お久しぶりです, Torteです. 先日Twitter(現: X)のおすすめタブだったかで見かけた 問題 を解いてみようと思います.
$u(x)$を$\mbb{R}$上の実数値$C^2$級関数とする. 正の整数$n$に対して関数$u_n(x)$を
\begin{align}
u_n(x) = u\left(\frac{x}{n}\right) + u\left(-\frac{x}{n}\right) -2u(0)
\end{align}
で定める. $a>0$を定数とするとき, 関数を項とする級数$\sum_{n=1}^{\infty}u_n(x)$は区間$[-a, a]$上である連続関数に一様収束することを示せ.
直前の誘導にて, 「有界閉区間上の連続関数列がある関数に一様収束するとき, 収束先の関数もまた連続である」という有名な事実を示していますので, 今回は級数の一様収束性について見ていこうと思います.
パッと見て思ったのは(差分化したLaplacianっぽいな……)でした. 実際に$u$は$C^2$級ですし, $u_n$が
\begin{align}
u_n(x) = u\left(\frac{x}{n}\right) -u(0) + u\left(-\frac{x}{n}\right) - u(0)
\end{align}
と変形できるので, 平均値の定理を何度か用いれば, $u$の2階微分+2次の微少量が引っ張り出せそうです. 2次の微少量で各項を抑えることができれば, その和が有限になる(Basel問題)ことはよく知られていますから, WeierstrassのM-テストによって一様収束性が示せます.
平均値の定理により,
\begin{align}
u\left(\frac{x}{n}\right) -u(0) = \int_{0}^{x/n}u'(t)\, dt,
\end{align}
および
\begin{align}
u(0) - u\left(-\frac{x}{n}\right) &= \int_{-x/n}^{0}u'(t)\, dt\\
&= \int_{0}^{x/n} u'(-t)\, dt
\end{align}
を得るので, 再び平均値の定理を用いて
\begin{align}
u_n(x) &= \int_{0}^{x/n} (u'(t)-u'(-t))\, dt\\
&= \int_{0}^{x/n} (u'(t) - u'(0) + u'(0) - u'(-t))\, dt\\
&= \int_{0}^{x/n} \left\{\int_{0}^{t} u''(s)\, ds + \int_{-t}^{0} u''(s)\, ds\right\}\, dt\\
&= \int_{0}^{x/n}\int_{-t}^{t}u''(s)\,ds\,dt.
\end{align}
したがって,
\begin{align}
|u_n(x)| \leq \int_{0}^{|x/n|} |\int_{-t}^{t}u''(s)\,ds|\,dt \leq \int_{0}^{|x/n|} \int_{-t}^{t}|u''(s)|\,ds\,dt
\end{align}
となる. 関数$u$は$C^2$級だから, $|u''|$は区間$[-a, a]$上で最大値を持つので, それを$M$とおくと,
\begin{align}
|u_n(x)| \leq \int_{0}^{|x/n|} 2Mt\,dt = \frac{M|x|^2}{n^2} \leq \frac{Ma^2}{n^2}.
\end{align}
級数$\sum_{n=1}^{\infty}n^{-2}$は有限の値($=\pi^2/6$)に収束するので, WeierstrassのM-テストにより, 級数$\sum_{n=1}^{\infty}u_n(x)$は区間$[-a, a]$上で一様収束する.
……こんな感じでしょうか. もし誤りや論理の飛躍等あれば, コメントにて教えていただけますと幸いです. 短めですが, 今回はこの辺で.