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東大数理院試過去問解答例(2017B09)

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2017B09の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2017B09

測度空間$(X,\mathcal{B},\mu)$を考える。実数$p\in(0,\infty)$をとる。$X$上の複素数値$\mathcal{B}$可測関数列$\{f_n\}$が次の条件

  1. 殆ど至る所$\lim_{n\to\infty}f_n(x)=0$
  2. $\sup_{n}\int_X|f_n|^pd\mu<\infty$

を満たしているとする。また$X$上の複素数値可測関数$g$
$$ \int_X|g|^{\frac{p}{p-1}}d\mu<\infty $$
を満たしているとする。

  1. 正の実数$M$及び自然数$n$に対して
    $$ A_{M,n}=\left\{x\in X\middle||f_n(x)|^{p-1}\leq M|g(x)|\right\} $$
    とおく。このとき等式
    $$ \lim_{n\to\infty}\int_{A_{M,n}}|f_{n}g|d\mu=0 $$
    を示しなさい。
  2. 等式
    $$ \lim_{n\to\infty}\int_X|f_ng|d\mu=0 $$
    を示しなさい。
  1. まず$f_n':X\to\mathbb{C}$
    $$ f_n'(x)=\begin{cases} 0&(x\in A_{M,n})\\ f_n(x)&(\textsf{if else}) \end{cases} $$
    で定義する。このとき$\{f_n'\}$は殆ど至る所$0$に収束する。ここで
    $$ f_n'(x)g(x)\leq M^{\frac{1}{p-1}}g(x)^{\frac{p}{p-1}} $$
    であるから、ルベーグの優収束定理及び条件(i)から
    $$ \begin{split} \lim_{n\to\infty}\int_{A_{M,n}}|f_ng|d\mu&=\lim_{n\to\infty}\int_{X}|f_n'g|d\mu\\ &=\int_{X}\lim_{n\to\infty}|f_n'g|d\mu&=0\\ \end{split} $$
    であるから、結果が従う。
  2. まず$B_{M,n}=X\backslash A_{M,n}$とおく。このとき
    $$ \begin{split} \int_{X}|f_ngd|\mu&=\int_{A_{M,n}}|f_ng|d\mu+\int_{B_{M,n}}|f_ng|d\mu\\ &\leq\int_{A_{M,n}}|f_ng|d\mu+\frac{1}{M}\|f_n\|_p^p \end{split} $$
    である。このとき条件(ii)と(1)から極限$n\to\infty$を取って
    $$ \lim_{n\to\infty}\int_{X}|f_ngd|\mu\leq \frac{1}{M}\sup_{n}\|f_n\|_p^p<\infty $$
    が得られ、あとは極限$M\to\infty$を取れば所望の結果が得られる。
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藍色日和
藍色日和
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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