1978年,Apéryは
が無理数であることを証明した(詳細は参考文献1の第5話を参照).
この記事では,その1年後のBeukersによる別証明(参考文献2)を紹介する.
を実数,を整数列とする.とおく.
以下の二条件が成り立つときは無理数である.
(i). 任意のに対して
(ii).
背理法を使う.互いに素な整数によりと表せるとする.このとき(i)よりでなくてはならない.これは(ii)に反する.
に対してとおく.
任意のに対し
ここで素数定理
より,十分大きいに対して.ゆえに十分大きいに対し
以下の補題で登場する積分はすべて広義Riemann積分として定義できるが,積分の変形にはLebsgue積分の定理も用いる.詳細は参考文献3と4を参照.
単調収束定理(参考文献3,定理13.2.または参考文献4,定理2.4.1.(a)) を測度空間とする.を上の可測関数列とする.上の各点でかつならば,も可測であり
(参考文献3,定理14.2.または参考文献4,定理2.5.1.) を測度空間,とする.上の関数はの関数として上可積分,の関数として微分可能とする.また上の可積分関数が存在して
が成り立つとする.このとき積分はの関数として微分可能であって
を整数とする.
(a) のとき
は整数である.
(b) のとき
実数に対し
を考える.
定理3より
のとき,より
の両辺をで微分することを考える.
任意にとをとる.十分小さいとあるが存在して,のとき
最右辺の関数はの計算と同様に上可積分だから,定理4が適用できる.したがって,の両辺をで微分して
ここでとおくと
よって(a)が成り立つことがわかる.でとすると
の両辺をで微分することを考える.左辺の微分は先程と同様に計算できる.右辺については,任意の,に対し
また
だから,再び定理4が適用できる.したがって,の両辺をで微分して
とおくと
よって(b)が示された.
整数に対し,多項式を
で定義する.
と定める.補題3よりあるが存在して.
に注意すると
に関して回部分積分を行うと
ここで
と変数変換する.
より
に関して回部分積分を行うと,先程と同様にして
を得る.を評価するため
を考える.またはのときがわかるので,は内のある臨界点(=すべての偏微分が消える点)で最大値を取る.上でを解くと,が唯一つの解であることがわかり,.以上より
よってと補題3(b)より
よりであることに注意する.よって補題2より,十分大きいに対して
ここでなので,.したがって補題1より,は無理数である.