初記事です.普段は大学生してまして,結び目をしたり数論をしたりしてます.
連分数展開には様々な展開方法がありますが,一番理解しやすいのは実数に対してアルゴリムを適用して得るものだと思っています.正則連分数とマイナス連分数が代表例に挙げられるでしょう.
ですが,実数といってもその実数が級数で表されていた場合は,上のアルゴリズムがうまく使えません.そこで,今回は交代級数に対して連分数展開を与える定理を紹介したいと思います.
$\sum\limits_{i=1}^{\infty}(-1)^{i-1}\dfrac{1}{c_i}=\cfrac{1}{c_1+\cfrac{c_1\hspace{0.25pt}^2}{c_2-c_1+\cfrac{c_2\hspace{0.25pt}^2}{c_3-c_2+\cfrac{c_3\hspace{0.25pt}^2}{\ddots}}}}$
この定理は,Eulerさんによるもののようです.Eulerさんは無限が大好き(だと私が確信している)ので,なんだかうなずけるものです.
こうやって与えられると,具体例が知りたくなるものです.2つほど計算してみましょう.
初年次の微積でよく出てくる?$\arctan{1}=\dfrac{\pi}{4}$を連分数展開してみましょう.
$\arctan{x}=\sum\limits_{n=1}^\infty\dfrac{(-1)^{n+1}}{2n-1}x^{2n-1}$であるので,$\arctan{1}=1-\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{5}-\cdots$となる.よって,
\begin{align}
\frac{\pi}{4}=\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{2+\cfrac{9}{2+\cfrac{25}{\ddots}}}}
\end{align}
が得られる.
これまたよく出てくる?$\log{2}=1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}+\cdots$を連分数展開してみましょう.
$\log{(1+x)}=\sum\limits_{n=1}^\infty\dfrac{(-1)^{n+1}}{n}x^{n}$であるので,$\log{2}=1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}-\cdots$となる.よって,
\begin{align}
\log{2}=\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{1+\cfrac{4}{1+\cfrac{9}{\ddots}}}}
\end{align}
が得られる.
連分数展開は整数論など様々な場面で活用されています.ここではわりと分かりやすい,交代級数に対して連分数展開を行う定理を紹介しました.
今回の記事から自然に出てくる問いとして,交代級数以外の特定のクラスの級数で連分数展開できるものはあるか?というものがあると思います.そういった問題を考えるのも,また面白いものですね.