こんにちは,にんとぅくです.勉強のアウトプットとしてこいつを使うことにしました.どの本を学んでいるのかは参考文献に載せることにしました.今日からしばらくはトポロジーについて学んでみようと思います.
必要な前置きかはわかりませんが,前提知識は理工系の学部1年生が習う線形代数と微分積分の基礎的な内容と,群論のちょっとした知識を要求します.
最初なので,うまく方向性が定まらないかもしれません.
(。-`ω-) ゴメン…
タイトルにある ”ホモトピー” にいきなり入れたら楽なのですが,これを知るにはトポロジーについて基礎的なことを知っていないといけないようです.タイトルの疑問に答える前の食前酒と題して,少し準備をしましょうか(๑´ڡ`๑)
(ご存じの方が多いかもしれませんが)そもそもトポロジー$(\mathrm{Topology})$とは何でしょうか.大雑把に言うと,空間をゴム風船のように伸縮自在なものと考え,大きく形を変えても失われない性質(”位相不変量” と言いますが,今は気にしなくて良いです)を探求する分野です.
ふつう私たちの日常生活において,サイコロとボールは異なる幾何学的対象(図形)ですが,サイコロの形をしたゴム風船があるとして,そこに息を吹き込んでみると,丸く膨らんでボールの形になるのが想像できると思います.これはトポロジーの世界においては同じ図形として見做されます.
このような柔軟性がトポロジーの特徴です.つまり今までの高校数学や日常的なモノの見方と比べて,何をもって ”同じ” とするかのハードルが低くなっているのですね.大げさに言えば,トポロジーの世界で図形を見れば,図形のより本質的な共通点や特徴を探すことができます.ほかにも有名な例として,「ドーナツとマグカップは同じ図形だ!」なんて主張を耳にしたことがある人も多いかと思いますが,これもまさにトポロジーの考え方に基づいています.大体イメージは掴めたでしょうか?
蛇足:サイコロや球体をいくら膨らませたりしても,決してドーナツの形にならないことが想像できると思います.ドーナツの穴は,これらの図形にはないからですね.実はこの「穴の数」こそ,不変量のひとつなのです.つまり球体とドーナツは,位相的にも異なる図形といえます
位相空間の定義は極めて抽象的で,最初は何をしてるのかよくわからないと思います(私も詳しくない)し,位相空間自体の定義は今回の話題にそこまで重要ではないと思ったので,軽く話したいと思います.
もっと深く嗜みたい方はご自身で本を参照するか,Youtubeにもわかりやすい解説動画がたくさんありますので,お好みのものを味わっていただければと思います.
$\text{Euclid}$空間$\mathbb{R}^n$がまさに私たちの想像する空間としてふさわしいと感じる理由は,数直線$\mathbb{R}$の上に実数がきれいにびっしり並んでいるからですね.きれいに並んでいるおかげで向き付けが可能になりベクトルを用いることができるため,距離が測れます.びっしり並んでいるおかげで好きなだけ空間を切り刻むことができ,いろんなことができるようになります.実はこの$\text{Euclid}$空間のきれいな性質は集合$\mathbb{R}$のおかげだったのです.
では,もっと一般の集合でも遠近感を持たせたり,いろんなことができるような空間を構成できないのでしょうか?
その疑問に答えを与えたのが位相空間だと思っています.以下で定義する一連の定義は開集合を用いた定義ですが,閉集合でも似たように定義できます.
$X$を集合とし,$P(X)$を$X$の冪集合とする.$X$の部分集合からなる集合$\mathcal{O} \subset P(X)$が次の条件を満たすとき,$\mathcal{O}$は$X$の位相$\mathrm{(topology)}$であるという.
$(U_{i})_{i \in I}$が$\mathcal{O}$の元の族ならば,$\bigcup_{i \in I} U_{i} \in \mathcal{O}$である.
$(U_{i})_{i \in I}$が$\mathcal{O}$の元の有限族ならば,$\bigcap _{i \in I} U_i \in \mathcal{O}$である.
そして,集合$X$に位相$\mathcal{O}$が指定されているとき,$X$を位相空間$(\textrm{Topological space})$とよぶ.
位相空間の写像の連続性は次のように定義します.
$X$と$Y$を位相空間とし,$f:X \to Y$を写像とする.
$f$が連続写像であるとは,$Y$の任意の開集合$V$に対し,$f^{-1}(V)$が$X$の開集合であることをいう.
$a \in X$とする.$f$が$a$で連続であるとは,$f(a)$の任意の開近傍$V$に対し,$a$の開近傍$U$で$U \subset f^{-1}(V)$を満たすものが存在することをいう.
ここでお気持ちを話します.前節「位相数学の姿勢」にて,風船に例えてトポロジーのお気持ちをお話しました.サイコロからボールへの変形のように,徐々に膨らんで形が移り変わる様は写像によって定式化しているのです.そして写像の連続性は空間の連続変形,即ち,表面に切り込みを入れたり角をノリで張り付けるなどの連続的でない変形をせずにその形(写像の行き先)まで持っていけることに対応しています.とすると,位相空間論における ”空間が同じであるとはどういうことか” が見えてきます.
その1つが次の ”同相” という概念で,これは同値関係になっています(ボソッ).
$X$と$Y$を位相空間とする.
$f:X \to Y$を連続写像とする.$f$が可逆であり,逆写像$f^{-1}:Y \to X$も連続写像であるとき,$f$は同相写像$(\textrm{Homeomorphism})$であるという.
同相写像$f:X \to Y$が存在するとき,$X$と$Y$は同相$(\textrm{Homeomorphic})$であるといい,$X \approx Y$で表す.
最後に,後々使う補題を示しておきます.
$X, Y$を位相空間,$A, B \subset X$は各々閉集合で,和が$A \cup B = X$であるとする.$f:A \to Y$と$g:B \to Y$はともに連続写像で,$x \in A \cap B$に対しては$f(x) = g(x)$であるとき,
$ h(x) = \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} f(x) \quad (x \in A) \\ g(x) \quad (x \in B) \end{array} \right. \end{eqnarray} $
は連続写像である.
$U \subset Y$を$Y$の閉集合とする.このとき
$$
\begin{align*}
h^{-1}(U)
&= h^{-1}(U) \cap (A \cup B) \\
&= (h^{-1}(U) \cap A) \cup (h^{-1}(U) \cap B) \\
&= f^{-1}(U) \cup g^{-1}(U)
\end{align*}
$$
である.連続写像では閉集合の逆像は閉集合なので$f^{-1}(U)$と$g^{-1}(U)$は閉集合である.したがって$h^{-1}(U)$も閉集合である.以上より$h$は連続写像である.$\blacksquare$
いよいよメインに入りますが,前節までは空間そのものが変化していく様子を見ていましたが,ホモトピーではそもそもの ”変形という動作” に焦点を当てます.(ちなみに$\mathrm{Viande}$は「肉」を意味するフランス語で,フルコースのメインにあたります.$\mathrm{Apéro}$は「食前酒」,$\text{Amuse}$は食事の開始を知らせる一口サイズの料理のことです♪)
$X, Y$を位相空間, $f_{0}, f_{1} : X \to Y$を連続写像とする.次の二つの条件を満たす連続写像$F:[0, 1] \times X \to Y$を$f_{0}$と$f_{1}$を結ぶホモトピー$(\textrm{Homotopy})$という.
$f_{0}$と$f_{1}$を結ぶホモトピーが存在するとき,$f_{0}$と$f_{1}$はホモトピック$(\textrm{Homotopic})$であるといい,$f_{0} \simeq f_{1}$で表す.
上の関係を写像の ”ホモトピー同値” と呼ばれることもありますが,位相空間の ”ホモトピー同値” と混同する恐れがありますので,単にホモトピーとよぶことにします.
筆者の個人的なホモトピーは変分法の解法などで出てくる汎関数によく似ていると感じました.ここから考察できることは,空間を変形する張本人の写像を連続的に変化させることで,変形自体を観察していると考えられます.かえって混乱させてしまったら申し訳ないですが,独り言なので聞き流してください.
「同値」と呼ばれる所以は次にあります.
ホモトピックであるという関係は同値関係である.つまり
$[1] \;\; (\text{反射律}) \quad f \simeq f$
$[2] \;\; (\text{対称律}) \quad f \simeq g$ ならば $g \simeq f$
$[3] \;\; (\text{推移律})\quad f \simeq g, g \simeq h $ ならば $f \simeq h$
が成り立つ.
$f, g, h : X \to Y$を連続写像とする.
$[1]$ $x \in X$および$t \in [0, 1]$に対して,
$$F(t, x) = f(x)$$
で定義される写像$F$は$f$自身を結ぶホモトピーである.したがって$f \simeq f$を得る.
$[2]$ $f \simeq g$とし,$F$を$f,g$を結ぶホモトピーとする.このとき,
$$G(t, x) = F(1-t, x)$$
とすると,$G$は$g, f$を結ぶホモトピーであるので,$g \simeq f$を得る.
$[3]$ $F_{1}$を$f, g$を結ぶホモトピーとし,$F_{2}$を$g, h$を結ぶホモトピーとする.このとき
$
H(t, x) =
\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
F_{1}(2t, x) \quad &(0 \leq t \leq \frac{1}{2}) \\
F_{2}(2t-1, x) \quad &(\frac{1}{2} \leq t \leq 1)
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
$
は継ぎ合わせの補題$[\text{Lemma 1}]$より連続であり$f$と$h$を結ぶホモトピーである.したがって$f \simeq h$である.$\blacksquare$
一応参考書に次の概念が書いてあるので紹介しておきます.
$X$から$Y$への連続写像全体の集合$C(X, Y)$において,互いにホモトピックな写像からなる同値類をホモトピー類という.写像$f:X \to Y$が属するホモトピー類を$[f]$で表し,$X$から$Y$への写像のホモトピー類の集合$[X, Y]$で表す.
$X \approx X', Y \approx Y'$であるとき,それぞれの同相はホモトピー類$[X, X']$と$[Y, Y']$の間に全単射を導きます.このことから,ホモトピー集合を調べることで空間のトポロジーの情報を得ることができます.
ホモトピックであるという関係は,次の良い性質をもっています.
$X, Y, Z, W$を位相空間とし,$f_{0}, f_{1}:X \to Y, \;\; g_{0}, g_{1}: Y \to Z,$および$h_{0}, h_{1}:Z \to W$をそれぞれホモトピックな連続写像とする.このとき
$$h_{0} \circ g_{0} \circ f_{0} \simeq h_{1} \circ g_{1} \circ f_{1}$$
である.
$F, G, H$を,それぞれ$f_{0}, f_{1}, \;\; g_{0}, g_{1}$および$h_{0}, h_{1}$を結ぶホモトピーとする.このとき,$x \in X$および$t \in [0, 1]$に対して
$$H(t, G(t, F(t, x)))$$
を対応させる写像は$h_{0} \circ g_{0} \circ f_{0}$と$h_{1} \circ g_{1} \circ f_{1}$を結ぶホモトピーである.$\blacksquare$
さて,このホモトピーの立場からも類似していると見做せる空間の間の関係性があります.それが,次に示すホモトピー同値です.
$X, Y$を位相空間とする.連続写像$f:X \to Y$および$g:Y \to X$ が,$f \circ g \simeq \mathrm{id}_{Y}$かつ$g \circ f \simeq \mathrm{id}_{X}$を満たすとき,$f$をホモトピー同値写像,$g$を$f$のホモトピー逆写像という.ただし$\mathrm{id}_{X}, \mathrm{id}_{Y}$はそれぞれ$X, Y$の恒等写像を表す.$X, Y$の間にホモトピー同値写像が存在するとき,$X, Y$はホモトピー同値であるといい,$X \simeq Y$で表す.
皆さんの想像通り,次の補題が成り立ちます.
ホモトピー同値 ”$\simeq$” は位相空間上に定義された同値関係である.
補題4の証明は自分でやった部分もあるので,間違っていたら教えてください!
$\text{id}_X \circ \text{id}_X = \text{id}_X \simeq \text{id}_X$より,$X \simeq X$すなわち反射律を得る.
定義の$f$と$g$の役割を反転させると$Y \simeq X$となるので,対称律を得る.
最後に推移律を示す.$f_{1}:X \to Y$および$f_{2}:Y \to Z$をそれぞれホモトピー同値写像,$g_{1}:Y \to X$および$g_{2}:Z \to Y$をそれぞれホモトピー逆写像とする.このとき$X \simeq Y, Y \simeq Z$であり,
$\begin{align*} (g_{1} \circ g_{2}) \circ (f_{2} \circ f_{1}) &= g_{1} \circ (g_{2} \circ f_{2}) \circ f_{1} \\ &\simeq g_{1} \circ \mathrm{id}_{Y} \circ f_{1} \quad [\text{Lemma 3}]\\ &= g_{1} \circ f_{1} \\ &\simeq \mathrm{id}_{X} \end{align*}$
である.逆の積も$\mathrm{id}_{Z}$にホモトピックであるので$X \simeq Z$が成り立ち,推移律を得る.$\blacksquare$
上の方で同相は同値関係であることを何気なく言いました.ホモトピー同値も同値関係です.似ているようですが,これらの関係はどうなっているのでしょうか?
実は次の命題により,ホモトピー同値のほうが同相よりも弱い同値関係であることがわかります.
同相ならばホモトピー同値である.
命題3の逆は一般には成り立ちません!
同相よりもさらに緩いものさしで空間を比較しているのがホモトピー同値のようですね.
$f:X \to Y$を同相写像とする.このとき当然$X \approx Y$である.同相写像は連続写像で,その逆写像$f^{-1}:Y \to X$も連続写像である.また,
$$
f^{-1} \circ f = \text{id}_{X} \simeq \text{id}_{X}, \;\;
f \circ f^{-1} = \text{id}_{Y} \simeq \text{id}_{Y}
$$
であるので,$f$はホモトピー同値写像である.したがって$X \simeq Y$.$\blacksquare$
最後に可縮というものを紹介して終わりにします.
位相空間$X$は,1点空間$\{*\}$とホモトピー同値であるとき,可縮であるという.
$\text{Euclid}$空間$\mathbb{R}^n$や球体$\mathbf{D}^n$などは可縮です.穴の開いたドーナツ型の図形をトーラス$\mathbf{T}^2$と言いますが,これは1点に縮めることができませんので,可縮ではありません.
今回のまとめです.トポロジーは図形の形が変わることを拒まない柔軟な幾何学で,日常的な図形の同一視の基準を緩くしたのが同相でした.結局「ホモトピー同値って何ですか!?」という疑問に対する答えは,同相という図形の同一視をさらに緩くした,粗い同値関係のことでした.そして最後にホモトピー同値の使用例として可縮という概念を紹介しました.
それでは,またのお越しをお待ちしております.