私が高校時代に友人と研究したものを紹介します。
また、この記事ではk-ナッチ数列を$F_n^{[k]}$,k-リュカ数列を$L_n^{[k]}$と表記します。
k-ナッチ数列とk-リュカ数列は漸化式を用いて次のように定義されます。
$F_n^{[k]}:=\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 0 (0 \leq n \leq k-2) \\ 1 (n=k-1) \\ \sum_{i=1}^{k}F_{n-i}^{[k]} (k \leq n) \end{array} \right. \end{eqnarray}$
$L_n^{[k]}:=\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} k (n=0) \\ 2^n-1 (1 \leq n \leq k-1) \\ \sum_{i=1}^{k}L_{n-i}^{[k]} (k \leq n) \end{array} \right. \end{eqnarray}$
また、一般項は次のとおりです。
$F_n^{[k]}=\sum_{i=1}^{k}\frac{α_i^n}{f'(α_i)}$
$L_n^{[k]}=\sum_{i=1}^{k}α_i^n$
ただし、$f(x):=x^k-x^{k-1}- \cdots -1$とすると$α_1,α_2, \cdots ,α_k$は$f(x)=0$のk個の解
このことについては apu_yokai氏 の k-ナッチ数とk-リュカ数 等を参照してください。
私が発見した式は以下となります。
$F_{m+n}^{[k]}=-\sum_{i=1}^{k}F_{m-(i-1)n}^{[k]}\sum_{m_1+2m_2+ \cdots +im_i=i,m_1 \geq 0 \cdots m_i \geq 0} \prod_{j=0}^{i} \frac{(-L_{jn}^{[k]})^{m_j}}{m_j!j^{m_j}} $
$L_{m+n}^{[k]}=-\sum_{i=1}^{k}L_{m-(i-1)n}^{[k]}\sum_{m_1+2m_2+ \cdots +im_i=i,m_1 \geq 0 \cdots m_i \geq 0} \prod_{j=0}^{i} \frac{(-L_{jn}^{[k]})^{m_j}}{m_j!j^{m_j}} $
......証明パートで詳しく説明するので一旦飲み込んでください。
Y.K.氏
が
k-ナッチ数列の加法定理を求める
にて紹介された加法定理
$F_{m+n}^{[k]}= \sum_{i=1}^{k} F_{n-i+1}^{[k]} \sum_{t=i}^{k} F_{t+m-2}^{[k]}$
との相違点を説明します。
まず、フィボナッチ数列の加法定理は以下の2つが知られています。
$F_{m+n}=F_{n-1}F_{m}+F_nF_{m+1}$
$2F_{m+n}=F_mL_n+L_mF_n$
このうち前者はY.K.氏の式にk=2を代入すると得られます。一方、本定理は後者を拡張したものとなります。このことは実際にk=2を代入すると
$F_{m+n}=F_mL_n-(-1)^nF_{m-n}$
$=F_mL_n-α_1^nα_2^n(\frac{α_1^{m-n}}{f'(a_1)}+\frac{α_2^{m-n}}{f'(a_2)})$
$=F_mL_n+(α_1^m+α_2^m)(\frac{α_1^{n}}{f'(a_1)}+\frac{α_2^{n}}{f'(a_2)})-(\frac{α_1^{m+n}}{f'(a_1)}+\frac{α_2^{m+n}}{f'(a_2)})$
$2F_{m+n}=F_mL_n+L_mF_n$
となり、成り立つことが分かります。
また、k-リュカ数列の加法定理もk=2を代入すると同様に既存の式
$2L_{m+n}=5F_mF_n+L_mL_n$
と合致します。
証明する前に新たに式を定義します。
$e_{(i,n)}^{[k]}:=\sum_{1\leq j_1\lt j_2\lt\cdots \lt j_i\leq k}α^n_{j_1}α^n_{j_2}\cdotsα^n_{j_i}$
この式はニュートンの恒等式より以下のことが言えます。
$e_{(i,n)}^{[k]}=\sum_{m_1+2m_2+ \cdots +im_i=i,m_1 \geq 0 \cdots m_i \geq 0} \prod_{j=0}^{i} \frac{(-L_{jn}^{[k]})^{m_j}}{m_j!j^{m_j}}$
このの式はwikipediaの ニュートンの恒等式 の「関連する恒等式」の「べき和による基本対称式を表現」を参考にしました。
この$e_{(i,n)}^{[k]}$を用いると本定理は次のように表わせられます。
$F_{m+n}^{[k]}=\sum_{i=1}^{k}(-1)^{i+1}e_{(i,n)}^{[k]}F_{m-(i-1)n}^{[k]}$
$L_{m+n}^{[k]}=\sum_{i=1}^{k}(-1)^{i+1}e_{(i,n)}^{[k]}L_{m-(i-1)n}^{[k]}$
だいぶ見やすくなったと思います。
まずはk-ナッチ数列の方を証明します。
補題3の右辺を変形させると、
$F_{m+n}^{[k]}=\sum_{i=1}^{k}(-1)^{i+1}e_{(i,n)}^{[k]}F_{m-(i-1)n}^{[k]}$
$=\sum_{i=1}^{k}(-1)^{i+1}e_{(i,n)}^{[k]}\sum_{j=1}^{k}\frac{α_j^{m-(i-1)n}}{f'(α_j)}$
$=\sum_{i=1}^{k}\sum_{j=1}^{k}(-1)^{i+1}e_{(i,n)}^{[k]}\frac{α_j^{m-(i-1)n}}{f'(α_j)}$
$=\sum_{j=1}^{k}\sum_{i=1}^{k}(-1)^{i+1}e_{(i,n)}^{[k]}\frac{α_j^{m-(i-1)n}}{f'(α_j)}$
$=\sum_{j=1}^{k}\frac{α_j^{m-(k-1)n}}{f'(α_j)}\sum_{i=1}^{k}(-1)^{i+1}e_{(i,n)}^{[k]}α_j^{(k-i)n}$
ここで
$\sum_{i=1}^{k}(-1)^{i+1}e_{(i,n)}^{[k]}α_j^{(k-i)n}=α_j^{kn}$
を示します。
$P_k(x):=(x-α_1^n)\cdots(x-α_k^n)$
とすると、解と係数の関係より
$P_k(x)=x^k-\sum_{i=1}^{k}(-1)^{i+1}e_{(i,n)}^{[k]}x^{k-i}$
$P_k(x)$に$x=α_j^n$を代入すると
$P_k(x)=x^k-\sum_{i=1}^{k}(-1)^{i+1}e_{(i,n)}^{[k]}α_j^{(k-i)n}=0$
であるから
$\sum_{i=1}^{k}(-1)^{i+1}e_{(i,n)}^{[k]}α_j^{(k-i)n}=α_j^{kn}$
よって
$\sum_{j=1}^{k}\frac{α_j^{m-(k-1)n}}{f'(α_j)}\sum_{i=1}^{k}(-1)^{i+1}e_{(i,n)}^{[k]}α_j^{(k-i)n}=\sum_{j=1}^{k}\frac{α_j^{m-(k-1)n}}{f'(α_j)}α_j^{kn}$
$=\sum_{j=1}^{k}\frac{α_j^{m+n}}{f'(α_j)}$
$=F_{m+n}^{[k]}$
以上より
$F_{m+n}^{[k]}=\sum_{i=1}^{k}(-1)^{i+1}e_{(i,n)}^{[k]}F_{m-(i-1)n}^{[k]}$
また、k-リュカ数列の加法定理も${f'(α_j)}$を1に置き換えることで同様に示せます。
さらに言えば、任意のk項間漸化式も${f'(α_j)}$を適する値に置き換えれば成り立つことが言うえます。
先述した後者のフィボナッチ数列の加法定理は、フィボナッチ数列に表れる平方数が0,1,144のみであることの証明などに用いられています。
そのため、今後の展望としては本定理を用いた剰余の法則性の発見などが挙げられます。
最後に、ここまで読んでいただきありがとうございます。