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東大数理院試過去問解答例(2012B05)※内容確認中

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2012B05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2012B05

$D=\{(x,y)\in\mathbb{R}^2|x^2+y^2<1\}$に対してリーマン計量
$$ ds^2=\frac{4}{(1-x^2-y^2)^2}(dx^2+dy^2) $$
を考える。

  1. $ds^2$についての面積形式$\omega$を求めなさい
  2. 関数$f:(0,1)\to\mathbb{R}$について、$D_0=D\backslash\{(0,0)\}$上のベクトル場
    $$ X=f(x^2+y^2)\left(x\frac{\partial}{\partial x}+y\frac{\partial}{\partial y}\right) $$
    を考える。ここで$t\geq0$をパラメータとする$C^\infty$級関数の族$\varphi_t:D_0\to D_0$で以下の条件
    (i) 任意の$p\in D_0$に対して$\varphi_0(p)=p$
    (ii) 任意の$p\in D_0$及び$t\geq0$について$\frac{d\varphi_t(p)}{dt}=X_{\varphi_t(p)}$
    (iii) $\varphi_t^\ast\omega=\omega$
    を満たすものが存在するとき、$f$としてあり得るものを全て求めなさい。
  1. 定義から$\color{red}\frac{4}{(1-x^2-y^2)^2}dx\wedge dy$である。
  2. まず極座標表示$(r,\theta)$を用いると
    $$ X=f(r^2)r\frac{\partial}{\partial r} $$
    $$ \omega=\frac{4r}{(1-r^2)^2}dr\wedge d\theta $$
    である。以上の表示と条件(i)(ii)から微分方程式
    $$ \frac{dr}{dt}=f(r^2)r $$
    が満たされていて、$s=r^2$とおくとこれは
    $$ \frac{ds}{dt}=2f(s)s $$
    である。ここで$\eta=\frac{2ds}{(1-s)^2}$とおくと
    $$ \begin{split} \left(\varphi_t^\ast\eta\right)_p\left(\frac{\partial}{\partial s}\right)_p&=\eta_{\varphi_t(p)}\left(d\varphi_t \left(\frac{\partial}{\partial s}\right)_{\varphi_t(p)} \right)\\ &=\frac{2}{(1-|\varphi_t(p)|^2)^2}\frac{\partial \varphi_t}{\partial s}(p)\\ &=\frac{2}{(1-|\varphi_t(p)|^2)^2}\frac{f(|\varphi_t(p)|^2)|\varphi_t(p)|^2}{f(s)s}\\ \end{split} $$
    である一方、
    $$ \eta_p \left(\frac{\partial}{\partial s}\right)_p=\frac{2}{(1-s)^2} $$
    であるから、これと(iii)によって$\frac{f(s)s}{(1-s)^2}$$s$に依らない定数でなければならない。$f=0$の場合も所望の条件を満たすことを考慮すれば、以上の議論から$\color{red}f(s)=\frac{a(1-s)^2}{s}$である(ただし$a$は任意の定数)。
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藍色日和
藍色日和
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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