0
大学数学基礎解説
文献あり

ベクトル束を定義するだけ

25
0
$$$$

はじめに

$\mathbf{K}$で実数体もしくは複素数体を指すものとします.
多様体といえば$C^\infty$級のものを指すものとします.

位相空間上のベクトル束

ベクトル束の記号って$E$なんですね.何から由来しているんだろう.

位相空間上のベクトル束

$E,X$を位相空間,$\pi:E\rightarrow X$を全射連続写像とする.
これらについて,以下の条件が満たされるとき$\pi :E\rightarrow X$をベクトル束という.
(1) $E_x=\pi^{-1}(x)$$\mathbf{K}$上の$n$次元ベクトル空間である.
(2) ベクトル空間として$E_x$に自然に入る位相は$E$の部分空間としての位相とコンパチである.
(3) 各点$x\in X$に対し,次の性質を持つ近傍$U_x$が存在する:$\pi^{-1}(U_x)$$E$の部分空間としての位相を入れる.下の写像$\Psi:\pi^{-1}(U_x)\rightarrow U_x\times \mathbf{K}^n$が同相写像を与えるように各$E_y$$y\in U_x$)の基底$\{\mathbf{e}_1(y),\cdots,\mathbf{e}_n(y)\}$を定められる.
$$\Psi(\sum_{\mu=1}^n\alpha^\mu \mathbf{e}_\mu (y))=(y\,;\alpha^1,\cdots,\alpha^n)$$

$E_x$$x$上のファイバーといいます.
(3)より明らかに$X$の連結成分ではファイバーの次元は一定です.
(3)から(2)を導くことができますが,ここでは明示的に書いておきました.
多様体上のベクトル束は$E,X$を多様体,連続写像のところを$C^\infty$写像で置き換えればよいです.

ベクトル束の間の準同型

$\pi_1 :E\rightarrow X$$\pi_2 :F\rightarrow X$$X$上の二つのベクトル束とする.連続写像$\varphi:E\rightarrow F$が準同型であるとは以下の条件を満たすことをいう.

  1. 図式
    $$ \xymatrix{ E \ar[rr]^{\varphi} \ar[dr]_{\pi_1} & & F \ar[dl]^{\pi_2} \\ & X & } $$
    は可換である.
  2. 任意の$x\in X$について$\varphi|_{E_x}$$E_x$から$F_x$へのベクトル空間としての準同型となっている.

(1)より$\varphi(E_x)\subset F_x$なので(2)のような定義ができますね.
$\varphi$が全単射で$\varphi^{-1}$も準同型であるとき$\varphi$を同型写像といいます.

参考文献

[1]
志賀浩二, 多様体論
投稿日:20241125
更新日:20241126
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

はじめまして!楽しい記事を書ければと思いますので、よろしくお願いします。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中