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群の二重推移的作用、原始的作用とPSL(n,F)の単純性

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はじめに

位数が最も小さい非可換有限単純群は位数$60$$5$次交代群$A_5$です。
次に位数が小さいのは位数$168$$PSL(2,7)$です。今回は$PSL(n,F)$の単純性を示します。

余談

Burnsideの$p^aq^b$-定理により、非可換有限単純群の位数は少なくとも3種類の素因数を持ちます。また同じくBurnsideが示した$p$-冪零定理により、非可換有限単純群の位数はその最小素因数で2回以上割り切れます。この2つの定理から得られる条件をみたす最小の数が$60=2^2\times3\times5$であり、次に小さいのが$168=2^2\times3\times7$です。そして実際に位数$60,168$の単純群が存在するのはおもしろいです。

群の二重推移的作用と原始的作用

$G$を群、$X$を2つ以上の要素を含む集合とする。$G$$X$への左作用は、$x \neq y$かつ$z \neq w$なる任意の$x,y,z,w\in X$に対して$g \cdot x = z$かつ$g\cdot y = w$をみたす$g \in G$が存在するとき、二重推移的であるという。

$G$を群、$X$を空でない集合とし、$G$$X$推移的に作用しているとする。このとき、$X$の空でない部分集合$\Delta$で、任意の$g \in G$に対し$g \cdot \Delta = \Delta$または$g \cdot \Delta \cap \Delta = \emptyset$をみたすものをブロックという。
推移的な作用で、$1$点集合と全体集合以外のブロックが存在しない作用を原始的という。

$G$を群、$X$を2つ以上の要素を含む集合とする。このとき、$G$$X$への二重推移的な作用は原始的である。

まず推移的であることを示します。$a,b \in X$を任意にとります。$X$は2つ以上の要素を含むので、$c \neq a$なる$c \in X$$d \neq b$なる$d \in X$がとれます。二重推移的であることの定義から、$g \cdot a = b$かつ$g \cdot c = d$なる$g \in G$がとれます。よって与えられた作用は推移的です。

次に原始的であることを示します。$\Delta$を2つ以上の要素を含むブロックとし$\Delta = X$を示します。$x\neq y$なる$x, y \in \Delta$をとります。任意の$z \neq x$に対して二重推移的であることの定義から$g \cdot x = x, g \cdot y = z$なる$g \in G$がとれます。$x \in \Delta \cap g \cdot \Delta$であり、$\Delta$はブロックなので$\Delta = g \cdot \Delta $が成り立ちます。よって$z = g \cdot y \in g \cdot \Delta = \Delta$を得ます。ゆえに、$\Delta = X$であり、与えられた作用は原始的であることがわかります。

$n \geq 2 $のとき対称群$\mathfrak{S}_n$$\{1,\ldots,n \}$への自然な作用は二重推移的です。
また、$n \geq 4$のとき交代群$A_n$$\{1,\ldots,n \}$への作用は二重推移的です。
$A_3$$\{1,2,3\}$への作用は二重推移的ではありません。実際、$g \cdot 1=2 ,g \cdot 1 =2$をみたす$g \in A_3$が存在しません。
一方、$A_4$$ \{1,2,3,4\}$への作用を考えたときには$g \cdot 1=2 ,g \cdot 2 = 1$をみたす$g \in A_4$が存在します。実際$g=(1~2)(3~4)$とすればよいです。$n \geq 4$だと与えられた2点を偶置換で移すための調節ができるのが大切です。

原始的作用の特徴付けのために次を示します。

$G$を群、$X$を空でない集合とし、$G$$X$に推移的に作用しているとする。また$x \in X$とし、$G_x$$x$の安定化群とする。さらに、$\mathscr{A} \coloneqq \{H \leq G \mid G_x \subset H\}, \mathscr{B} \coloneqq\{\Delta \subset X \mid x \in \Delta, \Delta \text{はブロック} \}$と定める。このとき、$ \mathscr{A} \rightarrow \mathscr{B},H \mapsto H \cdot x$$\mathscr{B} \rightarrow \mathscr{A}, \Delta \mapsto G_\Delta $は互いに逆写像である。ただし、$H \cdot x \coloneqq \{h \cdot x \mid h \in H\}, G_\Delta \coloneqq \{g \in G \mid g \cdot \Delta = \Delta\}$である。

まず、$H \in \mathscr{A}$のとき$H \cdot x \in \mathscr{B}$であることを示します。$x \in H \cdot x$は明らかです。$g \cdot (H \cdot x) \cap (H \cdot x) \neq \emptyset$とします。このとき、$gh \cdot x = g \cdot ( h \cdot x) = h' \cdot x$なる$h,h' \in H$がとれます。このとき、$h'^{-1}gh \in G_x \subset H$なので$g \in h'Hh=H$を得ます。よって、$g \cdot (H \cdot x) = H \cdot x$なので$H \cdot x$はブロックです。ゆえに$H \cdot x \in \mathscr{B}$です。

次に、$\Delta \in \mathscr{B}$のとき$G_\Delta \in \mathscr{A}$であることを示します。部分群であることは明らかです。$\Delta$はブロックなので$G_\Delta=\{g \in G \mid g \cdot \Delta \cap \Delta \neq \emptyset\}$であることに注意すれば$G_x$を含むことも明らかです。ゆえに$G_\Delta \in \mathscr{A}$です。

これにより2つの写像がしっかりと定義できることが分かりました。

次に、$H \in \mathscr{A}$のとき、$G_{H\cdot x} = H$であることを示します。$H\cdot x$はブロックなので$G_{H \cdot x}= \{g \in G \mid g \cdot (H \cdot x) \cap (H \cdot x) \neq \emptyset\}$であることに注意すると、$H \subset G_{H \cdot x}$は明らかです。反対向きの包含の証明は冒頭と同様です。

最後に、$\Delta \in \mathscr{B}$のとき$G_\Delta \cdot x = \Delta$であることを示します。$g \in G_\Delta$とすると、$g \cdot x \in g \cdot \Delta = \Delta$なので$G_\Delta \cdot x \subset \Delta$であることが従います。一方、$y \in \Delta$とすると推移的な作用の定義から、$g \cdot x = y$なる$g \in G$が存在します。$y \in g \cdot \Delta \cap \Delta$であり、$\Delta$はブロックなので$g \cdot \Delta = \Delta$、すなわち
$g \in G_\Delta$を得ます。ゆえに$y \in G_\Delta \cdot x$なので反対向きの包含も示せました。

$G$を群、$X$を空でない集合とし、$G$$X$に推移的に作用しているとする。また$x \in X$とし、$G_x$$x$の安定化群とする。このとき、与えられた作用が原始的であることの必要十分条件は$G_x$$G$の極大部分群であることである。

作用が原始的であるとき、$x$を含むブロックは$\{x\},X$の2つです。定理2でこれらに対応する部分群は$G_x,G$です。よって$G_x$$G$の極大部分群です。

作用が推移的でないとき、$1$点集合でも$X$全体でもないブロック$\Delta$がとれます。$y \in \Delta$とすると定理2より$G_y \subsetneq G_\Delta \subsetneq G$を得ます。$g \cdot y = x$なる$g \in G$をとると$G_x=G_{g\cdot y} = g G_y g^{-1} \subsetneq gG_\Delta g^{-1} \subsetneq G$なので$G_x$$G$の極大部分群ではありません。

特に必要がなかったため書きませんでしたが、$\Delta$がブロックで$g \in G$のとき$g \cdot \Delta$もブロックになります。よって$G$$X$のブロック全体の集合に作用します。その軌道は$X$の分割を与えます。とくに$X$が有限集合のとき、$|\Delta|$$|X|$の約数になります。

次に「岩澤の定理」と呼ばれる定理を証明します。

$G$は2つ以上の要素を含む集合$X$に忠実かつ原始的に作用するとする。$x \in X$とし、$G_x$$x$の安定化群とする。$G_x$$K^G = G$なる可解正規部分群$K$を含むとする。ただし、$K^G \coloneqq \langle gKg^{-1} \mid g \in G \rangle$である。また、$G$の交換子群$G'$$G$に等しいとする。このとき、$G$は単純群である。

$2\leq |X| \leq |G|$なので$G$は自明群ではないです。$N \triangleleft G$とし、$N \neq \{e\}$とします。さて、与えられた作用の核は$\bigcap_{g \in G} gG_xg^{-1}$であり仮定よりこれは$\{e\}$です。これは$G_x$に含まれる$G$の最大の正規部分群なので$N \not\subset G_x$を得ます。さらに$N \triangleleft G$より$NG_x \leq G$であり、系1より$G_x$$G$の極大部分群なので$NG_x = G$が従います。

$K \triangleleft G_x,N\triangleleft G$なので$NK \leq G,G_x \subset N_G(NK)$が成り立ちます。また$N \subset NK \subset N_G(NK)$なので$G=NG_x \subset N_G(NK)$、すなわち$NK \triangleleft G$を得ます。$K^G$$K$を含む$G$の最小の正規部分群で$K \subset NK $なので$NK=G$となります。第二同型定理より
$$G/N \cong K/(K\cap N)$$
です。$G/N$の交換子群は$G'/N=G/N$ですが、$K$は可解群なのでその商と同型な$G/N$も可解群です。したがって$G/N$は自明群です。ゆえに$G=N$を得ます。よって$G$は単純群です。

$PSL(n,F)$の作用と単純性

$n \in \mathbb{N}$とし、$F$を体とする。このとき$F$の元を成分とする、行列式が$0$でないような$n\times n$行列全体が行列の積に関してなす群を$GL(n,F)$と書く。また、$SL(n,F) \coloneqq \{A \in GL(n,F) \mid \det A=1\}$と定める。$Z$$SL(n,F)$に属するスカラー行列全体からなる部分群とする。$Z \triangleleft SL(n,F)$であり、$PSL(n,F) \coloneqq SL(n,F)/Z$と定める。また、$F$が有限体のとき$PSL(n,F)$等のことを$PSL(n,|F|)$等と書く。例えば$F=\mathbb{F}_3$のとき$PSL(2,\mathbb{F}_3)$のことを$PSL(2,3)$と書く。

$n \geq 2$とし、$F$を体とします。このとき、$PSL(n,F)$は2つのパターン$(n,F)=(2,\mathbb{F}_2),(2,\mathbb{F}_3)$を除いて単純群になります。岩澤の定理を用いてこれを示すために、その作用について調べます。

$n \geq 2$とし、$F$を体とする。$\mathbf{P}(F^n)$$n$次元列ベクトル空間$F^n$$1$次元部分空間全体のなす集合とする。$SL(n,F)$$\mathbf{P}(F^n)$への自然な作用は二重推移的であり、その核は$Z$である。したがって、$PSL(n,F)$$\mathbf{P}(F^n)$に忠実かつ原始的に作用する。

$n \geq 2$なので$\mathbf{P}(F^n)$は2つ以上の要素を含みます。

$U \neq V$なる$U,V \in \mathbf{P}(F^n)$を任意にとります。このとき、$U = \mathrm{Span}\{x\}, V = \mathrm{Span}\{y\}$なる$x,y \in F^n \setminus \{\mathbf{0}\}$がとれます。さらに、$x_2,\ldots,x_n,y_2,\ldots,y_n \in F^n$$\{x,x_2,\ldots,x_n\},\{y,y_2,\ldots,y_n\}$がそれぞれ
$F^n$の基底となるものがとれます。このとき$A \in GL(n,F)$$Ax=y,Ax_i=y_i~(i=2,\ldots,n)$なるものがとれます。$\det A = \delta$とおき、$B=\mathrm{diag}(1,\cdots,1,\delta^{-1})A$と定めると$B \in SL(n,F)$であり、
$Bx=y$なので$B\cdot U =V$となります。したがって、$SL(n,F)$$\mathbf{P}(F^n)$への自然な作用は二重推移的です。

次にこの作用の核を調べます。この作用の核は$\{A \in SL(n,F) \mid \forall x \in F^n, \exists \lambda \in F^\times,Ax=\lambda x \}$です。$Z$が作用の核に含まれることは明らかです。$A \in SL(n,F)$が作用の核に属しているとします。$e_1,\ldots,e_n$$F^n$の標準基底とします。このとき$Ae_i=\lambda_i e_i$なる$\lambda_i \in F^\times~(i=1,\ldots,n)$がとれます。$\lambda_i \neq \lambda_j$なる$i,j$が存在したとすると、$A(e_i+e_j)=\lambda_i e_i + \lambda_j e_j$$e_i+e_j$のスカラー倍でないので矛盾が起きます。よって$\lambda_1=\lambda_2= \cdots =\lambda_n$であり、$A=\lambda_1 I_n \in Z$となります。

$n \geq 2 $とし、$F$を体とする。$i \neq j$$\lambda \in F$に対して、$B_{ij}(\lambda) \coloneqq I_n + \lambda e_{ij}$と定める。ただし、$e_{ij}$$(i,j)$成分が$1$で他の成分が$0$であるような$n \times n$行列である。このとき$SL(n,F)$$\{B_{ij}(\lambda) \in SL(n,F) \mid 1 \leq i,j \leq n,i \neq j, \lambda \in F^\times\}$によって生成される。

記述が長いだけでしていることは簡単です。

行列$A$に対して$e_{ij} A$とは、第$i$行に$A$の第$j$行の成分が並び、他の行は$\mathbf{0}$であるような行列です。また、$Ae_{ij}$は第$j$列に$A$の第$i$列の成分が並び、他の列は$\mathbf{0}$であるような行列です。

したがって、$B_{ij}(\lambda)A$$A$の第$i$行に第$j$行の$\lambda$倍を足した行列で、$AB_{ij}(\lambda)$$A$の第$j$列に第$i$列の$\lambda$倍を足した行列です。よって、$A \in SL(n,F)$を任意にとったとき、ある行(列)に別の行(列)のスカラー倍を足し引きしていく操作を繰り返して単位行列に変形できれば、$B_{ij}(\lambda)$たちが$SL(n,F)$を生成することが示せます。

$A \in SL(n,F)$を任意にとります。このとき、$A$$(1,1)$成分が$1$で第$1$行、第$1$列の他の成分が$0$であるような行列に変形できます。実際、$A$は行列式が$0$でないので$A$$(1,j)$成分が$0$でないような$j$が必ず存在します。$j \geq 2$であれば第$1$行に第$j$行のスカラー倍を足すことで、$(1,1)$成分を$1$にできます。そうでない場合、$A$$(1,1)$成分は$0$でないので、第$2$行に第$1$行を足すこと
$j=2$の場合に帰着できます。$(1,1)$成分が$1$であるような行列に変形できれば、第$k$$(2 \leq k \leq n)$に第$1$行のスカラー倍を足すことで第$1$列の他の成分を$0$にできます。続いて第$k$$(2 \leq k \leq n)$に第$1$列のスカラー倍を足すことで第$1$行の他の成分を$0$にできます。

この操作によって得られた行列の右下部分にある$(n-1) \times (n-1)$行列に同様の操作を繰り返すことで、最終的に$A$$\mathrm{diag}(1,\ldots,1,\delta)$という行列に変形できます。$\det B_{ij}(\lambda) = 1$なので変形しても行列式は変わりません。よって、$\delta=\det A =1$です。ゆえに$A$は単位行列に変形できます。

$n \geq 2$とし、$F$を体とする。このとき $(n,F)=(2,\mathbb{F}_2),(2,\mathbb{F}_3)$の場合を除き、$SL(n,F)$の交換子群$SL(n,F)'$$SL(n,F)$に一致する。

命題5より$B_{ij}(\lambda) \in SL(n,F)'$が示せればよいです。

$n \geq 3$のとき、$k \neq i,j $なる$k$がとれます。$B_{ij}(\lambda) = B_{ki}(\lambda)B_{jk}(1)B_{ki}(\lambda)^{-1}B_{jk}(1)^{-1} \in SL(n,F)'$です。

$n=2$のとき、$a,c \in F^\times$に対して
$$\begin{pmatrix}   c^{-1} & 0 \\   0 & c\end{pmatrix} \begin{pmatrix}   1 & 0 \\   a & 1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}   c^{-1} & 0 \\   0 & c\end{pmatrix}^{-1} \begin{pmatrix}   1 & 0 \\   a & 1\end{pmatrix}^{-1} = \begin{pmatrix}   1 & 0 \\   a(c^2-1) & 1\end{pmatrix} $$
が成り立ちます。$F \neq \mathbb{F}_2,\mathbb{F}_3$のとき、$c^2 \neq 1$なる$c \in F^\times$がとれます。$a \coloneqq (c^2-1)^{-1}\lambda \in F^\times$とすれば、$B_{12}(\lambda) \in SL(n,F)'$が得られます。その転置$B_{21}(\lambda) \in SL(n,F)'$はそこからすぐに従います。

$n \geq 2$とし、$F$を体とする。$G \coloneqq SL(n,F)$$\mathbf{P}(F^n)$への作用における$U \coloneqq \mathrm{Span}\{e_1\}$の安定化群$G_U$は可解正規部分群$K$$K ^G=G$なるものを含む。

$G_U$$$ \left( \begin{array}{c|ccc} a & * & \dots & * \\ \hline 0 & & & \\ \vdots & & {\huge{A}} & \\ 0 & & & \end{array} \right) $$
という形の行列のなす群です。
$K$
$$ \left( \begin{array}{c|ccc} 1 & * & \dots & * \\ \hline 0 & & & \\ \vdots & & {\huge{I_n}} & \\ 0 & & & \end{array} \right) $$という形の行列からなる$G_U$の部分群とするとこれは$G_U$の正規部分群で、アーベル群です。

さらに$B_{ij}(\lambda)$が定める$F^n$上の線型変換の、基底$\{-e_i,e_1,\ldots,\hat{e_i},\ldots e_n\}$(除外記号を用いました)に関する表現行列は$K$に属し、さらに基底の変換行列の行列式は$1$なので、$B_{ij}(\lambda)$$SL(n,F)$内で$K$の元と共役です。よって$K^G=G$です。

$n \geq 2$とし、$F$を体とする。このとき $(n,F)=(2,\mathbb{F}_2),(2,\mathbb{F}_3)$の場合を除き、$PSL(n,F)$は単純群である。

$PSL(n,F)$は2つ以上の要素を含む集合$\mathbf{P}(F^n)$に忠実かつ原始的に作用します。

命題6の記号をそのまま用いると、$PSL(n,F)=SL(n,F)/Z=G/Z$における$U$の安定化群は$G_U/Z$で、$K/Z$はそのアーベルな正規部分群で$(K/Z)^{G/Z}=K^G/Z=G/Z$が成り立ちます。

一般に群$G$とその正規部分群$N$に対して$(G/N)' = G'/N$
成り立ちます。よって命題6より$PSL(n,F)'=PSL(n,F)$を得ます。

したがって、定理3より$PSL(n,F)$は単純群です。

余談

$SL(2,3)$は位数$24$の群で、その$\mathrm{Sylow}$-$2$部分群$S$は位数$8$で四元数群と同型です。さらにこれは正規です。$Z=\{\pm I_2\}$$SL(2,3)$の正規部分群は$\{I_2\},Z,S,SL(2,3)$の4つです。$PSL(2,3)$$4$次交代群$A_4$と同型です。同型写像は$\mathrm{Sylow}$-$3$部分群への作用から得られます。

$SL(2,2)$は位数$6$の群で$3$次対称群$\mathfrak{S}_3$と同型です。同型写像は$(\mathbb{F}_2)^2 \setminus \{\mathbf{0}\}$への自然な作用から得られます。もちろん、$GL(2,2)=SL(2,2)=PSL(2,2)$です。

投稿日:16日前
更新日:15日前
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