今回も院試問題を見ていきます.情報理工学系研究科からです.
どうすれば最良の秘書を雇えるか
秘書問題は一人の秘書を雇うために面接をしていくとき,一度不採用にした人は採用出来ず予め秘書の能力の絶対的順序が決まっており,行った面接の結果だけが分かる状態でどのような戦略で採用すれば最も有能な秘書を雇えるかという問題です.実際の採用では全員の面接後に結果が決まることが多いと思われるので例えとしては微妙かもしれません.
結婚相手を選ぶ設定で結婚問題とも言われます.
それでは問題を見ていきましょう.
2020年(令和2年) 東大 情報理工学系研究科 問3
画像の名前
(1)候補者の並べ方は全部で通り.その中で位の人を取る場合を数える.
人目で取るとき他人の並べ方は何でもよいから通り.人目で取るとき番目の候補者の順位が番目の候補者の順位より小さければよくそのような数のペアは通り.人目で取るとき人目の順位がになりその場合はとの並べ方で通り.
よって求める確率は
(2)人の並べ方は通り.とする.人目で位の人を採用するのは最初の人の内の最小順位の人が最初の人のどちらかである場合で他の人の並べ方と番目以降の人の並べ方は自由だから最初の人の選び方も考えて通り.
よって
となる.
(3)人の並べ方は通り.人目で位の人を採用するのは最初の人の内の最小順位の人が最初の人のどれかである場合で他の人の並べ方と番目以降の人の並べ方は自由だから最初の人の選び方も考えて通り.
よって
.
(4)(3)で求めた確率をに渡って足すとになるから
.これより
(5)(4)から計算する.が十分大きいときととの差は無視できて
.微分により最大値はで取る.
この方針で採用していけば最良の応募者を%以上の確率で採用出来るというのはすごいですね.じゃあさっそく人生で若いうちに出会う女性の数を計算して…
他にも計算方法はあり,例えばWikipediaでは最良の候補者が番目に居る確率と最初のr-1人にk-1人中の最小値が含まれる確率の積でとしています.