この記事は位数6の群を分類するための準備記事です。
主に正規部分群に関する主張を考察しています。
まずは結論から。
位数6の群$G$は2通りあり、$\mathbb{Z}/6\mathbb{Z}$または、$D_6$です。
ここで、$D_n$は二面体群$\{a^n=b^2=1|bab^{-1}=a^{-1}\}$を表しています。
位数が6にもなると、演算表を調べるには36マスの埋め方を調べる必要があり、大変。 そこで今回は元の位数に着目しましょう。
ラグランジュの定理から直ちに、次がわかります。
$G$の元$x$の位数は、$1,2,3,6$のいずれかです。
位数6の元$x$が存在するとき、$G=\langle x\rangle=\mathbb{Z}/6\mathbb{Z}$にならざるを得ません。
以後、そうでない場合を考えます。
ここで次の用語を導入します。
$G$を群,$H\leqq G$とします。任意の$G$の元$g$に対して、次の同値な二つの命題のいずれか(したがって両方)を満たすとき、
$H$を正規部分群といい、$H\triangleleft G$と書きます。
$1\Leftrightarrow2$の証明をしておきます。
$1$が成立するとき、
$\forall g \in G,\forall n \in H,\exists n_1\in H,gn=n_1g$
故に、$gng^{-1}=n_1\in H $より2が成立します。
逆に2が成立するとき、
$\forall g \in G ,\forall n \in H, gn\in Hg$なので、$gH\subset Hg$であり、逆も同様にわかるので、$gH=Hg$ となります。
特に、可換群では任意の部分群が正規になります。
また、正規部分群に関して次の系が成り立ちます。
$H\triangleleft G$とします。$G/H=\{gH|g\in G\}$において、$aH*bH \stackrel{\mathrm{def}}{=} (ab)H$として演算をいれると、$G/H$は群をなします。
まず単位元は$H$そのものであり、$aH*1H=1H*aH=aH$となります。また逆元は$a^{-1}H$です。
重要なのはwell-defind性で、代表元の選ばれ方によらないことを確認しましょう。$a'H=aH , b'H=bH$とします。
$gH=g'H\Leftrightarrow g^{-1}g'\in H$であることに着目しましょう。いま、$a^{-1}a',b^{-1}b'\in H$であり、$x = a^{-1}b^{-1}b'a'$とおくと、$b^{-1}b'\in H$なので、$x\in a^{-1}Ha'=Ha^{-1}a'=H$
これによりwell-defindであることが確かめられました。
また結合法則は
$(aH*bH)*cH=abH*cH=abcH=aH*bcH=aH*(bH*cH)$より成立。
$gH=g'H\Leftrightarrow g^{-1}g'\in H$は次のようにわかります。
$gH=g'H$が成り立つとします。$\forall h \in H, \exists h_1\in H, gh=g'h_1$より、$g^{-1}g'=hh_1^{-1}\in H$
逆に$gg'^{-1}\in H$であるとき、$g^{-1}g'=x\in H$とおくと、
$g'=gx$です。$gh \in gH$をとると、$gh=g'x^{-1}h$
$x^{-1}\in H$なので、$g'x^{-1}h\in g'H$となります。よって、$gH\subset g'H$です。 また、$g'h\in g'H$をとると、
$g'h=gxh\in gH$が従います。
よって、$gH=g'H$です。
次の記事で、$G$が位数6の元を持たない場合について考えていきます。