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大学数学基礎解説
文献あり

極大エピ・強エピまとめ

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極大エピ射

C極大エピ射(extremal epimorphism)とは,エピ射eであって,任意の分解e=mgに対し,mがモノであれば同型であることをいう.

Cが等化子を持つとき,定義1でeがエピという仮定は冗長である.つまり,eがモノ射を通した非自明な分解を持たなければ,eは自動的にエピである.

αe=βeとすると,eα,βの等化子を通して分解される.等化子はモノであるから同型であり,α=βを得る.従ってeはエピである.

Cの射は,モノかつ極大エピであるとき,またそのときに限り同型である.

fをモノかつ極大エピとすると,分解f=fidによりfは同型である.
fが同型のとき,fはモノかつエピである.fの任意のモノ射mを通した分解f=mgについて,id=m(gf1)であるからmは分裂エピでもあり,従って同型である.よってfは極大エピである.

強エピ射

Cの射e:xy, m:zwについて,em直交するとは,任意の可換な四角形
()xeuyvtzmw
に対し,t:yzが一意に存在してu=te, v=mtをみたすことをいう.このような射tを可換四角形()の(対角)充填(filler)という.

eがエピ,あるいはmがモノであれば,充填は存在すれば一意である.

C強エピ射(strong epimorphism)とは,エピ射であって,すべてのモノ射と直交する射のこと.

Cが二項積を持てば,定義3においてエピ射の仮定は不要である.

e:xyがすべてのモノ射と直交するとする.α,β:yzαe=βeをみたすとする.Δ=Δz:zz×zを対角射とすると,Δは(分裂)モノであり,四角形
xeαe=βey(αβ)tzΔz×z
は交換する.よって充填t:yzが存在し,
α=p1(αβ)=p1Δt=t=p2Δt=p2(αβ)=β
を得る(zp1z×zp2zは積の射影).よってeはエピである.

可換四角形()と射t:yzについて,
(イ) mがモノで,v=mtであればu=teである(tは充填である).
(ロ) eがエピで,u=teであればv=mtである(tは充填である).

(イ) mu=ve=mteで,mがモノゆえu=teを得る.(ロ)についても同様である.

(イ) 二つの強エピ射の合成は強エピである.
(ロ) gfが強エピであれば,gは強エピである.
(ハ) 強エピ射は押し出しで保たれる.

(イ) f:ab, g:bcを強エピ射とする.f,gはエピであるから,gfもそうである.任意のモノ射m:xyと可換四角形
(1)afubgvgtcvxmy
をとる.左側の歪な四角形において,fの強性により充填t:bxが存在する.次に
afubgtcvsxmy
の右側の四角形とgの強性により充填s:cxを得る.s(1)の外側の大きな四角形の充填を与え,gfmと直交することが示された.
(ロ) f:ab, g:bcとし,gfが強エピとする.このときgはエピである.任意のモノ射m:xyと可換な四角形
afufbgucvxmy(2)
(2)をとる.外側の歪な四角形とgfの強性から,充填t:cxが存在する.補題4により,tは四角形(2)の充填でもあり,gmと直交することが示された.
(ハ) e:xyを強エピ射とし,任意の射f:xzとの押し出し
(3)xefyqzpy+xz
を考える.pはエピである.pの強性を示すため,任意のモノ射m:abと可換な四角形
(4)zpuy+xzvamb
をとる.このとき(3), (4)を合わせて可換四角形
xeufyvqtamb
を得るから,eの強性により充填t:yaを得,
xefytzua
を可換にする.よって押し出し(3)の普遍性によりφ:y+xzaがあって,u=φp, t=φqをみたす.補題4によりφ(4)の充填を与える.従ってpmと直交し,pが強エピであることが示された.

いろいろなエピとの関係

Cの射の性質(イ)極大エピ(ロ)強エピ(ハ)正則エピ(ニ)分裂エピについて,論理包含
()()()()
が成り立つ.Cが引き戻しを持つとき,(イ)(ロ)が成り立つ.

[(二)(ハ)] r:abを分裂エピとし,s:baをその切片とする.ridasrの余等化子であることを示す.まず,r(sr)=r=ridaである.f:axf=f(sr)をみたすとする.
aidsrarfbhx
このときh=fshr=fをみたす.一意性はrがエピであることから従う.
[(ハ)(ロ)] e:abu,v:xaの余等化子とし,任意のモノ射m:cdおよび可換四角形
xuvaeφbψtcmd
をとる.このとき
mφu=ψeu=ψev=mφv
であり,mがモノゆえφu=φvを得る.従って余等化子eの普遍性からt:bcが存在してφ=teをみたす.余等化子はエピであるから,補題4によりtは充填であって,eの強エピ性を知る.
[(ロ)(イ)] e:abを強エピとし,その任意のモノ射m:xbを通した分解e=mgを考える.このとき可換四角形
aegbtxmb
を得るから,充填t:bxを得る.このときmは分裂エピでもあるから,同型である.よってeは極大エピである.
[(イ)(ロ)] Cは引き戻しを持つとし,e:abを極大エピとする.任意のモノ射m:cdおよび可換四角形
aeubvcmd
をとる.このときeは,vに沿ったmの引き戻しv[m]を通して分解される.v[m]はモノであるから,eの極大性により同型である.よって射(bc×dbc)を得るが,補題4によりこれが充填を与える.
aeubvc×dbcmd

モノver.

双対的に極大モノ射(extremal monomorphism), 強モノ射(strong monomorphism)が定義され,同様の性質をみたす.

参考文献

投稿日:228
更新日:32
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