Maximum Principle for the Time-fractional diffusion equation
Introduction
ここでは, 次の初期値境界値問題
について考える. ここで, ,
であり, 任意のに対して
かつをみたすと仮定する. 次に, 問題の解の定義を述べる.
古典解(Classical solution)
が問題をみたすとき, は問題の古典解という. ここで,
である.
今回は次の最大値原理(Maximum Principle)と呼ばれる通常の拡散方程式でよく知られている定理の証明を行う.
Maximum Principle
が問題の古典解であり, in とする. このとき,
が成立する.
Extremum Principle
本章では, 定理1の証明の際に必要なCaputo微分に対するExtremum Principleと呼ばれる次の補題の証明をする.
Extremum Principle
が, で最大値をとる関数とする. このとき, 任意のに対して
が成立する.
とすると,
である. 故に, 定数関数のCaputo微分は0になるので,
となる. を任意に固定し,
とする. まずはよりとすればを得る. は部分積分より
であり, 第1項はのとき平均値の定理を用いると
と評価できる. したがって続きを計算すると
となるので, とすればが得られる. 以上の議論よりすなわちが得られ補題が示された.
Proof of Theorem 1
背理法で示す. あるに対して
であると仮定する. ここで, とし,
と定義する. まずの定義より
であり, に対して,
と評価できる. これはがで最大値を取らないことを意味している. もしが上のある点で最大値を取るとすると, , であり,
をみたす. また, Lemma 1とがで最大値を取ることより,
をみたす. のCaputo微分は,
となり, 冪関数のCaputo微分は
であることから
が得られる. したがって, を問題の方程式に代入すると,
となる. これはが問題の解であることに矛盾する. 以上より, 定理の証明が完了した.
同様に次の系を得る.
Minimum Principle
が問題の古典解であり, in とする. このとき,
が成立する.
最大値原理, 最小値原理から古典解の一意性がしたがう.
Uniqueness of Classical solution
を問題の古典解とし, とおく. このとき, 初期値境界値問題
に対して最大値原理と最小値原理を適用させるとすなわちを得る.