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東大数理院試2005年度専門問1解答

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$$\newcommand{CC}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{FF}[0]{\mathbb{F}} \newcommand{Gal}[0]{\mathrm{Gal}} \newcommand{IIm}[0]{\operatorname{Im}} \newcommand{Ker}[0]{\operatorname{Ker}} \newcommand{NN}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{PP}[0]{\mathbb{P}} \newcommand{QQ}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{RR}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{RRe}[0]{\operatorname{Re}} \newcommand{tr}[0]{\operatorname{tr}} \newcommand{ZZ}[0]{\mathbb{Z}} $$

東大数理の院試(2005年度専門問1)の解答です.
自分が作った解答は ここ に置いてあります.過去にここに公開した解答のまとめも置いてありますが,こちらでも気が向いた時に投稿しようと思います.

(東大数理2005年専門問1)

$p$を奇素数とし,$GL_2(\FF_p)$$p$元体$\FF_p$の元を成分に持つ可逆な$2 \times 2$行列全体のなす群とする.$M \in GL_2(\FF_p)$について,行列式$\det M$が乗法群$\FF_p^\times$の生成元ならば,$M$の位数は$p$と素であることを示せ.

対偶を示す.$M$の位数が$p$の倍数であるとする.$M$のJordan標準形は$\begin{psmallmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \beta \end{psmallmatrix}, \begin{psmallmatrix} \alpha & 1 \\ 0 & \alpha \end{psmallmatrix}$のいずれかである.$M$の固有多項式は$\FF_p$係数$2$次多項式なので$\alpha, \beta \in \FF_{p^2} \setminus \{ 0\}$である.
$\begin{psmallmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \beta \end{psmallmatrix}$とすると$\alpha + \beta = \tr M \in \FF_p$なので,$\alpha, \beta \in \FF_p$であるか$\alpha, \beta \in \FF_{p^2} \setminus \FF_p$である.前者の場合は$M$の位数は$p - 1$の約数となり矛盾.後者の場合も$M$の位数は$p^2 - 1$の約数となり矛盾.
よって$M$の Jordan 標準形は$\begin{psmallmatrix} \alpha & 1 \\ 0 & \alpha \end{psmallmatrix}$である.$2\alpha = \tr M \in \FF_p$$p$が奇数であることから$\alpha \in \FF_p$なので,
$$(\det M)^{(p - 1) / 2} = (\alpha^2)^{(p - 1) / 2} = \alpha^{p - 1} = 1.$$
従って$\det M$$\FF_p^\times \cong \ZZ / (p - 1)\ZZ$の生成元ではない.

投稿日:117
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delta
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大学院入試の解答のまとめ(記事にしたもの含む)は下のURLから

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