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東大数理院試過去問解答例(2012B03)

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2012B03の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2012B03

Gを単純群とする。i=1,2に対してpi:G×GGpi(g1,g2)=giで定義し、G×Gの部分群Hは条件
p1(H)=p2(H)=G
を満たしているとする。

  1. HGまたはG×Gのいずれかに同型であることを示しなさい。
  2. Gが非可換であり、HG×Gの正規部分群であるとき、H=G×Gであることを示しなさい。
  1. 初めにGの部分群A
    A={gG|(1,g)H}
    で定める。いまp2(H)=Gより任意のhGに対して(h,h)Hなるhが存在するが、これによって
    (1,hgh1)=(h,h)(1,g)(h1,h1)H
    であるから、AGの正規部分群である。Gは単純なのでAG1のいずれかである。A=Gであったとすると、このことと条件p1(H)=GからH1×GまたはG×Gのいずれかになる。前者の場合p1(H)=Gに反していて矛盾するから、H=G×Gである。一方A=1であったとすると、任意のgGに対して(g,g)HなるgGが一意的に取れるから、群同型
    GHg(g,g)
    がwell-definedに定義される。これによってHGに同型である。
  2. Gが非可換かつHが正規部分群であったとする。(g,g)H及びghhgなるhをとる。このとき背理法の仮定から
    (hgh1,g)=(h,1)(g,g)(h1,1)H
    (hgh1g1,1)H(1,1)
    が従うが、このとき(1)の議論と同様にGの単純性からA=Gが従い、そこからH=G×Gが従う。
投稿日:2024611
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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