ここでは東大数理の修士課程の院試の2016B02の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2016B02
剰余環
を考え、及びで代表される元をそれぞれ及びとおく。
- の素イデアルを全て求めなさい。
- -代数の同型で
を満たすものがただ一つ存在することを示しなさい。 - の部分環を
で定める。このとき単射環準同型で、が有限次元になるようなものを一つ構成し、その次元を求めなさい。
- このような素イデアルはのいずれかを含むから、である(ここでは全ての複素数を走る)。
- まずは-代数としてで生成されていることからの一意性が従う。またの環同型はを固定するから、これはの環同型を誘導する。以上からの存在が示せた。
- ここで
とおく。ここで条件を満たすを取ったとき、かつなるを用いて
とおく。ここで
とおいたときを満たしている。これによっては環の同型を定めている。このとき上記の環同型によっては
と表される。ここでの-不変な元はなるから一意的に定められる。よって単射環準同型で、像が
であるようなものを構成でき、ここまでの議論からこのようなは例えばで実現されるる。ここで-線型空間の同型
を構成できるから、である。