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ここでは東大数理の修士課程の院試の2026B05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2026B05
写像$f:S^3\times S^3\to\mathbb{R}$を内積で定まる写像とする。
- $f$の臨界値を全て求めなさい。
- $f$の任意の正則値$r$に対して、同相$f^{-1}(r)\simeq S^3\times S^2$が取れることを示しなさい。
- ${\color{red}\pm1}$
- まず任意の$r\in(-1,1)$に対して同相
$$
\begin{array}{ccc}
f^{-1}(r)&\to&f^{-1}(0)\\
(u,v)&\mapsto&\left(u,\frac{v-ru}{\sqrt{1-r^2}}\right)
\end{array}
$$
が取れるから所望の結果は$r=0$について示せれば良い。ここで写像$F:S^3\to \mathrm{GL}_4(\mathbb{R})$
$$
F(v)=\begin{pmatrix}
v_1&-v_2&v_3&v_4\\
v_2&v_1&-v_4&v_3\\
v_3&-v_4&-v_1&-v_2\\
v_4&v_3&v_2&-v_1\\
\end{pmatrix}
$$
とおき、$G:S^3\times S^2\to f^{-1}(0)$を
$$
G(v,u)=\left(v,F(v)\begin{pmatrix}
0\\
u
\end{pmatrix}\right)
$$
とおく。このとき
$$
v^tF(v)\begin{pmatrix}
0\\
u
\end{pmatrix}=(1,0,0,0)F(v)^tF(v)\begin{pmatrix}
0\\
u
\end{pmatrix}=0
$$
であるから写像$G$はwell-definedな連続写像であり、その逆射は
$$
G^{-1}(v,w)=(v,F(v)^{t}(w))
$$
で与えられる。いま$w$は
$$
w_1=(F(v)^tv)^t(F(v)^tv)=v^tF(v)F(v)^tw=vw=0
$$
を満たしていることから$G$もwell-definedである。以上から同相$f^{-1}(0)\simeq S^3\times S^2$が得られた。