Fermat予想 (フェルマーの最終定理) と呼ばれる定理は, 次のものです.
を満たす自然数
1995年にアンドリュー・ワイルズによって証明されました. フェルマーの死後3世紀以上, 誰も証明できなかったことで有名ですね.
今回証明する, "多項式版Fermat予想"とは, 次のものです.
を満たすものは存在しない.
フェルマーの最終定理によく似ていますね. まずは, 多項式版Fermat予想を証明するのに必要な2つの道具である, "次数"と"微分"について説明します.
次数に関して, 次の関係が成り立ちます.
また,
となるものが定義できます. これを微分とよび,
です. しかし,
それでは, 上で説明したことを使って, 多項式版Fermat予想を証明したいと思います.
定理が正しくないとし, ある
これを整理して
同様に
フェルマーの最終定理の証明には3世紀もの時を要し, その証明のすべてを理解している人は, 世界でも数人であるといわれています. しかし, 多項式版Fermat予想は, このように簡単に証明できました. なぜでしょう? そのわけは, 多項式には"微分"と"次数"の概念があるからだそうです. 上の証明をみても, 多項式の微分と多項式の次数をたくさんつかっていることがわかります. しかし, 整数環