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大学数学基礎解説
文献あり

剰余群の定義

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おはなし

前回は置換群とかしていたのですが、今回は剰余群です。理由は特にない!!
$\ $

本文

同値関係

集合$S$上の関係$\sim$同値関係であるとは、$\sim$が次の(i),(ii),(iii)をみたすときをいう。
\begin{align*} \text{i)}&\quad &x& \sim x\\ \text{ii)}&\quad &x& \sim y \Rightarrow y \sim x\\ \text{iii)}&\quad &x& \sim y,\ y\sim z \Rightarrow x \sim z \end{align*}
ただし、$x,y,z\in S$

同値類

集合$S$上に同値関係$\sim$が定義されているとき、各$x\in S$に対して$S$の部分集合


$C(x):=\{y\in S\ |\ x\sim y\}$

を、$x$が定める同値類という。$C(x)$に属する一つの元を$C(x)$代表元ともいう。

商集合

$S$に同値関係$\sim$が与えられたとき、新しい集合


$S/\!\! \sim\, :=\{C(x)\in 2^S\ |\ x\in S\}\subset 2^S$

を同地関係$\sim$による商集合という。
$S$から商集合$S/\!\! \sim$への写像

$p:S\twoheadrightarrow S/\!\! \sim \quad (x\mapsto C(x))$

は全射で、$p$の各ファイバーが同値類である。この写像$p$(自然な)射影という。

次からが本題のはじまり!

剰余類

$G$を群とし、その部分群$H$を一つ固定する。このとき、$G$の元$x,y$に対して、関係$\sim$


$x\sim y \xLeftrightarrow[]{\text{def}} x^{-1}y \in H$

と定めると、$\sim$$G$の同値関係を与える。(実際に成り立つか検証せよ。)
この部分群$H$による同値関係において、$x\in G$の定める同値類は

$C(x)=\{y\in G\ |\ x^{-1}y\in H\}$

である。ところで、$x^{-1}y\in H$ということは、ある$h\in H$に対して$y=xh$であることを意味するから、$G$の部分集合$xH$

$xH:=\{xh\in G\ |\ h\in H\}$

と定義すると、$C(x)=xH$となる。このような、$x$が代表元となる同値類$xH$のことを、群論においては、$H$による左剰余類という。したがって、$H$による左剰余類全体の集合が、この関係$\sim$による商集合$G/\!\! \sim$である。この商集合を$G/H$とかいて、$G$$H$による左剰余類集合、または、記号に従って$G$$H$右から割った集合(または空間)ともいう。
上の代わりに$x\sim' y$$xy^{-1}\in H$と定義しても$\sim'$は同値関係となり、$x\in G$が代表元となる同値類は

$Hx:=\{hx\in G\ |\ h\in H\}$

である(右剰余類という)この同値関係$\sim'$による商集合$G/\!\! \sim' $$H\backslash G$とかく。

$G$の部分群$H$に対して、$H$の左右の剰余類が必ず一致するためには、$H$が正規部分群であることが、必要十分である。

左右の剰余類が一致する、すなわち、任意の$x\in G$に対して、ある$y\in G$が存在して$xH=Hy$となるとする。このとき$x\in Hy$だから$Hx=Hy$が成り立つ。したがって$xH=Hx$となり、これは$xHx^{-1}=H$を導く。ゆえに$H\vartriangleleft G$
逆に$H\vartriangleleft G$ならば$xHx^{-1}=H\ (x\in G)$ゆえ、$xH=Hx$がすべての$x\in G$に対して成り立つ。

$H\vartriangleleft G$とする。
$G/H$の2つの元$xH,yH$に対し、演算を


$(xH)(yH):=xyH\qquad (x,y \in G)$

と定めると。$G/H$は再び群となる。

まず、この定義がうまいくいっていることを確認しなければならない。具体的には、剰余類の代表元の取り方によらず確定することを言わなければならない。すなわち、


$xH=x'H,\ yH=y'H\ \Rightarrow xyH=x'y'H$

をいわなければならない。
よってこれを確かめる。条件からある$h,h'\in H$が存在して、$x=x'h,y=y'h'$とかける。したがって、$xy=x'hy'h'$.ところが、$H\vartriangleleft G$だから$(y')^{-1}hy'\in H$.したがって、

$xy=x'hy'h'=x'y'((y')^{-1}hy')h'\in x'y'H$

を得る。これは、$xyH=x'y'H$を意味しており、演算が成り立っていることが確認できた。

$H$が正規でなければこの演算は写像として無意味であることに注意。

剰余群

正規部分群$H$による剰余集合$G/H$がなす群を$G$$H$による剰余群(または商群)という。

無限巡回群$\mathbb{Z}$とその部分群$n\mathbb{Z}$に対し$n\neq 0$のとき剰余群$\mathbb{Z}/n\mathbb{Z}$は位数$|n|$の有限巡回群である。

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メモ

いろいろ命題をいれる。

参考文献

[1]
堀田良之, 代数入門, 裳華房, 2021, pp.18~24
[2]
雪江明彦, 群論入門, 日本, 2010
投稿日:2023719

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