$a$-Legendre多項式を
\begin{align*}
\rho_n^{(a)}(x):=(-1)^n\frac{(a)_n}{n!}\sum_{k=0}^n\frac{(-n,a+n)_k}{k!(a)_k}x^k
\end{align*}
で定義すると, 前の記事(
Jacobi多項式の母関数について
)で示した母関数表示により
\begin{align*}
\sum_{0\leq n}t^n\rho_n^{(a)}(x)&=\frac 1{(1+t)^a}\sum_{0\leq n}\frac{\left(\frac a2,\frac{a+1}2\right)_n}{n!(a)_n}x^n\left(\frac{4t}{(1+t)^2}\right)^n
\end{align*}
となることが分かる. ここで一般に関数$f$に対して,
\begin{align*}
g(x)=\frac 1{(1+t)^a}f\left(\frac{4t}{(1+t)^2}\right)
\end{align*}
として表される$g$を$f$の$a$-Landen変換ということにする. そして, 数列をべき級数$f(x)=\sum_{0\leq n}a_nx^n$と同一視することによって, 数列に対しても$a$-Landen変換を定義する. すると, $\rho_n^{(a)}(x)$は$\frac{\left(\frac a2,\frac{a+1}2\right)_n}{n!(a)_n}x^n$の$a$-Landen変換となっていることが分かる. 数列の$a$-Landen変換を明示的に表してみると,
\begin{align*}
\frac 1{(1+t)^a}\sum_{0\leq n}c_n\left(\frac{4t}{(1+t)^2}\right)^n&=\sum_{0\leq n,k}c_n(4t)^n\frac{(2n+a)_k}{k!}(-t)^k\\
&=\sum_{0\leq n,k}\frac{4^{2n}c_n}{(a)_{2n}}\frac{(a)_{2n+k}}{k!}(-1)^kt^{n+k}\\
&=\sum_{0\leq n}t^n\sum_{k=0}^n\frac{c_k}{\left(\frac a2,\frac{a+1}2\right)_k}\frac{(a)_{n+k}}{(n-k)!}(-1)^{n-k}
\end{align*}
と書くことができるので, 数列の$a$-Landen変換は
\begin{align}
c_n\mapsto \sum_{k=0}^n\frac{c_k}{\left(\frac a2,\frac{a+1}2\right)_k}\frac{(a)_{n+k}}{(n-k)!}(-1)^{n-k}
\end{align}
と表されることが分かった.
まず, $a$-Landen変換の具体例として,
\begin{align*}
\F32{a,b,c}{1+a-b,1+a-c}{-x}&=\frac1{(1+x)^a}\F32{1+a-b-c,\frac a2,\frac{a+1}2}{1+a-b,1+a-c}{\frac{4x}{(1+x)^2}}
\end{align*}
という変換公式がある. その特別な場合として, ${}_2F_1$の場合である
\begin{align*}
\F21{a,b}{1+a-b}{x}&=\frac 1{(1+x)^a}\F21{\frac a2,\frac{a+1}2}{1+a-b}{\frac{4x}{(1+x)^2}}
\end{align*}
も得られる. 一方, ${}_2F_1$には
\begin{align*}
\F21{a,\frac 12+a-b}{\frac 12+b}{x^2}&=\frac 1{(1+x)^{2a}}\F21{a,b}{2b}{\frac{4x}{(1+x)^2}}
\end{align*}
という変換公式もあり, これは$2a$-Landen変換の例になっている. この左辺のように$2a$-Landen変換が$x^2$における一般化された超幾何関数で表されるようなものを求めることは重要な問題かもしれない.