=S_{243}-2$である.
定理4から,$S_{243},S_{242}$の値は$(x-1)^2f(x)$の$1$次以下の係数によらない.
$x^{245}+x^{244}-243x^2=0$について考えれば,$$S_{243}+S_{242}-243×243=0$$
また,$S_{242}$の値は$(x-1)^2f(x)$の$2$次以下の係数によらない.
$x^{245}+x^{244}=0$ について考えれば,$S_{242}=(-1)^{242}=1$
よって,$S_{243}=59048$
求める値は$S_{243}-2=\boldsymbol{59046}$
SPRC001[P]
$x$に関する$n$次方程式$(n \ge 1)$
$${x^n+nx^{n-1}+n(n-1)x^{n-2}+...+n!\left(=\sum_{k=0}^{n}{}_n\mathrm{P}_{n-k} x^k\right)=0}$$
の重複を含めた$n$個の複素数解を$\alpha_{n,1},\alpha_{n,2},...,\alpha_{n,n}$とし,これらが$1$でないことが証明できるので,
$${g(m)=\prod_{n=1}^{m}\left(\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{\alpha_{n,k}-1}\right)}$$とします.以下の値を求めてください.
$$\frac{g(2025)g(2026)}{g(2025)+g(2026)}$$
解説
$${f_n(x)=x^n+nx^{n-1}+n(n-1)x^{n-2}+...+n!,(n \ge 0)}$$ とする.( $f_0(x)=1$ である.)
定理5から,
$$\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{\alpha_{n,k}-1}=\frac{-f_n'(1)}{f_n(1)}$$
また,計算をすれば,$n \ge 1$のとき$f_n'(x)=nf_{n-1}(x)$であることが分かる.
よって
$${g(m)=\prod_{n=1}^{m}\left(\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{\alpha_{n,k}-1}\right)=\prod_{n=1}^{m}\frac{-f_n'(1)}{f_n(1)}=\prod_{n=1}^{m}\frac{-nf_{n-1}(1)}{f_n(1)}}$$
すなわち
$${g(m)=\frac{(-1)^m m!f_0(1)}{f_m(1)}=\frac{(-1)^m m!}{f_m(1)}}$$
ここで$$\frac{f_n(x)}{n!}=\frac{x^n}{n!}+\frac{x^{n-1}}{(n-1)!}+...+\frac{x}{1!}+\frac{1}{0!}$$であるから
$$\frac{1}{g(m)}=\frac{f_m(1)}{(-1)^m m!}=(-1)^m\left(\frac{1}{m!}+\frac{1}{(m-1)!}+...+\frac{1}{1!}+\frac{1}{0!}\right)$$
求める値は
$$\frac{g(2025)g(2026)}{g(2025)+g(2026)}=\frac{1}{\frac{1}{g(2025)}+\frac{1}{(2026)}}$$
$$=\frac{1}{(-1)^{2025}\left(\frac{1}{2025!}+\frac{1}{(2024)!}+...+\frac{1}{1!}+\frac{1}{0!}\right)+(-1)^{2026}\left(\frac{1}{2026!}+\frac{1}{(2025)!}+...+\frac{1}{1!}+\frac{1}{0!}\right)}$$ $$=\frac{1}{\frac{1}{2026!}}=\boldsymbol{2026}!$$
SPRC001[P]-追加問題
以下の値を求めてください.
$$\lim_{m → \infty} |g(m)|$$
解説
SPRC001[P]の解説から,
$$\frac{1}{g(m)}=\frac{f_m(1)}{(-1)^m m!}=(-1)^m\left(\frac{1}{m!}+\frac{1}{(m-1)!}+...+\frac{1}{1!}+\frac{1}{0!}\right)$$
よって,
$$\left|\frac{1}{g(m)}\right|=\frac{1}{m!}+\frac{1}{(m-1)!}+...+\frac{1}{1!}+\frac{1}{0!}$$
有名事実※として
$$\lim_{n → \infty}\sum_{m=0}^n\frac{1}{m!}=e$$
であるから,
$$\lim_{m → \infty} \left|\frac{1}{g(m)}\right|=e$$
よって,求める値は
$$\lim_{m → \infty} |g(m)|=\boldsymbol{\frac{1}{e}}$$
※:
階乗 - Wikipedia #階乗の逆数和
SPRC001[Q]
$1,2,...,102$の並び替え$\sigma=(\sigma(1),\sigma(2),...,\sigma(102))$について,多項式$F_{\sigma}$を
$${F_{\sigma}=x^{200}+x^{199}+\sum_{m=1}^{102}m\sigma(m)x^{m-1}}$$
で定めます.$x$に関する$200$次方程式
$$F_{\sigma}=0$$
の重複を含めた$200$個の複素数解を$\alpha_{\sigma_1},\alpha_{\sigma_2},...,\alpha_{\sigma_{200}}$とし,
$$\sum_{k=1}^{200}\alpha_{\sigma_k}^{100}$$
の値を$\sigma$の$\boldsymbol{\mathsf{スコア}}$とします.このとき,$\sigma$としてありうるもの$102!$通りすべてについての$\boldsymbol{\mathsf{スコア}}$の平均値を求めてください.
解説
$F_\sigma$の根の$n$乗和を$S_n$とする.
定理4から,$S_1,S_2,...,S_{98}$は$F_\sigma$の$101$次以下の係数に依存しない.
$1 \le n \le 98$の範囲で$S_n$は$x^{200}+x^{199}$の解の$n$乗和に一致し,$S_n=(-1)^n$
同様に,$S_{99}$は$F_\sigma$の$100$次以下の係数に依存しない.また,$S_{100}$ は $F_\sigma$ の $99$ 次以下の係数に依存しない.
よって
$$S_{99}+S_{98}+99×102\sigma(102)=0$$
$$S_{100}+S_{99}+102\sigma(102)S_1+100×101\sigma(101)=0$$
すなわち
$$S_{99}=-1-99×102\sigma(102)$$
$$S_{100}=-S_{99}+102\sigma(102)-10100\sigma(101)$$
$$=1+10200\sigma(102)-10100\sigma(101)$$
期待値の線形性から,$10200\sigma(102)-10100\sigma(101)$の部分の平均値は
$$(10200-10100)×\frac{103}{2}=5150$$
$1$の部分の寄与も考えることで,求める値は$1+5150=\boldsymbol{5151}$
SPRC001[R]
$x$に関する$2026$次方程式
$${2026^2{}_{2026}\mathrm{C}_{2026}x^{2026}+2025^2{}_{2026}\mathrm{C}_{2025} x^{2025}+...+1^2{}_{2026}\mathrm{C}_{1}x \left(=\sum_{k=1}^{2026}(k^2 {}_{2026}\mathrm{C}_k) x^k\right)=1000x+2026}$$
の重複を含めた$2026$個の複素数解を$\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_{2026}$とします.
$$S_m=\sum_{k=1}^{2026}\alpha_{k}^{m}$$
とするとき,以下の値を求めてください.
$$\prod_{n=1}^{2024}\left(\left(\sum_{m=0}^{n} {}_{n}\mathrm{C}_{m}S_{m}\right)-1\right)$$
解説
左辺は
$${\sum_{k=1}^{2026}(k^2 {}_{2026}\mathrm{C}_k) x^k=2026x(1+2026x)(1+x)^{2024}}$$
と変形できる.
証明
$N=2026$とする.
二項定理から
$${\sum_{k=1}^{N} {}_N\mathrm{C}_kx^k =(1+x)^N}$$
両辺を$x$で微分し,$x$をかけると
$${\sum_{k=1}^{N} (k{}_N\mathrm{C}_k)x^k =N(1+x)^{N-1}x}$$
再び両辺を$x$で微分し,$x$をかけると
$${\sum_{k=1}^{N} (k^2{}_N\mathrm{C}_k)x^k =N(1+x)^{N-1}+N(N-1)(1+x)^{N-2}x}$$
$${=Nx(1+Nx)(1+x)^{N-2}}$$
$N=2026$を代入すると
$${\sum_{k=1}^{2026}(k^2 {}_{2026}\mathrm{C}_k) x^k=2026x(1+2026x)(1+x)^{2024}}$$
よって,方程式は
$${2026x(1+2026x)(1+x)^{2024}=1000x+2026}$$
すなわち
$${2026x(1+2026x)(1+x)^{2024}-1000x-2026=0}$$
と変形できる.
また,
$${(1+\alpha_k)^n=\sum_{m=0}^{n}{}_n\mathrm{C}_m\alpha_k^m}$$
であるから,これを$k=1,2,...,2026$に対してそれぞれの辺を足し合わせれば
$${\sum_{k=1}^{2026}(1+\alpha_k)^n=\sum_{m=0}^{n}{}_n\mathrm{C}_mS_m}$$
よって,求める値の式は
$$\prod_{n=1}^{2024}\left(\left(\sum_{m=0}^{n} {}_{n}\mathrm{C}_{m}S_{m}\right)-1\right)=\prod_{n=1}^{2024}\left(\left(\sum_{k=1}^{2026}(1+\alpha_k)^n\right)-1\right)$$
と変形できる.
$1+\alpha_k=\beta_k$を解とする方程式を考えたい.
$\beta_k$は${2026x(1+2026x)(1+x)^{2024}-1000x-2026=0}$において$1+x$を$y$に置き換えた方程式の,$y$についての解である.
よって,$y$に関する$2026$次方程式
$${f(y)=2026(y-1)(2026y-2025)y^{2024}-1000(y-1)-2026=0}$$
の$2026$個の複素数解は$\beta_1,\beta_2,...,\beta_{2026}$となる.
求める値の式は
$$\prod_{n=1}^{2024}\left(\left(\sum_{k=1}^{2026}\beta_k^{n}\right)-1\right)$$
定理4から,$\sum_{k=1}^{2026}\beta_k^n$は$1 \le n \le 2024$の範囲では $f(y)$の$1$次以下の係数によらない.
よって,$\sum_{k=1}^{2026}\beta_k^n$は$1 \le n \le 2024$において
$${2026(y-1)(2026y-2025)y^{2024}=0}$$
の解の$n$乗和に一致する.求める値は
$$\prod_{n=1}^{2024}\left(\left(\sum_{k=1}^{2026}\beta_k^n\right)-1\right)=\prod_{n=1}^{2024}\left(\left(1^n+\left(\frac{2025}{2026}\right)^n\right)-1\right)$$
$$=\prod_{n=1}^{2024}\left(\frac{2025}{2026}\right)^n=\left(\frac{2025}{2026}\right)^{\sum_{n=1}^{2024}n}=\boldsymbol{\left(\frac{2025}{2026}\right)^{2049300}}$$
SPRC001[S]
$2027$次の多項式$f(x)$は,$0$ 以上 $2027$ 以下の任意の整数$n$について$f(n)=\frac{243}{n+1}$をみたします.また,
$${f(x)=0}$$
の重複を含めた$2027$個の複素数解を$\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_{2027}$とします. $${S_n=\sum_{k=1}^{2027}\alpha_{k}^{n}}$$
とするとき,以下の値は整数になるので,これを素数$2029$で割ったあまりを$M$とします.
$${\sum_{n=1}^{2027}S_n}$$
以下の値を求めてください.
$$M+S_1$$
解説
$a=243$とする.$g(x)=(x+1)f(x)-a$とすると,問題文の条件から
$g(0)=g(1)=...=g(2027)=0$である.
よって,因数定理から$(x+1)f(x)-a=bx(x-1)(x-2)...(x-2027)$となる.
すなわち
$$(x+1)f(x)=bx(x-1)(x-2)...(x-2027)+a$$
である.
よって,$bx(x-1)(x-2)...(x-2027)+a=0$の$2028$個の複素数解を$\beta_1,\beta_2,...,\beta_{2028}$とすると $${(-1)^{n}+S_n=\sum_{k=1}^{2028}\beta_{k}^{n}}$$
となり
$${\sum_{n=1}^{2027}((-1)^{n}+S_n)=\sum_{n=1}^{2027}\sum_{k=1}^{2028}\beta_{k}^{n}}$$
となる.
ここで,定理4から,${\sum_{k=1}^{2028}\beta_{k}^{n}}$は$n=1,2,...,2027$の範囲で$bx(x-1)(x-2)...(x-2027)+a$の定数項の影響を受けないことが分かる.
よって,$a=0$とした場合の根の累乗和を考えることで
$${{\sum_{n=1}^{2027}\sum_{k=1}^{2028}\beta_{k}^{n}=\sum_{n=1}^{2027}\sum_{k=0}^{2027}k^{n}}=2027+\sum_{n=1}^{2027}\sum_{k=2}^{2027}k^n=2027+\sum_{k=2}^{2027}\sum_{n=1}^{2027}k^n}$$ $${=2027+\sum_{k=2}^{2027}\left(\frac{k^{2028}-1}{k-1}-1\right)=1+\sum_{k=2}^{2027}\frac{k^{2028}-1}{k-1}}$$
フェルマーの小定理から,$k=2,3,...,2027$の範囲で$${k^{2028}-1} \equiv 0 \pmod {2029}$$
$k-1$と$2029$は互いに素なので,両辺を$k-1$で割ると $${\frac{k^{2028}-1}{k-1}(=k^{2027}+k^{2026}+...+1) \equiv 0 \pmod{2029}}$$
よって,$${\sum_{n=1}^{2027}\sum_{k=1}^{2028}\beta_{k}^{n}=1+\sum_{k=2}^{2027}\frac{k^{2028}-1}{k-1} \equiv 1+0=1 \pmod{2029}}$$
すなわち
$${\sum_{n=1}^{2027}((-1)^{n}+S_n)=-1+\sum_{n=1}^{2027}S_n \equiv 1 \pmod{2029}}$$
よって,$${\sum_{n=1}^{2027}S_n \equiv 2 \pmod{2029}}$$
すなわち$M=2$
また
$${-1+S_1=\sum_{k=0}^{2027}k=2055378}$$
なので,$S_1=2055379$
よって,解答すべき値は$2+2055379=\boldsymbol{2055381}$
SPRC001[T]
数列${\lbrace F_n \rbrace(n=0,1,...)}$を${F_0=1,F_1=1,F_{n}=F_{n-1}+F_{n-2}}$ ${(n \ge 2)}$で定めます.
$x$に関する$15$次方程式
$${x^{14}+x^{13}+2x^{12}+...+233x^2+377x+610\left(=\sum_{m=0}^{14}F_{m}x^{14-m}\right)=-x^{15}+2026}$$
の重複を含めた$15$個の複素数解を$\alpha_1,\alpha_2,...,\alpha_{15}$とします.以下の値を求めてください.
$${\sum_{k=1}^{15}\alpha_{k}^{15}}$$
解説
方程式の両辺に$x^2-x-1$をかけると
$$x^{16}-987x-610=-x^{17}+x^{16}+x^{15}+2026x^2-2026x-2026$$ すなわち
$$x^{17}-x^{15}-2026x^2+1039x+1416=0$$
求める値は$x^{17}-x^{15}-2026x^2+1039x+1416=0$の解の$15$乗和から$x^2-x-1=0$の解の$15$乗和を引いたものである.
前者の解の$n$乗和を$S_n$とする.
定理3から,
$$S_{15}-S_{13}-15×2026=0$$
であり,さらに$S_{13}$は$3$次以下の係数に依存しないため$x^{17}-x^{15}=x^{15}(x^2-1)=0$の解の$13$ 乗和に等しい.すなわち$S_{13}=0$
よって,$S_{15}=15×2026=30390$
後者の解の$n$乗和を$L_n$とする.
$L_0=2,L_1=1,L_{n+2}=L_{n+1}+L_n$から計算することで,$L_{15}=1364$
(これはウィキペディア等のリュカ数の項目で$L_{15}$を調べることでも$1364$だと分かる.)
求める値は$S_{15}-L_{15}=30390-1364=\boldsymbol{29026}$
類題集
上の定理1~6が使えるor関係する問題を集めたもの
受験数学
主に偶然見つけたもの
OMC
diffが低い順に並べた.難易度順になっているとは限らないことに注意.
その他
最後に
間違いがあったら教えてください.類題などもあればコメントで是非書いてください.
定理と類題の項目は,載せてない典型も追加して新たに記事を作るかも.
追記集
2026-4/26:類題集に「東大2003大問4」を追加