この記事ではRamanujan's Master Theorem
について解説していきます。
この定理はラマヌジャンのNotebook 2の初めの方に登場します。
Ramanujan's Notebook 2より
実はここにラマヌジャンによる導出も記されており、それは次のような説明になっています。
"質のいい"関数
が成り立つ。
変数変換により
が成り立つことに注意すると質のいい関数
が成り立つので
を得る。
この証明では
と展開しているので
と展開できることを仮定していたshihさんの記事と本質的に同じ説明となっています。
上の定理はハーディにより次のように一般化・精密化されました。
と評価できるものとする。このとき
とおくと
が成り立つ。特に
が成り立つ。
特にある
前者については
とわかる。またこのことから
つまり
と評価できる。
上では特に断りもなく
を、また
を定めていたが、一応これらの収束性について確認しておこう。
まず積分については上の補題および
と評価できるので
また級数については
と評価できるのでコーシーの冪根判定法より
における積分
を考える。
いま上の補題に注意すると
と評価できる。したがって
を得る。またこれにメリン変換を施すことで
を得る。
に注意して
とおくと
が成り立つ。また
が成り立つ。
ちなみにラマヌジャンが考えたのは上で見たように
ラマヌジャンの考えた公式では明らかに
というのもハーディの定理により少なくとも
となることが保証されているので、解析接続によりこの両辺がそれぞれ"意味を持つ"限り任意の
例えば
のように評価できるので
は
このようなことを理解していればこの定理を使うとき