ここでは東大数理の修士課程の院試の2015B02の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2015B02
多項式環をとり、その部分環を
とする。またの部分集合
を考える。
- は及びのイデアルを定めていることを示しなさい。
- ののイデアルとしての生成系のうち、生成元の個数が最小になるものを一つ挙げなさい。
- まず定義からであり、更に和との元倍で閉じている。よって及びに於いてはイデアルである。
- はを含む元を持たない一方、を含むから
である。よっては上で生成される。
次には元生成されないことを示す。まずとおく。これはの極大イデアルである。ここで
であるから、は次元線型空間である。よってが元生成されることはない。よってが所望の生成系である。