はじめまして、shiroppuです。
今回は私が研究しているじゃんけんについて書いていこうと思います。
間違った点もあるかもしれませんが、温かい目で見てもらえると嬉しいです。
私達は普段、大人数でじゃんけんをするとき、無意識の内に人数を分けたり、王様じゃんけん(下記参照)をしたりします。そのほうがじゃんけんの回数が少なくて済む、と感覚で判断しているためですが、本当にそうでしょうか?
しっかりとした証明を与えたい、そしてじゃんけんのさらなる効率化を考えたい。
数学徒の皆さんならウズウズしてきたのではないでしょうか。
ということで以下の問題を考えます。
今回はこのようなマルコフ性のあるアルゴリズムを取り扱います。
今回は私達が一番一般的にするじゃんけんのことを「通常じゃんけん」と呼び、他のじゃんけんとは区別します。
まずはいくつか下準備をします。
通常のじゃんけんでは推移確率pは以下のように設定される。
また、
よって、補題1より、
また
通常じゃんけんの期待値
https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1205-9.pdf
をご参照ください。
補題2で得られた漸化式を用いて帰納的に証明できます。
具体的な形は
です。
とりあえず
人数が増えるとじゃんけんの回数も莫大に増えるという感覚とマッチしていますね。
それでは、冒頭でも述べたように、今回は日常生活でもよく使うであろう
①王様じゃんけん(王様に勝った人だけ残るじゃんけん。王様は参加者とは別に存在し、あいこの人も以降のじゃんけんには参加しません。)
②人数の分割
の2つについて、期待値のオーダーを調べていきます。
王様じゃんけんでは推移確率は以下のように設定される。
また
よって、補題1より
ポイントはあいこになる確率で、補題2より通常のじゃんけんは
長らくお待たせしました。準備完了です。
王様じゃんけんの期待値
①
このとき補題4より、1より大きい自然数
これを繰り返すことで、
よって
したがって
②
本筋は①と同じです。
よって帰納的に
したがって、
①、②より、
すなわち
王様じゃんけんの期待値の評価
このように何度も繰り返して不等式の精度を上げていく方法をブートストラッピング法というそうです。証明方法が面白いので気に入っています。
また、この定理より次のことが分かります。
よってハサミウチの原理より
なので、あとは
下図を見るのがわかりやすいです。
通常じゃんけんと王様じゃんけんの比較
王様じゃんけんだけで長くなってしまったので、②分割じゃんけんについては別の機会に触れようと思います。乞うご期待。
質問、改善案等あれば
https://x.com/shiroppuuuu
までご一報ください。
普段の研究発表では時間が短すぎて概要しか紹介できないので、こうしてじっくり見ていただけるのはとても嬉しいことだなと書いていて思いました。
それでは良いMathLifeを!