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足しても掛けても同じ数になる4つの正の整数
Xで見た算数の問題
先日、$\mathbb{X}$(旧Twitter)のつぶやきで、
という問題を見て、自分もいくつか回答を考えてリプライした。
1/2,1,3,9
11/20,1,3,7
6/5,1,2,3
2/5,1,4,9
他にも、$0$や負の数を含んで良ければ、
0,x,y,-x-y
も回答になる。他にも
9,1,-0.9,-1
なども回答になる。
この$4$つの数を正の整数に限定すると、例えば、
4,2,1,1
がすぐにわかるが、これ(その並べ替え)以外にはあるだろうか?
改めて別の問題として以下が考えられる。
問題の改題
$a$,$b$,$c$,$d$:正の整数で
$a+b+c+d=abcd$
となる数の組を全て求めよ。
実は、
解答
$a$,$b$,$c$,$d$:正の整数で
$a+b+c+d=abcd$
となる数の組は
$(a,b,c,d)=(4,2,1,1)$とその並べ替えのみである。
$a \geq b \geq c \geq d \geq 1$としても一般性を失わない。
$a+b+c+d=abcd$を$d$についてとくと
$d=\displaystyle \frac{a+b+c}{abc-1}$
(分母)-(分子)
$=(abc-1)-(a+b+c)$
$=a(bc-1)-1-b-c$
- $a \geq 5$ を仮定すると
$a(bc-1)-1-b-c \geq 5(bc-1)-1-b-c$
$a(bc-1)-1-b-c \geq b(5c-1)-6-c$
さらに、$b$についても仮定をする。 - $a \geq 5$ かつ$b \geq 2$
$ b(5c-1)-6-c\geq 2(5c-1)-6-c$
$ b(5c-1)-6-c\geq 9c-8 \geq 1 \gt 0$
つまり、$(abc-1)-(a+b+c) > 0$
この時$d=\displaystyle \frac{a+b+c}{abc-1} < \frac{abc-1}{abc-1}=1$
となるので、$d \notin \mathbb{Z} $
解にはならない。
よって$2 > b \geq c$つまり、$b=c=1$を考える - $a \geq 5$ かつ$b=c=1$
$d=\displaystyle \frac{a+b+c}{abc-1}=\frac{a+2}{a-1}>\frac{a-1}{a-1}=1 $
$1=c \geq d$に矛盾する。
解にはならない。
すなわち$a \leq 4$である。($4\geq a \geq b \geq c \geq d \geq 1$) - $a=4$を仮定する
$(abc-1)-(a+b+c)=b(4c-1)-5-c$
ここで、$b \geq 3$とすると、 - $a=4$かつ$b \geq 3$
$(abc-1)-(a+b+c)=b(4c-1)-5-c$
$\geq 3(4c-1)-5-c=11c-8 > 0$
この時$d=\displaystyle \frac{a+b+c}{abc-1} < \frac{abc-1}{abc-1}=1$
となるので、$d \notin \mathbb{Z} $
よって、$b < 3$を考える。つまり$b=2$か$b=1$ - $a=4$かつ$b=2$を仮定する
$2=b \geq c$ なので、$c=2$の場合、$d=\frac{4+2+4}{4 \times 2 \times 2 -1}=\frac{8}{15} \notin \mathbb{Z} $
なので、$c=1$で、$d=\frac{4+2+1}{4 \times 2 \times 1 -1}=\frac{7}{7}=1$
$(a,b,c,d)=(4,2,1,1)$が解になる。 - $a=4$かつ$b=1$を仮定する
$b \geq c \geq d \geq 1$より、$c=d=1$だが、
$d=\frac{4+1+1}{4 \times 1 \times 1 -1}=\frac{6}{3}=2>1$に矛盾する。
以上のことにより、
$a+b+c+d=abcd$
となる正の整数の組は
$(a,b,c,d)=(4,2,1,1)$とその並べ替えのみである。
∎
$3$つの正の整数だったら・・・
$4$つのを$3$つのに変えると、
$a$,$b$,$c$:正の整数で
$a+b+c=abc$
となる数の組を全て求めよ。
解答
$(a,b,c)=(1,2,3)$とその並べ替えのみ。
実は、以前書いた以下の記事にそれを示した。(タイトルからは関係なさそうだが)
冒頭の問題を見た時、この記事に書いた事を思い出した。
[Link]「
そこそこ美しい等式 atan(1)+atan(2)+atan(3)=π | Mathlog
」

終わりに
簡単な算数の問題でも、このように数の種類を限定したり、「$1$つの解だけでなくすべての答えを求めよ」などと問題を変形すると、数学の問題としての論証を結構を楽しめるということが分かった。また、この記事でやったようなまわりくどい場合分けでなく、よりエレガントな別証もあるかもしれない。
算数や数学の簡単な問題から問題の変形や別証の考案もまた、算数・数学の楽しみ方の一つと言える。