三次正方行列の中でも、
1.対角成分が等しい
2.そこ以外の絶対値が同じ
3.対称行列
を満たす奴の逆行列は、簡単に出せるというお話です。
まずは余因子行列で大雑把な形を把握したいところですが、その前に。
こいつは対称行列なので、逆行列も対称行列です。
(
なので、余因子行列の
更に、対称行列なので、対角より上側の三つがそのまま下側の値になります。
なので、上部分だけを扱い、下部分は省略することにします。
まず行列式を整理すると、
二乗の部分は、条件からまとめられそうですね。でも、
ここで、
例えば、
どれも、符号だけ違います。でも、
他の例も見てみましょう。
ここから分かることは、
(
ここで、仲間外れの数を
また
これを使って行列式を整理すると、
この式は
無事因数分解されました。
次に、これを簡略化できないか考えてみます。
二乗部分は明らかに
まあ、
括れるとしたら、
ああ、両辺に
式にしてみせれば、
これを使って整理すると、
単純明快
余因子行列と行列式をくっつけましょう。
これにて、この形の行列の逆行列の公式が導かれました。
これだけ覚えておけば、このタイプの逆行列を一発で導けるという訳です。
どこにそんな都合のいい状況があるんだ、と思うかもしれません。
私の場合はキルヒホッフの法則の問題です。解法の都合上、たぶん必ず対称行列が出てきます。もちろん対角成分が同じじゃなかったり、そこ以外の絶対値が異なることもありますが、このタイプの時も割とあります。
そしてなぜかそのときだけ、逆行列を求めるのが必須になってることが多いです。問題製作者側だけの検算公式なのかしら。