ここでは東大数理の修士課程の院試の2012B05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2012B05
に対してリーマン計量
を考える。
- についての面積形式を求めなさい
- 関数について、上のベクトル場
を考える。ここでをパラメータとする級関数の族で以下の条件
(i) 任意のに対して
(ii) 任意の及びについて
(iii)
を満たすものが存在するとき、としてあり得るものを全て求めなさい。
- 定義からである。
- まず極座標表示を用いると
である。以上の表示と条件(i)(ii)から微分方程式
が満たされていて、とおくとこれは
である。ここでとおくと
である一方、
であるから、これと(iii)によってはに依らない定数でなければならない。の場合も所望の条件を満たすことを考慮すれば、以上の議論からである(ただしは任意の定数)。