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(1/2)_n/n!付きの多重級数の関係式

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はじめに

少し前に考えた多重級数の関係式について書きます。主に連結和法を使って証明をしていきます。

本題

インデックス(k1,,kr)(Z>0)rのいくつかの成分に、ドットをつけて、「ドット付きのインデックス」と呼ぶことにする。例えば(k1,,ki˙,,kr)(すべての成分にドットをつけても良い。)
以降、k˚kまたはk˙を表すことにして、ドット付きのインデックスの成分を(k˚1,,k˚r)と書く。

(ドット付きの)インデックスの矢印表記

ドット付きのインデックスk=(k˚1,,k˚r)に対して、矢印記号を次のように定める
k:=(k˚1,,k˚r,1)
k:=(k˚1,,kr+1˚)
k˙:=(k˚1,,k˚r,1˙)
空インデックスについては
:=(1)
˙:=(1˙)
矢印をa回作用させることを
a,a,˙a
のようにあらわす

インデックス(k1,,kr)(Z>0)rに対して、多重級数ς(k1,,kr)を次のように定める。
ς(k1,,kr)=0=n0n1nr1(n1+12)k1(nr+12)kr(2nrnr)22nr
また、ドット付きのインデックス(k1,,ki˙,,kr)に対しては次のように定める。
ς(k1,,ki˙,,kr)=0=n0n1ni1<ninr1(n1+12)k1(ni1+12)ki11(ni12)ki1(ni+1+12)ki+1(nr+12)kr(2nrnr)22nr
ドット付きのインデックス(k˚1,,k˚r)に対応する級数表示を
ς(k˚1,,k˚r)=n1(n1±12)k1(nr±12)kr(2nrnr)22nr
と書くことにする

連結和

(a)n:=a(a+1)(a+n1)
C(n,m):=(12)n(12)m(n+m)!
ドット付きのインデックスk=(k˚1,,k˚a),l=(l˚1,,l˚b)に対して、次のように連結和を定める。
Z(k;l)=n,m1(n1±12)k1(na±12)ka1(m1±12)l1(mb±12)lbC(na,mb)
Z(k;)=n,m0=01(n1±12)k1(na±12)kaC(na,m0)=ς(k)

(2nn)22n=(12)nn!に注意すれば、C(n,m)=(2nn)22nn!m!(n+m)!(2mm)22mと書くこともできる。

輸送関係式1

k=(k˚1,,k˚a1,ka)について
Z(k;l)=Z(k;l˙)

1n+12C(n,m0)=m0<m1m12C(n,m)
を示せばよい。
C(n,m1)C(n,m)=C(n,m)(n+mm121)=n+12m12C(n,m)
ここで、両辺m0<mの範囲で和を取ることにより
C(n,m0)=m0<mn+12m12C(n,m)
1n+12C(n,m0)=m0<m1m12C(n,m)

輸送関係式2

l=(l˚1,,l˚b1,lb)について
Z(k˙;l)=Z(k;l)

Z(k;l)=Z(l;k)が成り立つため、補題1においてklの立場を入れ替えればよい

輸送関係式3

k=(k˚1,,k˚a)について
Z(k;l)=Z(k;l)

nk1k+12C(k,m)=mk1k+12C(k,n)
を示せばよい。
f(a):=nk1k+12C(k,a)

f(a)f(a+1)=nk1k+12(C(k,a)C(k,a+1))=nk1k+12C(k,a)k+a+1((k+a+1)(a+12))=nk1k+12C(k,a)k+a+11a+12((a+12)(k+a+1)(a+12)2)=nk1k+12C(k,a)k+a+11a+12((k+12)(k+a+1)(k+12)2)(a+12)(k+a+1)(a+12)2=(k+12)(k+a+1)(k+12)2=1a+12nk(C(k,a)C(k+1,a))=1a+12C(n,a)(limkC(k,a)=0)
したがって、maの範囲で和を取ることにより
f(m)=ma1a+12C(n,a)
nk1k+12C(k,m)=mk1k+12C(k,n)

(ドット付きの)双対インデックス

非負整数a1,as,b1,bs,c1,csを用いて、空でないドット付きのインデックスをk=˙c1a1b1˙csasbsと表したとき、kの双対インデックスをk=˙bsascs˙b1a1c1により定める。

次の定理がこの記事で最も述べたかった内容です。

双対性

矢印表記をしたときに、の直前が常にまたはであるようなドット付きのインデックスkについて、次が成立する。
ς(k)=ς(k)

補題1,2,3の輸送関係式を適宜用いることにより
ς(k)=Z(k;)=Z(˙c1a1b1˙csasbs;)=Z(˙c1a1b1˙csas;˙bs)=Z(;˙bsascs˙b1a1c1)=Z(;k)=ς(k)


(補足)
系として、例えばこのツイートのような等式が分かります。
ツイート内容

c1==cs+1=0と取ることで、kはよく知られた多重ゼータ値の意味での双対インデックスになります.

終わりに

もう少し工夫をしてやることで、(2nn)22n,22n(2nn)が複数ついた級数についての関係式が出せると思いますが 例えばこのツイート 、結構複雑になりそうなので、それについて書くのはまた別の機会にしようと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました.

投稿日:202471
更新日:202471
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余余余
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よよよよよよよよよよよよ

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