記事を書く練習も込めて備忘録を書く.
$A$ を整域とする.次の条件を満たす関数 $\varphi : A \setminus \{ 0_A \} \rightarrow \mathbb{Z}_{\ge 0}$ が存在するとき,$(A,\varphi)$,あるいは単に $A$ をユークリッド整域と呼ぶ.
条件:「任意の $a \in A$ と $b \in A \setminus \{0_A\}$ に対し,$q,r \in A$ が存在して
\begin{align}
&\textrm{1.} \quad a = bq + r \\
&\textrm{2.} \quad r = 0 \ \text{または} \ \varphi(r) < \varphi(b)
\end{align}
をともに満たす」
$A$ を整域とする.$A$ の任意のイデアルが単項イデアルであるとき,$A$ を単項イデアル整域と呼ぶ.
整域 $A$ がユークリッド整域ならば $A$ は単項イデアル整域である.
$(A,\varphi)$ をユークリッド整域とする.$I$ を $A$ の任意のイデアルとしよう.このとき,$I \setminus \{ 0_A \}$ の元の中で $\varphi(x)$ の値が最も小さくなるものを一つ選び,$x_0$ とする.
実は,$I = \langle x_0 \rangle$ となることを示す.
$x \in I$ を任意にとる.$A$ はユークリッド整域であるという仮定より,
$$x = x_0 q + r \quad (r = 0 \ \text{または} \ \varphi(r) < \varphi(x_0))$$
を満たす $q,r \in A$ が存在する.
$I$ はイデアルだから,$x_0q \in I$ であり,これと $x \in I$ を合わせることで $r = x -x_0q \in I$ が判る.
仮に $\varphi(r) < \varphi(x_0)$ だと仮定すると $x_0$ の最小性に反するから $r = 0$.したがって $x = x_0 q$ となる.$x$ は任意だったから $I \subset \langle x_0 \rangle$ が示された.
$I \supset \langle x_0 \rangle$ は自明だから,$I = \langle x_0 \rangle$.これは $A$ の任意のイデアルが単項イデアルであることを示しているから,$A$ は単項イデアル整域.
この定理から,例えば $\mathbb{Z}[\sqrt{2}]$ などは単項イデアル整域であることが証明できる.