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現代数学解説
文献あり

RamanujanによるJackson-Slaterの恒等式の類似

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0nqn(q;q)2n=(q3,q5,q8;q8)(q;q)0nqn(q;q)2n+1=(q,q7,q8;q8)(q;q)

まず, q二項定理より,
0nqn(q2;q2)n=1(q;q2)
である. よって, Jacobiの三重積より
0nq2n(q2;q2)2n=120n(1+(1)n)qn(q2;q2)n=12(1(q;q2)+1(q;q2))=12(q2;q2)((q,q3,q4;q4)+(q,q3,q4;q4))=12(q2;q2)(0nq2n2+n+nZ(1)nq2n2+n)=1(q2;q2)0nq8n2+2n=(q6,q10,q16;q16)(q2;q2)
である. q2qとして1つ目の等式を得る. 2つ目の等式も同様にJacobiの三重積より
0nq2n+1(q2;q2)2n+1=120n(1(1)n)qn(q2;q2)n=12(1(q;q2)1(q;q2))=12(q2;q2)((q,q3,q4;q4)(q,q3,q4;q4))=12(q2;q2)(0nq2n2+nnZ(1)nq2n2+n)=q(q2;q2)0nq8n26n=q(q2,q14,q16;q16)(q2;q2)
であるから両辺をqで割ってq2qとして得られる.

0nqn(q;q)2n=0nq12n2+n(1q22n+11)+q0nq12n2+7n(1q10n+5)0nqn(q;q)2n+1=0nq12n2+5n(1q14n+7)+q20nq12n2+11n(1q2n+1)

前の記事 で示した等式
0nqn(aq,q/a;q)n=(1+a)0na3nq12n(3n+1)(1a2q2n+1)1(aq,q/a;q)0n(1)na2n+1q12n(n+1)
において, a=iとして
h(q):=0nqn(q2;q2)n=Re((1+i)0ni3nq12n(3n+1)(1+q2n+1))=0n(1)nqn(6n+1)(1+q4n+1)+0n(1)nq(2n+1)(3n+2)(1+q4n+3)
を得る. これより,
0nq2n(q2;q2)2n=120n(1+(1)n)qn(q2;q2)n=12(h(q)+h(q))=Even part of(0n(1)nqn(6n+1)(1+q4n+1)+0n(1)nq(2n+1)(3n+2)(1+q4n+3))=0nq24n2+2n0nq24n2+34n+12+0nq24n2+14n+20nq24n2+46n+22
ここで, q2qとして1つ目の等式が得られる.
0nq2n+1(q2;q2)2n+1=120n(1(1)n)qn(q2;q2)n=12(h(q)h(q))=Odd part of(0n(1)nqn(6n+1)(1+q4n+1)+0n(1)nq(2n+1)(3n+2)(1+q4n+3))=0nq24n2+26n+7+0nq24n2+10n+10nq24n2+38n+15+0nq24n2+22n+5
ここで, 両辺をqで割ってq2qとすれば2つ目の等式が得られる.

Ramanujan's Lost Notebook Part IIには上の証明の他に, 分割を用いた証明も書かれている.

参考文献

[1]
G. E. Andrews, B. C. Berndt, Ramanujan's Lost Notebook Part II, Springer, 2006
投稿日:20日前
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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