ここでは東大数理の修士課程の院試の2024B07の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2024B07
上の級関数
をとり、臨界値全体の集合を、正則値全体の集合をとおく。
- の元を全て求めなさい。
- について、とおく。任意のについては微分同相であることを示しなさい。
- は次元ユークリッド空間とあるコンパクト多様体の直積に微分同相であることを示しなさい。
- まず
である。ここでに於ける接空間はとに直交なベクトル全体のなす空間である。ここで相異なるについてこの接空間はの型の元で生成され、
である。この式がになるにはある及びが存在してが満たされていれば良い。ここでこのようなについて
でなければならない。よって臨界点は
であり、この像はである。よって臨界値はである。 - まず
及び
とおく。このときとが微分同相であることを示せば良いが、これは微分同相写像で移しあうから結果が従う。 - まず
である。このとき
を考える。但し
である。これはで定義される写像に正則値定理を適用することで級多様体であることがわかる。ここでに対してと定義すると、これによっては一方が他方の逆写像になっている。以上からはに微分同相であり、写像によって微分同相が実現できるから、はに微分同相である。