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整数問題における整数の乗数条件

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はじめに

ごきげんよう、みなさま。
「この式が平方数にならないことを示せ」「この式が立方数となる整数を求めよ」。こうした問題では、挟み込み、合同式、因数分解などがよく登場します。
ただ、それらを知っていても、いざ問題を前にすると「まず何をすればよいのか」で迷うことがあります。
この記事で考えたいのは、それぞれの手法の使い方と、手法を選ぶ順番です。特に、なぜ因数分解へ進むのか、因数分解の後に何をするのかを、ひと続きの考え方として整理します。

最初に基本的な道具を例題で確認し、その後に解法の流れをまとめます。最後の実践問題では、通常の答案としての「模範解答」と、操作を選ぶ理由を読むための「解説」を分けてあります。

目次

基本的な道具から解法の流れ、最後は七つの実践問題へ進みます。

言葉と数式を行き来する

まず、問題文の条件を数式へ翻訳しましょう。

言葉で書かれた条件数式で書かれた条件
$A$が平方数であるある整数$x$を用いて$A=x^2$と表せる
$A$が立方数であるある整数$x$を用いて$A=x^3$と表せる
$\sqrt A$が整数である$A$が平方数である
$A$$k$乗数であるある整数$x$を用いて$A=x^k$と表せる

ここで$k$$2$以上の整数です。平方数には$0$も含め、立方数には負の整数の立方も含めます。$\sqrt A$$A\geqq0$のときの非負の平方根を表します。
例えば「$n^2+n+1$が平方数である」は、
$$n^2+n+1=x^2$$
を満たす整数$x$がある、ということです。この$x$は非負として構いません。
逆に、計算の途中で
$$AB=x^2$$
が現れたら、「$A$$B$の積が平方数である」と読み直します。すると、積の大小や、因子の最大公約数に目を向けられます。
文字を導入して式を動かすことと、その式が表す整数条件を読み取ること。この両方を行き来するのが出発点です。
以下では主に正の整数を扱います。一般の整数が対象なら、$0$や負の場合を先に確認しておきましょう。


第1部 道具を理解する

まずは一つずつ。挟み込み・mod・因数分解で、どんな情報が得られるかを見ます。

1.挟み込み――排除・候補・必要条件

平方数は、
$$0^2,1^2,2^2,3^2,\ldots$$
と間隔を空けて並んでいます。隣り合う平方数の間には、平方数はありません。この「隙間」を使うのが挟み込みです。
ただし、挟み込みの役割は、平方数である可能性を排除することだけではありません。得られる情報の強さに応じて、三段階に分けておきます。

① 連続する平方数の間に入れて排除する

非負整数$r$について
$$r^2< A<(r+1)^2$$
を示せれば、$A$は平方数ではありません。その場で結論が出る、最も強い形です。

基本例題1

正の整数$n$に対して、$n^2+n+1$は平方数にならないことを示せ。

$n\geqq1$より
$$n^2< n^2+n+1<(n+1)^2$$
です。実際、左側の差は$n+1>0$、右側の差は$n>0$なので、連続する平方数の間に入ります。よって平方数にはなりません。
比較する平方数を見つけたら、両側との差を計算すると不等式を確実に確認できます。

② 幅を少し広げ、候補を絞る

非負整数$r$$2$以上の整数$a$について
$$r^2< A<(r+a)^2$$
が分かり、さらに$A$が平方数なら、
$$A=(r+1)^2,(r+2)^2,\ldots,(r+a-1)^2$$
のいずれかです。特に$a=2$なら、候補は$(r+1)^2$の一つに確定します。

基本例題2

$n^2+3n-2$が平方数となる正の整数$n$をすべて求めよ。

$n\geqq1$のとき、
$$n^2< n^2+3n-2<(n+2)^2$$
です。左側の差は$3n-2>0$、右側の差は$n+6>0$です。
したがって、平方数になるなら
$$n^2+3n-2=(n+1)^2$$
でなければならず、これを解いて$n=3$。逆に$n=3$のとき、与式は$16$なので、求める値は$n=3$です。
最初から連続する平方数の間へ入れようとして、手が止まる必要はありません。少し広い範囲へ入れてから、残った候補を調べてもよいのです。

③ 片側から必要条件を作る

$A$が平方数で、非負整数$r$について$r^2< A$なら、次の平方数までは進まなければなりません。したがって
$$r^2< A\quad\Longrightarrow\quad A\geqq(r+1)^2.$$
逆に、正の整数$r$について$A< r^2$なら、一つ前の平方数まで戻る必要があります。
$$A< r^2\quad\Longrightarrow\quad A\leqq(r-1)^2.$$
ここでは、どちらも「$A$が平方数である」という仮定が必要です。単なる実数の大小関係から、この結論は出ません。

基本例題3

正の整数$n,t$$t\leqq n+4$を満たし、$n^2+t$が平方数であるとする。$(n,t)$をすべて求めよ。

$t>0$より$n^2< n^2+t$です。与式は平方数なので
$$n^2+t\geqq(n+1)^2,\qquad t\geqq2n+1.$$
これを$t\leqq n+4$と合わせると$n\leqq3$です。また
$$n^2+t\leqq n^2+n+4<(n+2)^2$$
なので、平方数の候補は$(n+1)^2$だけです。よって$t=2n+1$であり、
$$\boxed{(n,t)=(1,3),(2,5),(3,7)}$$
となります。これらはすべて条件を満たします。
今度は、上側の平方数から戻る例です。

基本例題4

$n\geqq2$を満たす整数$n$と正の整数$t$について、$t\leqq n+2$であり、$n^2-t$が平方数であるとする。$(n,t)$をすべて求めよ。

$n^2-t< n^2$であり、与式は平方数なので
$$n^2-t\leqq(n-1)^2,\qquad t\geqq2n-1.$$
したがって$2n-1\leqq n+2$より$n\leqq3$です。
$n=2$なら$3\leqq t\leqq4$で、$t=3,4$はいずれも適します。$n=3$なら$t=5$だけで、これも適します。よって
$$\boxed{(n,t)=(2,3),(2,4),(3,5)}$$
です。$(2,4)$のときの与式は$0$であり、これも平方数に含めています。
③の段階で得られたのは、解そのものではなく必要条件です。別の条件から来る上限と組み合わせたことで、調べる範囲が有限になりました。

段階得られる情報必要な見通し
① 排除平方数ではない連続する平方数で両側を押さえる
② 候補を絞る平方数なら候補は有限個少し幅のある両側の評価を作る
③ 必要条件次・前の平方数までの距離片側だけを押さえる
① → ② → ③:結論は弱くなるが、使える場面は広くなる。

「①ができなかったから挟み込みは使えない」と判断せず、②、③で情報が取れないかも見てください。
立方数や一般の$k$乗数でも、非負整数について同じ考え方が使えます。例えば$r^3< A<(r+1)^3$なら立方数ではなく、$A$が立方数かつ$r^3< A$なら$A\geqq(r+1)^3$です。

2.合同式――矛盾だけでなく条件も得る

$A\equiv B\pmod m$とは、$A-B$$m$の倍数であること、つまり$m$で割った余りが等しいことです。ここで$m$$2$以上の整数です。
平方数や立方数は、余りにも偏りがあります。例えば整数を$3$で割った余りは$0,1,2$ですが、その平方を$3$で割った余りは$0,1$だけです。
このように、平方数が取り得る剰余を平方剰余、立方数が取り得る剰余を立方剰余と呼びます。ここでは$0$も含めてまとめます。

よく使う剰余

平方数が取り得る剰余
$3$$0,1$
$4$$0,1$
$5$$0,1,4$
$7$$0,1,2,4$
$8$$0,1,4$
$9$$0,1,4,7$
$16$$0,1,4,9$
立方数が取り得る剰余
------
$7$$0,1,-1$
$9$$0,1,-1$
$8$$0,1,3,5,7$

$-1$は、その法から$1$を引いた剰余と同じ意味です。立方数では、特に法$7,9$の制限が強くなっています。
全部を一度に暗記する必要はありません。法$m$なら$0,1,\ldots,m-1$を代入すれば確かめられます。よく出会うものから使えるようにしておきましょう。
例えば奇数を整数$t$を用いて$2t+1$と書くと、その平方は、
$$(2t+1)^2=4t(t+1)+1\equiv1\pmod8$$
です。$t(t+1)$が偶数であることを使いました。「奇数の平方は$8$で割ると$1$余る」は、特に出番の多い性質です。

どのmodを見るか

法を選ぶときは、次の二点を同時に見ます。

  • 目的の平方数・立方数などが取り得る剰余を強く制限できるか。
  • 与えられた式も簡単になるか。
基本例題5

整数$n$に対して、$3n^2+2$は平方数にならないことを示せ。

$$3n^2+2\equiv2\pmod3$$
ですが、平方数の剰余は$0,1$だけなので不可能です。

基本例題6

整数$n$に対して、$9n+2$は立方数にならないことを示せ。

$$9n+2\equiv2\pmod9$$
ですが、立方数の剰余は$0,1,-1$だけなので不可能です。
どちらも、法によって文字を含む項が消え、目的の乗数の剰余と食い違う形になりました。剰余表を順番に試す前に、式の係数にも目を向けましょう。

矛盾が出なくても、次の手が作れる

例えば$x^2$$3$の倍数だと分かれば、$x$$3$の倍数です。また、$x^2\equiv1\pmod4$なら$x$は奇数です。
こうした結論だけでは問題は終わらなくても、代入、最大公約数の計算、別のmodなどに使えます。
特に指数が文字のときは、その指数の偶奇や合同条件を確定できないか確認します。
例えば、整数$x,u$と正の整数$a$について
$$x^2+3u=2^a$$
が成り立つとします。法$3$で見ると
$$x^2\equiv(-1)^a\pmod3.$$
平方数の剰余は$0,1$なので、$a$は偶数です。正の整数$t$を用いて$a=2t$とおけば、元の式は
$$(2^t-x)(2^t+x)=3u$$
と因数分解できます。
得られた条件:$a$は偶数。
この場面でmodが与えたのは矛盾ではなく、「$2^a$を整数の平方として扱える」という条件でした。指数を調べたことが、次の因数分解を可能にしています。

modで矛盾が出なかったことは、失敗を意味しません。

偶奇に限りません。例えば正の整数$b$について$3^b\equiv1\pmod{16}$なら、$3$の累乗の剰余が$3,9,11,1$と周期$4$で繰り返すので、$b$$4$の倍数です。すると$3^b=(3^{b/4})^4$と書けます。

一般の乗数を見るとき

$d$$2$以上の整数とします。$k$$d$の倍数なら、$k$乗数は$d$乗数でもあります。例えば$6$乗数は平方数でも立方数でもあるので、まず平方剰余や立方剰余を利用できます。
高い累乗の剰余を調べる補助として、素数$p$$p$の倍数でない整数$a$について$a^{p-1}\equiv1\pmod p$というフェルマーの小定理もあります。ただし、この記事の例題は小さな法で直接剰余を調べれば解けます。

3.因数分解――積にすることで何が得られるか

因数分解にはいくつかの役割があります。ここでは、代表的な二つを見ておきましょう。

A.積を定数にして、約数の組を調べる

基本例題7

$x^2-y^2=21$を満たす正の整数の組$(x,y)$をすべて求めよ。

$$ (x-y)(x+y)=21.$$
$x>y>0$なので、$x-y,x+y$は正の整数で、前者の方が小さくなります。したがって
$$(x-y,x+y)=(1,21),(3,7).$$
それぞれの和と差を取ると、
$$\boxed{(x,y)=(11,10),(5,2)}$$
です。どちらも正の整数で、元の式を満たします。
ここでは、積が一定の正の整数になったことで、正の約数の組に候補が限られました。和と差から元の文字へ戻すときには、整数になるか、指定された範囲に入るかも確認します。

B.因子に乗数条件を分け、元の道具へ戻る

次の事実が基本になります。$\gcd(A,B)$は、正の整数$A,B$の最大公約数を表します。

互いに素な因子と乗数

正の整数$A,B$$\gcd(A,B)=1$を満たすとする。$AB$$k$乗数なら、$A,B$はそれぞれ$k$乗数である。

理由は素因数の指数です。互いに素なので、同じ素数が$A,B$の両方に現れることはありません。積の各素因数の指数が$k$の倍数なら、それぞれの因子における指数も$k$の倍数です。

基本例題8

正の整数$n$に対して、$n^2+n$は立方数にならないことを示せ。

まず
$$n^2+n=n(n+1)$$
と因数分解します。$\gcd(n,n+1)=1$なので、積が立方数なら$n=a^3,n+1=b^3$と書けます。ここで$a,b$は正の整数です。
ところが$a\geqq1$より
$$a^3< a^3+1<(a+1)^3$$
なので、$n+1=a^3+1$は立方数ではありません。これは矛盾です。
因数分解して積にし、最大公約数を調べ、因子に立方数条件を分け、最後に挟み込みへ戻りました。因数分解は、こうして最初の道具を使える対象を作る働きもします。

因数分解を見つけるための、小さな手掛かり

まずは共通因数や、繰り返し現れる式を探します。例えば$x^2+x$が何度も現れるなら、それを一文字で置くと見通しがよくなることがあります。
次に、平方差や累乗の公式を確認します。
$$\begin{aligned} a^2-b^2&=(a-b)(a+b),\\ a^3-b^3&=(a-b)(a^2+ab+b^2),\\ a^3+b^3&=(a+b)(a^2-ab+b^2). \end{aligned}$$
一般に、$r$$2$以上の整数とすると、$a^r-b^r$$a-b$を因子に持ち、$r$が奇数なら$a^r+b^r$$a+b$を因子に持ちます。
$$\begin{aligned} a^r-b^r&=(a-b)\\ &\quad\times(a^{r-1}+a^{r-2}b+\cdots+b^{r-1}) \end{aligned}$$
であり、奇数$r\geqq3$に対しては
$$\begin{aligned} a^r+b^r&=(a+b)\\ &\quad\times(a^{r-1}-a^{r-2}b+\cdots-ab^{r-2}+b^{r-1}) \end{aligned}$$
です。
また、$ax^4+bx^2+c$$a\ne0$)のように$x$の奇数次の項がない四次式を、複二次式と呼びます。$X=x^2$と見れば、$aX^2+bX+c$という二次式として扱えます。例えば
$$x^4+3x^2+2=(x^2+1)(x^2+2)$$
です。
ただし、二次式としてそのまま整数係数で分解できなくても、平方を作って平方差へ持ち込める場合があります。
$$\begin{aligned} x^4+x^2+1 &=(x^2+1)^2-x^2\\ &=(x^2-x+1)(x^2+x+1). \end{aligned}$$
この「一度平方を作ってから引く」という見方を、補足でもう一つ確認しておきます。

Sophie Germainの恒等式

$a^4+4b^4$は、各項の文字の次数の合計がともに$4$です。このように、各項の次数の合計が等しい式を同次式といいます。
同次式では、一方の文字が$0$でないとき、その文字で割った比を置いて一変数化するのが定石の一つです。
$b\ne0$として$t=a/b$とおくと、
$$a^4+4b^4=b^4(t^4+4).$$
そこで一変数の複二次式$t^4+4$を考え、平方を作ります。
$$\begin{aligned} t^4+4 &=(t^2+2)^2-(2t)^2\\ &=(t^2-2t+2)(t^2+2t+2). \end{aligned}$$
$t=a/b$を戻し、$b^4$を二つの因子へ$b^2$ずつ分ければ、
$$\begin{aligned} a^4+4b^4 &=(a^2-2ab+2b^2)\\ &\qquad\times(a^2+2ab+2b^2) \end{aligned}$$
を得ます。$b=0$のときも直接代入して成り立ちます。
これがSophie Germainの恒等式です。途中の$t$が整数である必要はありません。ここで行っているのは、式の恒等的な変形だからです。
必ず暗記すべき公式というより、「この形は因数分解できる」「平方を作ると見つけられる」と知っておくと便利です。


第2部 道具を選ぶ順番

道具がそろったら、使う順番へ。直接処理を先に点検し、構造を変える理由を考えます。

1.なぜ、まず挟み込みとmodなのか

ここまでで、個々の道具を見てきました。では、問題を前にしたとき、どの順番で考えればよいのでしょうか。
平方数・立方数などの条件が明示されているなら、まずは挟み込みとmodによる直接処理を考えます。どちらを先に見るかは式によりますが、この二つを先に短く点検する、という優先順位です。
理由は単純で、それで結論が出るなら、さらに因子の組や最大公約数を調べる必要がないからです。

因数分解できる ≠ 今、因数分解すべき

見るべきなのは、変形ができるかだけでなく、その変形によって何が進むかです。
また、直接矛盾しなかった場合も、そこで得た情報は残します。挟み込みで得た上限・下限や、modで得た偶奇・倍数条件は、次の手法を選ぶ材料になります。

2.挟み込みの障害を見ると、因数分解の目的が見える

最高次数と最高次係数を見る

多項式の形の式を挟むときは、まず最高次数と最高次係数を見ます。
例えば、整数係数の定数でない多項式$q(n)$の次数が$d$、最高次係数が正の整数$c$なら、$q(n)^2$の次数は$2d$、最高次係数は$c^2$です。
同様に、$q(n)^3$の次数は$3d$、最高次係数は$c^3$です。一般には$q(n)^k$の次数は$kd$、最高次係数は$c^k$になります。

比較したい形次数最高次係数
多項式の平方偶数平方数
多項式の立方$3$の倍数立方数
多項式の$k$$k$の倍数$k$乗数

ここから、直接的な挟み込みの見通しが立ちます。例えば$n^2+n+1$なら、次数$2$、最高次係数$1$なので、まず$n^2$の近くを見るのが自然です。
一方、$2n^4+\cdots$が平方数かを調べるなら、次数は合っていても最高次係数$2$が平方数ではありません。$3n^3+\cdots$なら、平方数に対して次数も合いません。
この不一致は、整数係数多項式の平方を使った直接的な挟み込みが見つかりにくい、大きな理由になります。

この判断が言っている範囲

ここで考えているのは、上のような定数でない整数係数多項式$q(n)$を使って、多項式$P(n)$を十分大きい$n$に対し
$$q(n)^k< P(n)<(q(n)+1)^k$$
のように挟む方法です。この両端は次数も最高次係数も等しいため、その間に入る$P(n)$も同じ次数・最高次係数を持つ必要があります。
したがって、その形が合わなければ、この方法で一様に挟むことはできません。ただし、不等式による解法全般が不可能だという意味ではありません。変数を置き直す、範囲や合同条件で場合分けする、別の式を作る、といった余地は残ります。

形が合っても、最後は「差」を見る

次数と最高次係数が合うことは、出発点です。それだけで挟めるとは限りません。
平方数なら
$$P(n)=q(n)^2+R(n)$$
と書いて、隣の平方数までの間隔
$$(q(n)+1)^2-q(n)^2=2q(n)+1$$
$R(n)$を比べます。$0< R(n)<2q(n)+1$を示せて初めて、排除する挟み込みが完成します。
実践問題では、最高次の項でおおよその平方・立方を選び、次の次数の項で位置を調整し、最後に差を正確に確認します。

その障害を、因子へ分けられないか

直接の挟み込みを妨げているのが次数や最高次係数なら、因数分解によって、それらを複数の因子へ分けることを考えます。
例えば、最高次係数が$2$の四次式でも、最高次係数がそれぞれ$1,2$の二次式の積に分かれるかもしれません。さらに最大公約数を調べた結果、係数$1$の方だけに平方数条件を移せれば、そこでは挟み込みが使える可能性があります。
また、奇数次の式を二つの因子へ分けることで、そのうちの偶数次の因子に平方数条件を移せる場合もあります。
このように、因数分解へ進む理由は「挟み込みが難しそうだから」で終わりません。

挟み込みを妨げている次数・最高次係数などの構造を、因数分解によって分離し、扱いやすい因子へ乗数条件を移せないか。
ここまで見通せると、因数分解は目的のある操作になります。modで得た条件が最大公約数を小さくする、指数の条件が平方差を作る、といった理由も同じように重要です。

3.乗数の積にしたら、すぐ最大公約数

乗数条件を各因子へ移すなら、まず最大公約数を確認する。

$AB=x^k$という形を得たら、各因子を独立に扱う前に、$\gcd(A,B)$を調べます。
正の整数$A,B$と整数$q$に対して、ユークリッドの互除法により、
$$\gcd(A,B)=\gcd(A,B-qA)$$
が成り立ちます。右側の差が負なら、その絶対値を取り、差が$0$なら最大公約数は$A$です。例えば
$$\gcd(n,n+1)=1,\qquad\gcd(A,2A-1)=1$$
です。差を取る、他方の倍数を引く、といった短い計算で分かることが多く、その結果が以後の議論を決めます。
互いに素なら、 先ほどの性質 によって各因子に乗数条件を移せます。しかし、共通因子があるなら、その部分の素因数の指数を整理する必要があります。
例えば$2\times8=16$は平方数ですが、$2,8$はどちらも平方数ではありません。最大公約数を確認せず、積が平方数だから各因子も平方数だとしてはいけません。

共通因子がある場合

$AB=x^2$$d=\gcd(A,B)$とし、$A=dU,B=dV$とおけば、
$$d^2UV=x^2,\qquad\gcd(U,V)=1.$$
$d^2$$x^2$を割り切るので$d$$x$を割り切り、
$$UV=\left(\frac xd\right)^2$$
となります。したがって$U,V$はそれぞれ平方数です。
ただし、この処理を一般の$k$乗数へそのまま移してはいけません。二つの因子から$d$を一つずつ取り出して生じるのは$d^2$であり、$d^k$ではないからです。
実際、$2\times4=8$は立方数ですが、各因子を最大公約数$2$で割った$1,2$の積は立方数ではありません。立方数以上では、共通する素数の指数を$k$の倍数になるように配分して調べます。

素数が一つ付いた平方数

実践問題で使う、もう一つの形も確認しておきます。

素数の係数を含む場合

正の整数$A,B,x$と素数$p$について、
$$\gcd(A,B)=1,\qquad AB=px^2$$
なら、正の整数$u,v$を用いて
$$\begin{aligned} (A,B)&=(u^2,pv^2)\\ &\text{または}\quad(pu^2,v^2) \end{aligned}$$
と表せる。

$p$以外の素数の指数は偶数で、$p$の指数だけが奇数です。互いに素な二因子のどちらか一方に、その$p$の奇数乗が入ります。その因子から$p$を一つ取り出せば、残りの素因数の指数はすべて偶数になります。
このように、最大公約数と素因数の指数を整理したら、得られた各因子や新しい式に対して、再び挟み込みとmodを考えます。
因数分解は、再び挟み込み・modが使える形を作るための手段でもあります。
なお、積が定数になって約数の組をすべて調べる場合は、そのまま候補を列挙して解けます。ここで「まず最大公約数」と強調しているのは、積の乗数条件から各因子の乗数条件へ進む場面です。また、以上の性質は正の因子について述べています。因子が$0$になる場合は別に扱い、負の因子が現れる場合は符号と絶対値を整理します。


第3部 解法の流れと、その使い方

ここまでの考え方を、一つの循環へ。新しく得た式にも、同じ流れを適用します。

1.基本フローチャート

ここまでを、一つの流れにまとめます。

基本の循環
$$\begin{xy} \xymatrix@R=1.4em@C=2em{ \text{乗数条件を式に}\ar[d]&\\ \boxed{\text{挟み込み・mod}}\ar[r]^{\text{解決}}\ar[d]_{\text{続ける}}&\text{終了}\\ \text{次数・係数・条件}\ar[d]&\\ \text{目的を決めて因数分解}\ar[d]&\\ \text{最大公約数}\ar[d]&\\ \text{因子の条件を整理}\ar@/^9pc/[uuuu]^{\text{戻る}}& } \end{xy}$$
整理した新しい式に、同じ流れを再適用する。

この順番にするのは、まず対象に直接働く道具で結論や条件を取り、必要になったところで構造を変えるためです。最初から因数分解を目的にする必要はありません。
因数分解へ進むときは、次数・最高次係数の障害を分けられるか、得た合同条件を使えるか、積を定数にできるかを見ます。乗数条件を因子へ移すなら最大公約数を調べ、因子を整理したら、また挟み込み・modへ戻ります。
戻り先は、最初と同じ式とは限りません。より小さな因子や、条件を代入してできた別の式が、次の対象になります。積が定数になった場合は、約数の組を調べて候補を確認すれば終了です。
また、候補を絞る・必要条件を得るという途中の結論で止めず、残った候補が元の条件を満たすかまで確認しましょう。
これは解法選択の指針であって、すべての整数問題が機械的に解ける手順ではありません。ただ、次に何を調べるか、その操作にどんな理由があるかを整理する助けになります。

2.フローチャートを使うときの六つの視点

① 条件の主体は変えられる

最初に$n$について与えられた条件も、方程式を通して、別の文字$m$の条件へ移せることがあります。
例えば$n^2-1=m^3$なら、$n$についてのmodの情報が、$m$の倍数条件になることがあります。その条件を使って$m^3+1=n^2$を調べてもよいわけです。
条件を、問題文で最初に付いていた文字へ固定しないようにしましょう。

② 因数分解は一通りではない

同じ方程式でも、左辺を分解するか右辺を分解するか、平方差を使うか立方和を使うかによって、現れる因子は変わります。
候補を選ぶ基準は、その先です。与えられた条件が使えるか、最大公約数が整理できるか、整理した後にmodや挟み込みへ戻れるかを比べます。
最初に目に入った因数分解を進め続ける必要はありません。

③ modが因数分解を可能にする

指数が文字なら、偶数か、奇数か、特定の数の倍数かを確認します。得られた条件によって、平方差、奇数乗の和、累乗の差などが使えるようになる場合があります。
例えば$a$が偶数と分かるまでは、$X^{a/2}$を整数とは扱えません。指数の条件を得てから、整数の積へ変形します。

④ 複数の式をまとめてもよい

二つの式がともに平方数なら、その積も平方数です。それぞれの最高次係数が平方数でなくても、積の最高次係数は平方数になるかもしれません。
例えば最高次係数がともに$2$なら、積の最高次係数は$4$です。そこで新たに挟み込みが使える可能性があります。もちろん、実際に挟めるかは残りの項と平方数の間隔を比べて確認します。
一つの式を因数分解してバラすことも、複数の式を掛けてまとめることも、挟み込み・modを使える対象へ移るための操作です。

⑤ 途中で作った式にも、何度でも適用する

因数分解後の因子、複数の式の積、途中で平方数だと分かった式、条件を代入して得た式。そのどれにも、同じ流れを適用できます。
新しい整数条件が得られるたびに、その対象について挟み込みとmodを点検してください。一度因数分解を使ったからといって、次も因数分解を続けるとは限りません。

⑥ 使える構造を自分で作る

掛け合わせるだけでなく、展開する、正の平方数を掛ける、平方完成する、といった操作も候補になります。
例えば$A$が平方数なら$4A$も平方数なので、
$$4(n^2+n+1)=(2n+1)^2+3$$
のように、平方を中心とする形を作れます。
ただし、平方数を掛けるだけで、奇数だった最高次数を偶数に変えたり、平方数でない最高次係数を平方数に変えたりできるわけではありません。整数係数多項式の平方を掛ければ、次数には偶数を足し、最高次係数には平方数を掛けることになります。その障害は残ります。
何を改善するための変形なのかを、具体的に見てください。今の形では使えなくても、条件を保って式を作り替えることで、使えるようになる手法はあります。


第4部 実践問題

七つの問題で、判断をつなぎます。解答では計算を、解説では一手を選ぶ理由を確認してください。

ここからは、道具を選び、つないで使う練習です。各問の「模範解答」は答案として簡潔にまとめ、「解説」ではその順番を選ぶ理由を補います。
まず問題だけを読み、最初に何を確認するか考えてから、解答を開いてみてください。

実践問題1

$n(n+2)(n+5)$が立方数となる正の整数$n$をすべて求めよ。

模範解答

与式を$P$とおく。$n\geqq1$のとき、
$$\begin{aligned} P-(n+1)^3&=4n^2+7n-1\gt 0,\\ (n+3)^3-P&=2n^2+17n+27\gt 0. \end{aligned}$$
よって$(n+1)^3\lt P\lt (n+3)^3$であり、$P$が立方数なら$P=(n+2)^3$である。したがって
$$\begin{aligned} &n(n+2)(n+5)-(n+2)^3\\ &\quad=(n+2)(n-4)=0 \end{aligned}$$
より$n=4$。逆に$n=4$のとき、与式は$216=6^3$である。ゆえに求める値は$\boxed{n=4}$
解説

まず挟み込みを点検

最初から積の形になっていますが、いきなり三つの因子の最大公約数を調べる必要があるでしょうか。まず立方数としての大きさを見ます。

展開すると$n^3+7n^2+10n$で、次数も最高次係数も立方に合います。一方、$(n+c)^3$$n^2$の係数は$3c$です。$7$$6$$9$の間なので、$(n+2)^3$付近を見るのが自然です。

候補を一つに確定

ここでは少し広く、$(n+1)^3$$(n+3)^3$で挟みました。候補を一つに確定する、挟み込みの②です。残った等式は簡単に解けるので、この時点で解法が完成します。

答案の最後にも因数分解は現れますが、その目的は、確定した候補との等式を解くことです。最初から積の各因子に立方数条件を分ける議論とは役割が異なります。

「因数分解が見える」という見た目より、「先に大きさだけでどこまで分かるか」を優先した例です。

実践問題2

正の整数$n$に対して、
$$2n^4+4n^3+5n^2+3n+1$$
は平方数にならないことを示せ。

模範解答

与式が平方数であると仮定する。
$$\begin{aligned} &2n^4+4n^3+5n^2+3n+1\\ &\quad=(n^2+n+1)(2n^2+2n+1) \end{aligned}$$
であり、$2n^2+2n+1=2(n^2+n+1)-1$より、二因子の最大公約数は$1$である。両因子は正なので、$n^2+n+1$は平方数でなければならない。

しかし$n\geqq1$より
$$n^2\lt n^2+n+1\lt (n+1)^2$$
であり、矛盾する。したがって与式は平方数にならない。
解説

直接処理の見通しを見る

次数は$4$ですが、最高次係数が$2$なので、整数係数の二次式の平方を使って直接挟む形には合いません。そこで、係数$2$を二つの因子へ分け、一方に平方数条件を移せないかと考えます。

因数分解 → gcd

因数分解は、$T=n^2+n$とまとめると見つけられます。
$$\begin{aligned} &2n^4+4n^3+5n^2+3n+1\\ &\quad=2T^2+3T+1\\ &\quad=(T+1)(2T+1). \end{aligned}$$
因子の条件から、挟み込みへ

因子の最高次係数は$1$$2$に分かれました。続いて最大公約数を確認すると$1$なので、係数$1$の因子$n^2+n+1$も平方数です。ここで基本例題1の挟み込みへ戻れます。

小さな法を短く点検しても直接の矛盾が見えにくく、ここでは最高次係数の障害を因数分解で分離する方に見通しがあります。modによる解法がないと証明してから進む必要はありません。得られた条件は残し、次の構造を見ます。

直接の点検から、因数分解、最大公約数、因子の平方数条件、挟み込みへと進んでいます。

実践問題3

チェベラウス作

$n$$2$以上の整数で、$3$の倍数ではないとする。$n^2-1$は立方数にならないことを示せ。

模範解答

$n^2-1=m^3$となる整数$m$があると仮定する。$n\geqq2$より$m\geqq2$である。

$n$$3$の倍数でないので$n^2\equiv1\pmod3$であり、$m^3\equiv0\pmod3$となる。よって$m$$3$の倍数である。
$$n^2=m^3+1=(m+1)(m^2-m+1)$$
と変形する。ここで
$$\begin{aligned} \gcd(m+1,m^2-m+1) &=\gcd(m+1,3)\\ &=1 \end{aligned}$$
なので、$m^2-m+1$は平方数でなければならない。しかし$m\geqq2$より
$$(m-1)^2\lt m^2-m+1\lt m^2$$
であり、矛盾する。
解説

最初に見える因数分解は$n^2-1=(n-1)(n+1)$です。しかし、その二因子に立方数条件を分けた後の処理まで、すぐに見通せるでしょうか。

条件の主体を$n$から$m$

まず「$n$$3$の倍数ではない」という条件を使い、法$3$で見ると、$m$$3$の倍数だと分かります。条件の主体が$n$から$m$へ移りました。

別の因数分解を選ぶ

そこで方程式を$m^3+1=n^2$と読み直します。$m$の三次式は、そのままでは多項式の平方で挟む形に合いませんが、立方和として分解すると、平方数として調べやすい二次因子$m^2-m+1$が現れます。

最大公約数は$\gcd(m+1,3)$です。先ほど得た「$m$$3$の倍数」が、ちょうどこれを$1$にします。条件を移したからこそ、この因数分解の効果がはっきりします。

新しい因子で挟み込み

最後に得た二次因子は、次数$2$、最高次係数$1$です。そこで再び挟み込みへ戻れば、すぐに矛盾します。

条件の主体を変えることと、別の因数分解を選ぶことを組み合わせた例です。なお、「$3$の倍数ではない」という条件は必要で、これを外すと$n=3$$n^2-1=8$が立方数になります。

実践問題4

$$n^2+6n+30=11^a$$
を満たす正の整数の組$(n,a)$をすべて求めよ。

模範解答

$3$で考えると$n^2\equiv(-1)^a\pmod3$である。平方数の剰余は$0,1$なので$a$は偶数であり、$a=2t$$t$は正の整数)とおける。

与式を平方完成すると
$$(n+3)^2+21=11^{2t}$$
より
$$(11^t-n-3)(11^t+n+3)=21.$$
$11^t\gt n+3\gt 0$なので二因子は正であり、前者の方が小さい。よって二因子の組は$(1,21),(3,7)$である。

和を取ると$11^t=11,5$となるが、可能なのは$t=1$の場合だけである。このとき$n=7$。逆に$(n,a)=(7,2)$は元の式を満たすので、求める組は$\boxed{(7,2)}$
解説

mod → 指数の条件

左辺は二次式ですが、右辺の指数$a$も未知です。まず法$3$で見ると、左辺の$6n+30$が消え、右辺は$(-1)^a$になります。式が簡単になり、同時に平方剰余の制限が効く法です。

ここで得られるのは、解がないという結論ではなく、$a$が偶数だという条件です。これにより$11^a$を整数の平方として扱えるようになります。

平方完成 → 平方差

次に左辺を平方完成すると、二つの平方数の差が定数$21$になります。そこで平方差を使い、積を定数にして約数の組を調べます。

$3$で指数を確定する、平方完成する、平方差に分解する、約数の組で有限化する、という順番です。因数分解を可能にしたのは、その直前のmodでした。

この場合は積が定数なので、各因子を独立した平方数として扱う必要はありません。約数の組から元の文字へ戻し、指数条件と正の整数条件を確認すれば解決します。

実践問題5

正の整数$n$について、
$$2n^2+n+1,\qquad2n^2+3n+1$$
がともに平方数となることはあるか。

模範解答

二つの式がともに平方数であると仮定し、
$$\begin{aligned} A&=2n^2+n+1,\\ B&=2n^2+3n+1 \end{aligned}$$
とおく。このとき$AB$も平方数である。

$Q=2n^2+2n$とおくと、
$$AB=Q^2+3n^2+4n+1$$
であり、
$$\begin{aligned} AB-Q^2&=3n^2+4n+1\gt 0,\\ (Q+1)^2-AB&=n^2\gt 0. \end{aligned}$$
よって$Q^2\lt AB\lt (Q+1)^2$となり、矛盾する。したがって、ともに平方数となることはない。
解説

二つの平方数をまとめる

それぞれの最高次係数は$2$なので、整数係数の一次式の平方を使う直接的な挟み込みには合いません。しかし、二つとも平方数であるという条件があります。掛け合わせれば、新たな平方数を作れます。

積の最高次係数は$4$、次数は$4$です。今度は二次式の平方と合います。

展開すると
$$AB=4n^4+8n^3+7n^2+4n+1.$$
新しい対象で挟み込み

そこで$(2n^2+cn)^2$と比べ、$n^3$の係数を合わせると$4c=8$、つまり$c=2$です。これが$Q=2n^2+2n$を選ぶ理由です。

残りは$3n^2+4n+1$で、次の平方数までの間隔は$2Q+1=4n^2+4n+1$です。その差が$n^2\gt 0$なので、連続する平方数の間に入ります。

一方の式だけが平方数になることはあります。例えば最初の式は$n=1$$4$、二番目の式は$n=24$$1225=35^2$です。二つの条件をまとめたことで、単独の式には見えなかった挟み込みが作れました。

実践問題6

$m>n$を満たす正の整数$m,n$について、
$$\frac{n^2+3n+1}{m-n},\qquad\sqrt{n^4+m}$$
がともに整数であるとする。$(m,n)$をすべて求めよ。

模範解答

分数は正の整数なので、$m-n\leqq n^2+3n+1$より
$$m\leqq n^2+4n+1.$$
一方、$n^4+m$は平方数であり、$m\gt 0$より$(n^2)^2\lt n^4+m$だから、
$$n^4+m\geqq(n^2+1)^2$$
より$m\geqq2n^2+1$である。

したがって$2n^2+1\leqq n^2+4n+1$より$1\leqq n\leqq4$である。

この範囲で、$m-n$$n^2+3n+1$の正の約数であることと$m\geqq2n^2+1$を使うと、残る候補は次のとおりである。
$$\begin{array}{c|c|c|c} n&n^2+3n+1&m&n^4+m\\\hline 1&5&6&7\\ 2&11&13&29\\ 3&19&22&103\\ 4&29&33&289 \end{array}$$
$7,29,103$は平方数でなく、$289=17^2$である。また$(m,n)=(33,4)$のとき分数は$1$なので、求める組は$\boxed{(33,4)}$
解説

最初に、平方根の整数条件を「$n^4+m$が平方数である」と翻訳します。ここでは$m$も未知なので、すぐに両側から挟めるとは限りません。

片側の挟み込みで必要条件

しかし、$m\gt 0$により、既知の平方数$(n^2)^2$より大きいことは確実です。平方数である以上、その次の平方数$(n^2+1)^2$以上でなければなりません。これが挟み込みの③であり、$m\geqq2n^2+1$という必要条件を作ります。

別の整数条件と合わせる

別の条件である分数は、正の整数です。その値が$1$以上であることから、分母は分子以下となり、$m$の上限が得られます。この上限と先ほどの下限を合わせると$n\leqq4$となります。

元の条件で候補を確認

最後は、分数の整数条件を「分母は分子の約数」と読み直します。表の分子$5,11,19,29$はいずれも素数です。分母が$1$の場合は$m=n+1\lt 2n^2+1$となるので除かれ、分母が分子と等しい場合だけが残ります。

一方の条件から必要条件を取り、もう一方の条件と組み合わせて有限化し、最後に元の条件で確認しています。片側からの挟み込みが、二つの条件を結ぶ役割を果たしています。

分数が整数となる条件の扱いは、 整数問題における有理数の整数条件 で詳しくまとめています。

実践問題7

正の整数$n$に対して、
$$28n^3+21n^2+7n$$
が平方数となることはあるか。

模範解答

$n=1$のとき与式は$56$なので平方数ではない。以下$n\geqq2$とし、与式が$m^2$に等しいと仮定する。ここで$m$は正の整数とする。

$Q=4n^2+3n+1$とおくと$7nQ=m^2$であり、
$$\gcd(n,Q)=\gcd(n,1)=1.$$
$m$$7$の倍数なので$m=7r$とおけば$nQ=7r^2$となる。よって、正の整数$u,v$を用いて
$$\begin{aligned} (n,Q)&=(u^2,7v^2)\\ &\text{または}\quad(7u^2,v^2) \end{aligned}$$
と表せる。しかし
$$(2n)^2\lt Q\lt (2n+1)^2$$
なので$Q$は平方数ではない。したがって$n=u^2,Q=7v^2$であり、
$$4u^4+3u^2+1=7v^2.$$
$u$が偶数なら法$4$$1\equiv7v^2\pmod4$となり不可能である。よって$u$は奇数で、$n=u^2\geqq2$より$u\geqq3$である。また法$2$で考えると$v$は偶数である。

ここで
$$\begin{aligned} &4u^4+3u^2+1\\ &\quad=(2u^2-u+1)(2u^2+u+1) \end{aligned}$$
より、正の整数
$$\begin{aligned} A&=\frac{2u^2-u+1}{2},\\ B&=\frac{2u^2+u+1}{2} \end{aligned}$$
をおけば、$AB=7(v/2)^2$である。$B-A=u$であり、$A,B$の公約数は$u$$2A=2u^2-u+1$を割り切るので、$1$を割り切る。したがって$\gcd(A,B)=1$であり、$A,B$の一方は平方数である。

しかし$u\geqq3$より
$$\begin{gathered} (u-1)^2\lt A\lt u^2,\\ u^2\lt B\lt (u+1)^2 \end{gathered}$$
なので、どちらも平方数ではない。これは矛盾であり、与式が平方数となることはない。
解説

この問題では、フローチャートを二度循環します。途中で条件が増えたときに、何を再評価するかを見てください。

最初の式は三次式なので、整数係数多項式の平方で直接挟む形には合いません。小さなmodの点検で結論が出なければ、この次数の障害を分けることに目を向けます。

1回目:因数分解 → gcd

そこで共通因数$7n$を取り出します。残る$Q=4n^2+3n+1$は、次数$2$、最高次係数$4$です。因数分解により、平方数として挟みやすい因子が現れました。

すぐに$\gcd(n,Q)=1$を確認します。$7nQ=m^2$から$m$$7$の倍数と分かり、$nQ=7r^2$に直すと、素数$7$をどちらの因子が受け持つかで二通りに分かれます。

ここで$Q$自体は平方数でないと挟み込みから分かりますが、問題全体はまだ終わりません。$Q=7v^2$という場合が残っているからです。これを落とさず、$n=u^2,Q=7v^2$という新しい条件を得ます。

得た条件を代入 → mod

次の対象は$4u^4+3u^2+1=7v^2$です。ここで再びmodを調べ、$u$が奇数、$v$が偶数だと分かります。新しい条件を得た後に、また最初の道具へ戻っていることに注意してください。

2回目:因数分解 → gcd

さらに、この複二次式は
$$4u^4+3u^2+1=(2u^2+1)^2-u^2$$
と平方差を作れば、二つの二次式に分解できます。今度は$u$が奇数なので両因子が偶数です。実際、その最大公約数は$2$であり、$2$で割った$A,B$について互いに素であることを答案中で確認しています。

$AB=7(v/2)^2$かつ$\gcd(A,B)=1$なので、今度こそ$A,B$の一方に、係数の付かない平方数条件が移ります。両者の最高次係数は$1$となり、再び挟み込みが使えます。

再び挟み込みへ

最後の不等式の差を確認すると、
$$\begin{aligned} A-(u-1)^2&=\frac{3u-1}{2}\gt 0,\\ u^2-A&=\frac{u-1}{2}\gt 0,\\ B-u^2&=\frac{u+1}{2}\gt 0,\\ (u+1)^2-B&=\frac{3u+1}{2}\gt 0 \end{aligned}$$
です。よって両方とも平方数から排除できます。

一度目の因数分解で$n=u^2$という条件を得て、その条件を代入した式でmodを使い、二度目の因数分解と最大公約数の整理を経て、最後に挟み込みへ戻りました。因数分解を繰り返す理由が、それぞれの段階で異なる形として見えています。

追記 おすすめ問題

この記事の内容に関連して、ぜひ解いてみてほしい問題をいくつか挙げておきます。

  • 一橋大学 2001年度 後期 第1問
  • 東京大学 2019年度 前期 理科 第4問
  • 第14回 日本数学オリンピック(2004年)本選 第1問
  • 第30回 日本数学オリンピック(2020年)本選 第1問

おわりに

平方数・立方数・一般の乗数の条件を見たら、まず言葉を式へ翻訳し、挟み込みとmodで直接何が分かるかを確かめます。
それだけで解決しなくても、必要条件が取れれば前進です。次数・最高次係数や得られた条件を見て、因数分解によってどの障害を取り除けるかを考えます。
因数分解した後は、最大公約数を確認して条件を整理し、新しい対象に対して再び挟み込み・modへ戻ります。場合によっては、式を掛け合わせたり、条件を別の文字へ移したりして、その対象を自分で作ります。
解答を読み返すときも、「ここで何の公式を使ったか」に加えて、「なぜ今、この形へ変えたのか」を問い直してみてください。個々の計算のつながりが見えると、次の問題で最初の一手を選ぶ理由も見つけやすくなります。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。この記事で整理した考え方が、皆さんの次の一問を考える手掛かりになれば幸いです。
皆さんの日常に良き数学の彩のあらんことを。
それでは、ごきげんよう。

投稿日:12日前
更新日:12日前
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