0

東大数理院試過去問解答例(2015B02)

210
0
$$$$

ここでは東大数理の修士課程の院試の2015B02の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2015B02

多項式環$S=k[t]$をとり、その部分環$R$
$$ R:=k[t^4,t^{10},t^{13}] $$
とする。また$R$の部分集合
$$ I:=\{x\in R|xS\subseteq R\} $$
を考える。

  1. $I$$R$及び$S$のイデアルを定めていることを示しなさい。
  2. $I$$R$のイデアルとしての生成系のうち、生成元の個数が最小になるものを一つ挙げなさい。
  1. まず定義から$I\subseteq R$であり、更に和と$S$の元倍で閉じている。よって$R$及び$S$に於いて$I$はイデアルである。
  2. $R$$t^{19}$を含む元を持たない一方、$t^4,t^{20},t^{21},t^{22},t^{23}$を含むから
    $$ I=t^{20}S $$
    である。よって$I$$R$$t^{20},t^{21},t^{22},t^{23}$で生成される。
    次に$I$$3$元生成されないことを示す。まず$\mathfrak{m}=\{f\in R|f(0)=0\}$とおく。これは$R$の極大イデアルである。ここで
    $$ I=(t^{20},t^{21},t^{22},t^{23}) $$
    $$ I\mathfrak{m}=(t^{24},t^{25},t^{26},t^{27}) $$
    であるから、$I/\mathfrak{m}I$$4$次元$k$線型空間である。よって$I$$3$元生成されることはない。よって${\color{red}t^{20},t^{21},t^{22},t^{23}}$が所望の生成系である。
投稿日:202489
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

藍色日和
藍色日和
56
101156
藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中