私の他の証明を読んだ人なら理解していると思うが、一応書く。
まず、有理数の有限の区間はどんなものでも自然数全てを含む無限集合に対応している。
(ここで、有理数の有限の区間というのは想像できても、自然数の中に含まれる無限というのは本当に自然数の中に「無限」が含まれているのか、それとも特別に無限を自然数の中に含めたのか、ということが気になる人もいるだろう。実際その辺は曖昧だが、仕方がない。
また、有理数に関しても同じことが言える。分母と分子が互いに素な既約な分数に限って考える。分母と分子が有限であれば、有理数は有限子しか取れない。)
ここで大事なのは、どんなに小さい有限の区間でも自然数と対応するということだ。
つまり、ある有限の有理数の区間を取ってくると、その中には常に
自然数1つに対して、無限個の有理数が対応している
ということなのだ。それでも自然数と有理数は、全単射で一対一に対応するというのが従来の理論だ。
ここで考えなければならないのは、
無限個の有理数が含まれる最小の区間の幅というのは、どこまでも小さくできるのか?
という疑問だ。
これは、絶対にできないということが分かる。幾何において、最小の区間というのは大きさのない点であり、もし無限個の有理数を含む最小の有理数の区間が点であれば、点が一つの有理数しか含まないのに対して、無限個の有理数が対応し、1と無限が等しくなってしまうからだ。
しかも、最小の区間の幅は1よりも小さくなるので、下手したら0.0001個しか含まない区間になって、自然数はそこに1個含まれると、一般的には誤りだとされる、自然数の濃度は有理数よりも小さいという理論が崩れ、濃度の逆転が起きてしまう。
勿論、これに対してはすぐに反論ができる。
点の大きさは0だからだ。有理数を無限個含む最小の区間は、必ず大きさが0より大きい。
自然数は数直線上で1つ1つが大きさ0の点に存在するので、有限の有理数の区間の幅がそれより大きければよいことになる。一安心。
と思ったら大違い。大問題が発生する。
一つは、有理数を無限個含む最小の区間の幅を、任意に取れること。
最小の開集合の区間の幅の極限が0と一致しなくなる。
もう1つはもっと深刻なことで、点と限りなく大きさが近い区間に無限個点が含まれるというのが不自然なことだ。
これはつまり、無理数を含まず有理数のみを含む有利点の並ぶ数直線をどれだけ小さく分割してもその区間に常に無限個の点が含まれ、有理点の間隔が
「空いている」
ということを示すことができないということだ。つまり、有理数、無理数においてはデデキントの切断ができない。
そして、実数と同じように有理数が稠密に存在することになってしまうのだ。
この問題は未解決である。