こんにちは。
みなさんはマクローリン展開をご存知ですか?
マクローリン展開とは、無限回微分可能な関数を多項式で表す方法です。
$e^{x}=1+x+\frac{x^{2}}{2!}+\frac{x^{3}}{3!}+\frac{x^{4}}{4!}+\frac{x^{5}}{5!}+\cdots$
$sinx=x-\frac{x^{3}}{3!}+\frac{x^{5}}{5!}-\frac{x^{7}}{7!}+\cdots$
$cosx=1-\frac{x^{2}}{2!}+\frac{x^4}{4!}-\frac{x^{6}}{6!}+\cdots$
このようにマクローリン展開をすることで馴染みの深い多項式の関数に帰着することができます。
また、これにより右辺の前半何項かを切り取ることで近似も可能です。
$f(x)=f(0)$$+$$f'(0)x$$+$$\frac{f''(0)}{2!}x^2+$$\frac{ f^{(3)} (0)}{3!}x^3$$+$$\frac{ f^{(4)} (0)}{4!}x^4$$+$$\cdots$
$ $ $ $ $=$$\sum_{k=0}^{∞}$$ f^{(k)}(0)\frac{x^{k}}{k!}$
上の等式が成立するためには、右辺の級数が収束する必要がありますが、今回扱う関数では関係がないので気にしないことにします。
この公式の導出は、検索しても出てこなかったので、自分で次のように導出しました。
無限回微分可能な関数$f(x)$を次のように定義する
$f(x)=a_{0}$$+$$a_{1}x+a_{2}x^{2}+a_{3}x^3+\cdots+a_{n}x^n+\cdots$
$f'(x)=a_{1}+2a_2x+3a_3x^2+4a_4x^3+\cdots+na_nx^{n-1}+\cdots$
$f''(x)=2a_{2}+6a_3x+12a_4x^2+20a_5x^3+\cdots+n(n-1)a_nx^{n-2}+\cdots$
$f^{(n)}(x)=n!a_n+ {}_{n+1} \mathrm{P}_na_{n+1}x+{}_{n+2} \mathrm{P}_na_{n+2}x^2 +\cdots$
$f^{(n)}(0)=n!a_n$
$a_n=\frac{f^{(n)}}{n!}$
よって、$ $$f(x)=\frac{f(0)}{0!}+\frac{f'(0)}{1!}x+\frac{f''(0)}{2!}x^2+\cdots$
$=$$\sum_{k=0}^{∞}$$ f^{(k)}(0)\frac{x^{k}}{k!}$
以上より導出完了
余談ですが、これを利用してオイラーの等式を証明してみましょう。
$e^{i\pi}+1=0$
オイラーの等式とは上のような等式で、$0、1、e、i、\pi$と5つの重要な数が一つの式に用いられる世界一美しい式と言われています。
それでは証明していきましょう。
$e^{ix}$をマクローリン展開する。
$(e^{ix})'=ie^{ix} (ie^{ix})'=-e^{ix} (-e^{ix})'=-ie^{ix} (-ie^{ix})'=e^{ix}$ より、
$ $$e^{ix}=1+ix-\frac{x^2}{2!}-\frac{ix^3}{3!}+\frac{x^4}{4!}+\frac{ix^5}{5!}-\frac{x^6}{6!}-\frac{ix^7}{7!}+\cdots$
$ $$=(1-\frac{x^2}{2!}+\frac{x^4}{4!}-\frac{x^6}{6!}+\cdots)+i(x-\frac{x^3}{3!}+\frac{x^5}{5!}-\frac{x^7}{7!}+\cdots)$
$sinx=x-\frac{x^{3}}{3!}+\frac{x^{5}}{5!}-\frac{x^{7}}{7!}+\cdots$
$cosx=1-\frac{x^{2}}{2!}+\frac{x^4}{4!}-\frac{x^{6}}{6!}+\cdots$ より、
$e^{ix}=cosx+isinx$
$x=\pi$を代入して、
$e^{i\pi}=-1+0$
$e^{i\pi}+1=0$
よって証明完了
いかがでしたでしょうか。マクローリン展開はこのようなことだけでなく極限への応用をすることもできます。私はまだ独学でしかこれらを学んでいないので間違っている点などあればご指摘お願いします。